【詳報】広告宣伝是正勧告事例集(第4集)~どこよりも分かりやすい解説〜
2025.03.19 / 組合・行政3月14日、ホール関係4団体より「広告宣伝で是正勧告を行った事例集(第4集)」が発出された。これは、同じくホール関係4団体が制定した「広告宣伝ガイドライン」(2023年2月9日発出、2024年2月29日第2版)が定める広告宣伝ルールに抵触し、是正勧告をされた事例のうち、特に多かったり特徴的だったりするものを選定し「事例集」としてまとめたもので、今回の事例集が4回目となる。
ホール関係4団体が「事例集」を出すのは、広告宣伝ガイドラインの文言だけでは伝わりにくいものや、本来であれば許されていたが、ホール現場側の拡大解釈などによってルールを逸脱してしまった事例を紹介することで、健全な広告宣伝の在り方を啓蒙するため。
今回の事例集には、19パターンの是正勧告事例が画像付きで公開されている。
それらを内容別に見ると、一番多かったのが「高設定等の示唆」で8件、二番目に多かったのが「記念日」に関する事例で4件、次に「日替わりおすすめ」の事例で3件、その他4件となっている。
本稿では、今回の事例集で取り上げられた事例のうち、特徴的な上位3事例について詳しく解説する。
①あの手この手の高設定示唆
事例集(第4集)で取り上げた事例のうち、最も多かったのがこの「高設定示唆」の事例。
一言で「高設定示唆」といってもその手法はさまざまで、「特定の日にメーカーキャラクターをレインボー柄で表示した」(事例⑨)や、「自店SNSで、特定の期間と機種を表示し『頂上(てっぺん)』と表示した」(事例⑩)などもあるが、特に注目すべきはいわゆる「3点セット」で是正勧告となった事例である。
この「3点セット」とは、2024年11月に発出された事例集(第3集)でも多く取り上げられていたが、要は、「日付」と「機種」と「設定示唆要素」が組み合わさった広告宣伝のことである。
単にレインボー柄を広告宣伝で利用することはガイドライン違反ではない。(参考:業界として禁止とする広告宣伝について(通知)~第2報)。ただ、このレインボー柄やその他設定状況を示唆する隠語的要素に加えて、「日付や期間」、「機種やメーカー」が組み合わさると、それは是正勧告になるということだ。

写真左⑨ 自店のSNSで、特定の日にメーカーキャラクターをレインボー柄で表示し、高設定を示唆/写真右⑩ 自店SNSで、特定の期間と複数の機種の表示と併せて、「頂上(てっぺん)への挑戦」と表示し、高設定を示唆
②あの手この手の記念日作り
二番目に多かった事例が、「記念日」に関するもの。事例集で列記されたものはそれぞれ、「北斗の日(北斗の拳連載開始日)」、「毎月○日」、「グランドオープンから2カ月」、「リフレッシュオープン」の4事例となる。
まず広告宣伝ガイドラインが定める、記念日関連ルールでは、国民の祝日や世間一般に認知されている日のほか、業界が定めた日(ファン感やパチスロの日など)や、当該企業やホールの創業日・創業月間を広告宣伝として利用することは許されているが、ホールが定める特定の日やキャラクター等の誕生日は禁止となっている。また創業日や創業月間はOKだが、「創業日から1カ月」などの表記も禁止だ。ホールの営業現場としては、あの手この手で、お客さまに「特別な日」を印象付けたいのであろうが、ルールの線引きをあいまいにしてしまうと、365日の毎日が記念日となってしまうので、ホール関係4団体としても厳しく対処しているのだろう。
③あの手この手の日替わりおすすめ
三番目に多かった「日替わりおすすめ」事例。2023年2月に発出された、新たな広告宣伝ガイドラインの中で、当時一番大きな緩和と見受けられた「おすすめ」という言葉の利用であるが、やはり当時から、「日替わりでのおすすめ」は禁止事項となっている。今回の事例集で認識すべきは、機種やメーカーに関連する賞品入荷を告知することで、実質的におすすめ機種を日替わり告知することもNGということ。広告宣伝ガイドラインは、すべての広告媒体に適用されるという点は要注意だ。
事例①を見るとSNSでの日替わり告知ももちろんNGであることが明記されているので、LINEなどで「機種のご案内」をしているホールは、意図的でなくとも、おすすめ機種が日替わりとならないよう細心の注意を払うべきであろう。
④昔懐かしエビアンの事例
今回の事例集で異彩を放っているのが、事例⑧だ。
ケンシロウとラオウが戦っている画像を背景に「北斗の拳景品フェア」の告知がなされているが、その広告と並べて表示する形で、別の賞品入荷告知がされており、その賞品が飲料水「エビアン」というもの。40代以上であればすぐにピンと来るかも知れないが、これはかつて「エビとアンコウ」の隠語として使われていたもので、「エビとアンコウ」とは即ち、海物語の図柄の「5と6」という理解になる。よって事例⑧の画像を読み解くと、「パチスロ北斗の拳に設定5・6が入っている」ということであり、事例集ではこれを「高設定示唆」として解説している。入荷賞品に関しては近年「ゴーゴーカレー」や「スマショット」なども話題にのぼっているが、「エビアン」までもが事例として列記されることとなった。
ちなみに賞品入荷に関しては、商品名をそのまま紹介する分にはガイドライン違反とはならないが、その賞品と、日付と機種が並べて表示されていたり、賞品入荷情報がホール内の機種のそばで告知されていたりすると是正勧告となる可能性があるので注意が必要だ。

自店SNSで入荷日と併せて設定を連想させる賞品名を表示
以上が今回の事例集(第4集)に関するPiDEA編集部独自の解説である(※記事中の解説や解釈は、ホール関係4団体の公式見解ではありません)。