上場企業をリストラされホールの客から正社員になったケーススタディー

2019.09.11 / コラム

先日、大企業などにおける大量リストラにまつわるエントリーを書いたが、週刊誌記者はリストラされた人たちのその後を追っかける取材をしている。

リストラされた人の中には、家族にリストラされたことを告げず、普段通りに会社へ行く素振りをみせたりする。そういう人たちが時間を潰すための行き場と言えば、図書館が多い。おカネをかけることもなく時間を過ごせるからだが、図書館組の中には「静かすぎて色々考えてしまうのでノイローゼになってしまう」という人もいる。

そういう人たちはマクドナルドなどでスマホをいじったり、ゲームに興じたりする。

さらに、現実から逃避できる場所がパチンコホールだ。今は1パチを始め0.5パチ、0.2パチとさらにおカネをかけずに時間を潰す環境が整っている。何よりも喧騒の中で余計なことを考えずに没頭できるのがパチンコだったりする。リストラされた人にとって低貸しは救世主とも言える。

リストラされたAさん(46)は、パチンコホール派の一人だ。Aさんはリストラされて就活に勤しんだが46歳という年齢がハンディーとなって36社の面接に落ちた。

時間潰しにホールに通っているうちに、スタッフと会話する仲になり、身の上話をするようになった。

スタッフからAさんが求職活動中という報告を受けた店長は「時間の空いている時に働いてみませんか?」と声を掛けた。

Aさんは人手不足が続く遅番のシフトに時給1300円で入った。久しぶりに働くことに喜びを感じた。

さらに、3か月後、正社員にならないかという声を受けた。

Aさんは上場企業のリストラ組だった。年収は半分に下がったがノルマがない分、気持ちは楽だった。手取りで20万円。離婚して独り身なので十分生活できた。

ホールスタッフを一生続けられるかどうかは分からないが、正社員で働けることに安堵した。

店長は言う。

「どうしても若い子を採ることになりますが、若い子はちょっとしたことですぐに辞める。ところが、リストラされた中年は一生懸命働く。ウチでは40代の人を3人採用しています。社会経験と常識がある。休まないし一生懸命働く必死さが違います。40~50代でも採りたいと思っています。店長は無理でも副主任にはすぐになれる人材です」

ホールと言えば若者の採用に走りがちだが、若い人が集まらないのであれば、中高年をもっと活用するのも人手不足の解消方法の一つでもある。

大企業だけでなく、中小企業でもリストラされ行き場のない中高年はたくさんいる。








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