九州北部大雨で被災休暇適用第1号

2019.08.31 / コラム

8月28日の九州北部を襲った大雨は、佐賀県では河川が氾濫して家屋の浸水被害が相次いだ。中でも被害が大きかった武雄市では、4店舗あるホールの中で、ワンダーランド、ひばりの2店舗が浸水被害で休業を余儀なくされている。



この水害の影響は関東のホールにも関係することになる。佐賀と関東がどう結びつくのか?

「営業の打ち合わせで29日にホールへ訪問する予定だったんですが、急きょキャンセルになったんですが、その理由が九州北部の大雨だったんです」(メーカー営業マン)

このホール企業は2011年の東日本大震災を契機に災害特別休暇制度を新設した。東日本大震災では社員の実家が全壊するとともに、親族も失った。災害による見舞金の社内規定はまだなかったが、社長はポケットマネーで50万円の見舞金を出した。避難所に支援物資を送ったり、ボランティア活動に人も出した。

災害特別休暇制度では、本人の実家か配偶者の実家が災害に遭った時は、5日間の被災休暇を与えると共に、見舞金を支給することになった。

今回の九州北部大雨で、その第1号が適応された。

佐賀の実家が浸水被害に遭い、アポイントの日に帰省することになった。

社内規定では家屋が浸水した場合は5万円、家屋が半壊した場合は10万円、全壊の場合は20万円の見舞金を支給する。往復の交通費も全額が支給される。ただし、配偶者の交通費は出ない。

社員の実家は1階まで水没した。社内規定の5万円では足りそうもないので、社長がポケットマネーで30万円をプラスした。

ホールの規模は10店舗未満。社長の鶴の一声でこの制度が出来上がった。社員からするとすごく頼もしい会社に映る。

大手ホールではなかなか真似ができない制度とも言える。

「天災は忘れたころにやってくる」

これは物理学者であり、防災学者だった寺田寅彦が大正12年の関東大震災後に残した警句で、災害直後の緊張感や心構えを忘れないように気を緩めるな、という意味がある。最近は大災害のインターバルが短くなり、まだ記憶に残っているころにやってくる。

首都直下型地震は今後30年以内に70%の確率、南海トラフ大地震は今後30年以内に80%の確率で起きると想定されている。






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