【水曜】第109回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2016.05.31 / 連載

第109回 満席の島は久しぶり

施設警備のためにコインロッカーを使えなかったからと、スーツケースをその場に放置して爆発物処理班まで出動する大騒ぎを引き起こした女性。個人的にはそんな事件が記憶に残った伊勢志摩サミットでした。

経済政策の失敗を世界経済に責任転嫁した首相同様、なんだかなぁと思いますが、それでもテロなど大きな混乱はなく警備を担当した行政側は胸をなでおろしていることでしょう。そして今週には自粛も解禁され、ほとんどのホールが大規模な新台入替を行っていました。

そこで久しぶり満席に埋まった島も見られ、やはり新台効果は確実にあるんだなと再認識しました。手っ取り早く稼働を上げられるんだから、ホールさんにとって新台入替は某元プロ野球選手にとっての違法薬物みたく、手放せないし頼りっぱなしになるのも納得です。

しかし、効果が長続きせず、次から次へ、結果として禁断症状のようになってしまうのも違法薬物と同じ。そのサイクルを断ち切る絶好のチャンスが入替自粛期間だったと思いますが、そこで頑張れずに稼働を大きく落としたホールがほとんどだったように思います。

5月中旬以降なんかは週末でもガラガラだったりして、店内配置移動なんていうチラシを撒くための苦肉の策を行っていたところもありました。広告宣伝もまた、やり続けなければ禁断症状が出てしまうのでしょう。

これらに頼らず稼働をキープし続けることの難しさは重々承知していますが、それでもなお中毒性の高いものに頼らないことを理想とすべきでしょう。そのためには何もなくても通いたくなる場となることが理想ではないかと考えますし、日常生活の一つとして選ばれることが大事だと思います。

会社帰りや休日の空いた時間に、ちょっとパチンコでも——。これこそが大衆娯楽の本質であるはずですが、今のようにいくら負けるか分からない機械に過度の接客や装飾で非日常感をうたったようなホールでは、こちら側としてもそれなりの気合いがなければ足を運べません。「ちょいパチ」もそうですが、これからはハードルを下げることが重要になると思いますし、入替やイベントといった禁断症状は強いものの即効性があると思われている施策ばかりではなく、地道な努力ではあっても大衆娯楽とは何なのかという本質へと目を向けていくべきではないでしょうか。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵(きなくさぞう)

学生時代にパチンコ・パチスロの魅力に取りつかれて、はや30年以上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるずると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

【水曜】第109回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点, 伊勢志摩サミット