木村氏の総得票数を都道府県別に分析する 職域支部と都道府県行脚が鍵に

2022.07.15 / 組合・行政

第26回参議院議員通常選挙における木村義雄氏の総得票数は113,926票であったが、この得票数を都道府県別に分析してみるとさまざまなことが見えてくる。

2019年参議院選挙時より票を上積みした都道府県は?

まずは3年前の2019年参議院選挙時にパチンコ業界が全面的に支援した尾立源幸氏の得票数と比べ、票が上積みされた地域は、全国47都道府県のうち33都道県となる。特に木村氏の地盤である香川県が尾立氏の853票から12812票になったのを除けば、群馬県(176%)、佐賀県(151%)を始めとして、大都市圏である愛知県(尾立氏5681票→木村氏7169票)、福岡県(尾立氏6164票→木村氏8796票)でも大幅な上積み票が生まれた。特に沖縄を含む全県で3年前よりも票が上積みされている。

一方、尾立氏の地盤であった大阪府(尾立氏5401票→木村氏4116票)は24%減、新潟県(尾立氏1514票→木村氏994票)は34%減となり、岩手県(尾立氏1645票→木村氏813票)でほぼ半減している。ブロック別に見ると、宮城県を除く東北5県や、北陸3県で集票が叶わなかったのが特徴的だ。

自民党職域支部の下支えが顕著に

3年前の参議院議員選挙以降、パチンコ業界では政治活動や選挙運動の拠点として、全国20の都道県に自民党遊技産業職域支部を立ち上げている。職域支部とは、特定の職業が集まって組織する自民党の支持団体であり、遊技産業職域支部には全国で4500名~5000名の自民党員が所属している。

今回の参議院議員選挙の結果を見ると、職域支部が設置されている全国20都道県のうち16都道県では手堅く票を上積みしており、特に神奈川、千葉、愛知、福岡、熊本、宮崎、鹿児島では大きな上積みを成し遂げた。

一方、残りの4県(静岡、和歌山、岡山、広島)においても、3年前と比較し票の減少数は和歌山県を除いては微減に留まっている。

パチンコ業界の政治団体である全日本遊技産業政治連盟では、今後も職域支部設置を全国的に広げる意向を示しており、より一層、支持基盤の拡大を目指している。

木村義雄氏が訪問した地域の反響

全日本遊技産業政治連盟の公式Twitterアカウントから発信された、木村義雄氏の全国行脚の様子を見ると、木村氏が個人演説会やあいさつに訪れた地域は全国18都道府県になる。その内、14の都道県では3年前よりも票が上積みされており、残りの4府県(静岡、大阪、岡山、広島)も大きく票を減らしていないことから、全国行脚の効果は十分にあったと考えられる。特に注目すべきは、得票数が少なかったり、3年前と比べ減っていたりした東北・北陸ブロックにおいても、木村氏が直接赴いた福島県や石川県では票が上積みされたこと。

やはり立候補者が直接足を運び、支持を訴え、1人ひとりとあいさつを交わす、いわばドブ板の選挙運動がやはり奏功した形だ。

今回の木村氏の全国行脚については、組合組織の政治的中立性を担保するため、組合単位ではなく前述の職域支部を人集めの基点としたことからも今後、職域支部の全国展開こそが集票を大きな鍵になると思われる。

以上の分析は、あくまで都道府県別の得票結果を業界視点からのもので、主にSNSを通して支持をしてくれた一般ファン層がどれだけ結果に影響を及ぼしたのかは定かではない。政治連盟を中心として、業界団体がその点を今後どのように評価するのかはまた別の分析が必要となるだろう。

3年後の新たなチャレンジが「三度目の正直」となるのか「二度あることは」になるのかはまだ未知であるが、今回の大いなる教訓をぜひとも生かしてほしい。

※掲載都道府県の票数は公表されている速報値をベースにしています。

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