【水曜】第110回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点
2016.06.07 / 連載第110回 ファンへの転嫁は勘弁
「検定と検定機と性能が異なる可能性のある遊技機」に大きな動きがありました。これまで各方面の顔色を伺うように出されてきた対象機のリストの件です。行政側としてはさすがに「ラチがあかん」となったのでしょう。
そして昨年の秋〜冬までに登場した機種ほほとんどが対象になる可能性もあり、これらを年内一杯で撤去するとなったら大事中の大事。その入れ替え費用を考えれば廃業を視野に入れるホールも少なくないでしょうし、そんな選択をしなくても済むようにメーカーもしかるべき対応をするべきでしょう。
ただホール側がメーカーばかりに責任を押し付けているのには違和感を覚えますし、逆にチャンス到来と考えているメーカーがあるとしたら、それは違うだろうとも思います。いずれにしても業界が一丸となって取り組むべき問題で、社会的に認められる業界になるためには、これが最後のチャンスだと考え行動すべきでしょう。
そしてもう一つ、この件でどうしても不安になることがあるんです。撤去に伴なう入れ替えはどうせファンの負担だからと考えている業界関係者が少なからずいるのではないかということ。
20兆円規模の産業といわれるこの業界ですが、この基盤になっているのはファンのお小遣いなわけです。それが限界に近いほど疲弊しつつあります。それは止まらない低貸への流出やファン人口減少といった事実で明らかかと思います。これから予想される大規模な入れ替えによって、ますますキビシー営業をするようなことになっては、ファンの財布と同時に業界自体もパンクしかねません。
ファンの負けを「自己責任だ」と言うのなら、今回の件についてもそれぞれの立場での自己責任として、ファンに一切負担をかけないような形で収束させる。それくらい覚悟を持つべきです。「入れ替え費用はファンから回収すればいい」と安易に考えないでください。
インターネットは進化し、業界人でなくとも一連の騒動について情報を集めています。多くのファンが今回の問題や動きを注視しています。向けられた視線をしっかり感じつつ、問題の収束にあたってほしいものです。
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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵(きなくさぞう)
学生時代にパチンコ・パチスロの魅力に取りつかれて、はや30年以上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるずると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp