遊技機メーカーの2023年3月期第3四半期決算が次々と出始めた。
2月10日現在までに発表されている各社の成績は以下の通り。
発表の先陣を切ったのは藤商事<東証スタンダード6257>。売上高266億700万円(前年同期比59.7%増)、営業利益44億3700万円(黒字転換)、経常利益46億2000万円(黒字転換)、純利益39億4800万円(黒字転換)と、前年同期の赤字から復活を果たした。
好業績を牽引したのは、わずか1機種のみの投入となったパチスロ部門だ。SLOTとある科学の超電磁砲(レールガン)が17,000台を記録。事業別の売上高は71億8,200万円と、前年の7倍超。販売台数も5.5倍と、藤商事の看板コンテンツへ成長した格好だ。
SANKYO<東証プライム6417>は、売上高は1280億6500万円(前年同期比82.1%増)、営業利益480億3900万円(139.8%増)、経常利益487億7400万円(133.9%増)、純利益386億7000万円(同128.2%増)と、中間決算に続き〝ミラクル〟と言える内容であった。
BISTYブランドのゴジラ対エヴァンゲリオン~G細胞覚醒~は年末年始の目玉機種として大量導入されホールを彩った。他にもフィーバー戦姫絶唱シンフォギア3黄金絶唱、フィーバーからくりサーカス、宇宙戦艦ヤマト2202-ONLY ONE-など、他社が半導体の確保に汲々とするなか、機種数も台数も揃えたSANKYOは売れに売れた。特筆すべきはパチスロ部門で、スマスロ第一弾として登場したL革命機ヴァルヴレイヴの効果もあり、部門別の営業利益は63億円。前年同期比1074%増と、驚きの成長を見せた。
平和<東証プライム6412>の決算もまた凄まじい。売上高1162億5300万円(前年同期比25.8%増)、営業利益281億6100万円(同182.8%増)、経常利益277億9300万円(同181.4%増)、純利益205億0600万円(同345.4%増)と、主に利益面で大きく伸張した。
特に遊技機事業の復活は華麗で、部門別の営業利益151億4000万円は、ゴルフ事業の151億6700万円とほぼ同水準。苛烈なリストラを経て、平和にようやっと「強い遊技機事業」が帰ってきた。
パチンコでは戦国乙女 LEGEND BATTLE、ルパン三世消されたルパン2022が。パチスロではBIG島唄30と、スマスロのバキ・強くなりたくば喰らえ!!! が販売台数を牽引した。
セガサミーホールディングス<東証プライム6460>は、売上高が2719億7900万円(前年同期比14.9%増)、営業利益382億2200万円(同17.0%増)、経常利益401億3800万円(同20.2%増)、純利益328億4600万円(同11.5%増)であった。
前述の3社に比べ増益率は大人しいものの、取引時間中の発表であったことから株価は急騰。10%を超える上昇となり、東証プライム市場の上昇率ランキングに顔を出した。
業績を牽引したのはパチスロ甲鉄城のカバネリ。業界がスマスロ一辺倒になる中で堅実な稼働を維持し、追加注文をこなす形で大きな利益をもたらした。
かなりの好業績になると囁かれていた第3四半期決算だが、藤商事、SANKYO、平和、セガサミーホールディングス、全社が通期業績を上方修正したのだから驚きである。SANKYOに至っては配当金の増額まで発表しており、「衰退する業界に半導体不足が直撃している」と考えていた市場関係者の度肝を抜いた。
部品の供給元である中国は、コロナ渦が落ち着き始めたことで生産能力を急回復させつつある。メーカー各社はその責務として遊技機の安定供給に努めると共に、好調な業績はホールあってのものだと理解した上で、機械代の引き下げや、高稼働機種の開発製造に努めてほしいところだ。