佞言断つべし!引き止めの甘い罠/パック・エックス

2016.05.02 / 連載

[新連載]
パック・エックスキャリアアドバイザーが語る「転職のタメになる話」
第6回 「2歩3歩先を見据えた決断が重要です」

こんにちは。パック・エックス、キャリアアドバイザーの耳塚です。転職活動は、転職先を見つけることに加えて、在職中の方にとっては退職をすることも一つの大きな出来事です。今回は「退職」に関してのお話しをしていきたいと思います。

志望企業から内定をいただいたワタナベさん(仮名)の話です。勤めてきた会社に退職の旨を伝えたところ、引き留められてお給料も役職も上げて貰えるとのことで、「今の会社に残ろうと思います」という連絡がありました。少々不安もよぎりましたが、正式に昇格辞令を受けたようで「現企業に残る」という本人の意思を尊重することにしました。

こうしたケースはよくあることで、「お世話になった会社だから」「お給与や役職を上げてくれるのなら」と転職せずに現企業に残る道を選ばれる方がおります。本人としても昇進も昇給も叶い、一見すると良かったと思えることですが、この話には後日談があります。

実はワタナベさんのように、「退職を伝えた後に引き留められ、現企業に残る道を選ばれた方」の約7割が、1年以内に再度転職活動を始めているというデータがあります。また、給与は上がったものの、数カ月後には減給(元に戻った)、昇格の話しが流れたなど、必ずしも幸運なことばかりではなく、何より最悪なのは反逆者のレッテルを張られ、今後の将来が絶たれてしまうケースです。

待遇面が改善されることは、「会社にとって必要な人だから辞められては困る」と言い換えることができます。しかし、「普段は明確な評価もなく都合よく働かされていたのに、辞めるといった途端に態度を変えて給与で釣ろうとしている」と捉えることもできるかと思います。また「考え直してほしいと引き留められて、上司からもお願いされて必要とされている感じがあり悪い気がしない」などと感じる方も多いのではないでしょうか。「あなたに辞められては困る(=能力に対する引き留め)」と「今辞められては困る(=組織的事情による引き留め)」というではその後の展開が大きく異なってきます。企業としては基本的に本音を隠すのでその真意は闇の中です。

待遇が向上する見込があり、長年勤めてきた会社の上司から耳障りの良い言葉を掛けられれば感情的に「残って頑張ろう」という想いになることも分からなくはありません。が、ここで安易に決断をしてはなりません。このような時こそ「原点に立ち返る」ことがとても大切になります。転職活動における原点とは、即ち「転職動機」を見つめ直すことです。安易に決断をすると火傷してしまいます。

ワタナベさんの場合、転職動機は「キャリアアップが目指せる環境」でした。退職を伝えたことで結果的にキャリアアップが実現されたわけですが、本音をいえば不安は残ります。なぜなら、問題が本質的に解決されたわけではないからです。待遇面や環境面の改善は辞めようと伝えた時点でなくとも、常日頃からアンテナを張り、より良い会社・組織にしていこうと努めていれば、もっと以前より改善の兆しもあったのではないでしょうか。がらりと180度会社・組織を変えることはなかなかできることではありません。残る将来と転職してからの将来、目先の金額や役職ではなく、転職動機に立ち返り、2歩3歩先を見てご決断されることをオススメいたします。

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(企業プロフィール)
株式会社パック・エックスhttp://www.pac-ex.com/

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