「じじいで、何が悪い!」還暦でも最前線、アムズUG店長の60代からの再挑戦に密着。
2026.06.22 / ホールアムズ南吉成店のUG店長(@ams_minami)は、5月21日に還暦を迎えた。
55歳からSNSをはじめ、顔を塗ったり棒でシバかれたりしながら、時代に食らいつき、60歳でも店長として働き続けている。個性的なSNS活動で注目を集める還暦店長の背景にある、アムズグループとしての「年齢に関係なく挑戦できる企業文化」を描く。
地方中堅ホールが直面する店長・スタッフの高齢化という業界課題に対し、一つの答えを提示する。
還暦を迎えた朝、金髪で店頭に立つ。
その日は大雨が降り、5月中旬には似つかわしくない寒い朝だった。
午前9時、仙台駅から北西に約10kmに位置するアムズガーデン南吉成店には、84名のユーザーが開店前の抽選を受けるため店舗前にたむろしていた。
その人たちをゆっくりとしたペースで捌いていたのが、今回の主人公・UGこと大塚勇二店長だ。ちょうど取材をした5月21日は、UGさんが還暦を迎える日。首から垂らした手拭いが赤いのは、つまりそういうこと。マスクをしているため、あまり声は通らないが、行列をつくる常連客に向かって、入場を促していく。普段は黒髪のイメージのUGさんだが、この日はスプレーで染め上げた金髪仕様。何か特別なことが起こりそうな予感を感じさせる。
9時半でいよいよ開店。しばらくUGさんは少し丸まった背中でホールをラウンドしていた。常連の客を探しては話しかける。どんな話をしていたのかは分からないが、話終わりは皆を笑顔にして応援しているようだった。UGさんは頭をペコリと下げ一人ひとりに感謝を伝えているように見えた。
その作業は、開店から1時間以上続いた。20代にも30代にも、80代にも。
「アムズの店長はホールをラウンドするんですよ。私はちょっと脚を悪くしていてしばらくできていなかったんですけどね。今はほら、もうこの通り」(UG)
聞くと、今年の1月に人工股関節置換手術を行っていた様子。若い店長にとってはなんら問題ないルーティーンでも、還暦を迎えるお年頃には応えることもある。
低貸し専門店でも、店長のキャラで愛される店になれる
アムズガーデン南吉成店は、地域最大級をうたう低貸し専門店だ。パチンコ252台(1円)と、パチスロ248台(10円メインと5円)。
パチンコ客は年配層が多いものの、パチスロコーナーは若い客層も目立つ。
一台ごとに区切られ、最新台を設置したボックスコーナーも特徴的だ。半個室タイプとなっているので、人の目を気にすることなく遊技に集中できる環境。さながら一蘭の味集中システムのパチスロ版といったところか。
10時50分頃、店内の客数を数えてみるとパチスロは稼働率約55%。パチンコは約18.3%といったところ。大雨の平日ということを加味すれば十分な稼働率だ。
店内POPには「応援してくれたすべてのお客様に感謝だべ 皆と歩み続けた歴史も一旦ここで一区切りだべ!」と大書されている。
昭和41年5月21日生まれ。本日還暦を迎えたアムズ南吉成店のUG店長の業界歴は35年。アムズグループには39歳で入社し、途中3年間の空白を挟みながらも約18年にわたって在籍。店長としてのキャリアはトータル15年に及ぶ。
空白の3年は、母親の体調不良をきっかけに一度アムズを離れたことによるもの。その後、母の回復とともに復帰する。35年の業界人生を振り返り「短かった」と語るUG店長。「店長として現場の第一線で退職を迎えたい」という長年の夢が叶った今日、午後には嘱託契約の面談も控えており、還暦を新たなスタートと捉えている。
「分かんねえんだもん。聞くしかねえべ」がUGさんのモットー
UGさんが南吉成店に赴任したのは5年前。その頃からXの運用をスタートさせた。最初のアカウント名は「山頂の妖怪」。今とは似ても似つかない出発点だった。
「それで人気が出るならば」とふざけることに全力を注いだ。顔を白く塗り、棒でシバかれ、ケーキをぶつけられる。「もうなんでもやっちゃおう」という開き直りが、UGさんを変えた。今では簡単な動画の編集も自分でこなす。誰かに頼まれたからではなく、自分が主体のアカウントを運用するうちに、自然と覚えていった技術だ。
UGさんが進化をし続けられる理由は、誰からも愛される人間性とプライドの低さだ。家庭内では、奥さん、子ども、愛犬の下に自分を位置づけたり、スタッフにはいじられ、息子には「考えが古い」と言われても一切怒らない。
年齢ゆえ、最新のトレンドにはついていけないこともあるが、分からないことは何でも聞いて教えを乞う。「だって分かんねえんだもん。聞くしかねえべ」。
それがUGさんのスタンスだ。業界35年、店長歴15年のキャリアがあれば、知ったかぶりをしても誰も咎めない。それでも聞く。その姿勢が、還暦になっても進化を止めない原動力になっている。
UGさんのような人物を、会社ではどのように評価しているのか。アムズグループパチンコ事業部、営業部長の實崎征爾さんはUGさんをこう表現する。
「人間の個の能力なんてそこまで大きな差はない。特にパチンコホールとなると、店長1人ではなく組織力の高さが問われる。あれができる、これができるというより、店長としての心意気というか、任務を遂行する力こそ資質。その点UGさんは、還暦でいろいろなことを周りの人に助けてもらえる不思議な能力がある。私は彼を『持ってる』と思っている」
ベテランになればなるほど、人は知らないことを認めにくくなる。それでもUGさんは違う。分からなければ聞く。できなければ教わる。その柔軟さこそが、還暦を迎えてなお変わり続けられる理由なのだろう。店長に必要な資質は、年齢ではなく姿勢なのかもしれない。
じじいで何が悪い、の答え。古希は店長として迎えたい
地方の中堅パチンコホールでは今、店長の高齢化が静かに進んでいる。大手チェーンのように人材を潤沢に抱えられるわけではなく、長年現場を支えてきたベテランをどう生かすかは、多くの企業が答えを持てていない課題だ。アムズグループがUGさんに示した選択肢——還暦後も店長として嘱託契約で現場に立ち続けるという前例は、業界にとって一つの道標になるかもしれない。
古希まで店長をやりたいと言うUGさんに、年齢を理由にする言葉は一切ない。「じじいだからできない」ではなく、「じじいでも、やればできる」。還暦はゴールではなく、単なる通過点に過ぎない。店長の価値は、年齢では測れないのかもしれない。あなたの周りに、こんな60歳がいるだろうか。取材の最後、UGさんはこう言って笑った。
「Xの更新がなくなったと思ったら、死んだと思ってください(笑)」
そんな冗談をさらっと言えるところもUGさんらしい。だからUGは愛される。進化して古希も店長として迎えられるのだ。きっと。
以下UGさんが優れているPOINTまとめ
・プライドを捨てた先に、進化がある。
業界35年、店長歴15年のキャリアを持ちながら、UGさんは「分からない」ことを恥だと思わない。動画編集も、Xの運用も、すべて若いスタッフに教えを乞いながら、少しずつ身につけていった技術だ。知ったかぶりをしても誰も咎めない立場でも、聞き続ける。その姿勢こそが、還暦を迎えてもなお進化を止めない原動力になっているのではないだろうか。年齢を重ねるほど高くなりがちなプライドを手放した人間は、強い。
・毎朝ホールに出る。それだけで愛される。
還暦を迎えた当日も、UGさんは当たり前のように開店前から店頭に立ち、開店後1時間以上ホールをラウンドし続けた。石巻店で東日本大震災を体験したUGさんは、店の景品を被災者に配ったり、2日間店舗周辺で車中泊する人々を支え続けた。その後、「あの時はありがとう」という感謝の言葉が忘れられないという。パチンコホールは遊技場である前に、地域の居場所だ。その原体験が後押しとなって、今もホールに出て客一人ひとりと向き合い続ける。
・「いつまでもいるクソジジイ」になりたくない、という美学。
「いつまでも居座っているようなクソジジイで(お店のみんなに)迷惑をかけるんじゃないか」。UGさんは自分自身のことをそう笑い飛ばす。嘱託になってまで店長をやり続けてもいいだろうかという後ろめたさはありつつも、それでもやっぱり店長としてやり続けたいというバイタリティーが同居している。自分の限界を自覚しながら挑戦し続けるその姿勢は、潔さと貪欲さを同時に持つ。だからこそ稀有な人物であり面白いのだ。
取材・文/PiDEA編集長コガワ(@pideanaotoko1)
LINE





