「P牙狼コレクション」高稼働の要因を検証する

2019.12.16

ホール関係者の予想を覆し高稼働のP牙狼コレクション

11月5日より導入が開始されたサンセイアールアンドディの「P牙狼コレクション」が絶好調だ。
ヘソ入賞口幅が通常の機種よりも1.5倍広く、ノーマルタイプのパチスロ機と同等に近い時速600回転も可能というコンセプトを持つ設定付パチンコの本機。導入から1カ月経過した現在も平均稼働は約2万個前後を維持しており、中古機相場も11月末時点で、約75万円と高値で取引されている。短命に終わる機種が多い中で、全国の店長たちの想像を良い意味で裏切った。
本誌では「設定付パチンコの切り札」になり得ると予想して、本機の運用シミュレートも実施した。

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他の設定付パチンコの稼働が芳しくない中で、なぜ本機が高稼働をしているのか。その要因を検証するため、前回の運用指南に続いて、遊技産業未来研究所の中野忠文氏に市場動向を検証してもらった。

ゲーム性、仕様、スペック・・・etc複合的要素で稼働アップ

「市場の動向を見ていると本機のスタート値はだいたい平均で9.5〜9.7くらい。常に保留があり安心できる状態です。稼働が良い最大の要因は、ユーザーがストレスを感じていないことではないでしょうか」(中野氏)

実際の運用は、千円スタートで37〜38回平均という状況。「ヘソが広くてAじゃないか」という同機のキャッチコピーにもあるように、この仕様がユーザーのストレスをなくし、遊技意欲を高めることにつながっているのだ。

「客滞率も非常に優秀で約250%くらいです。これは持ち玉遊技するユーザーが多いということ。そう考えると、ヘソ入賞口が1.5倍という以外にも高稼働の要因があると思っています。従来のコンセプトに加えてゲーム性やスペックも大きく影響しているのではないでしょうか。例えばシンプルなゲーム性です」

本機は電サポなしで、大当りの約20%で隠れ確変(ST50回)が付いてくるので、数珠つなぎのような連続大当りが発生しやすい。約1/179〜約1/129(設定1〜設定6)というライトミドル寄りの大当り確率でも、スタート値が高いため「甘デジ」に近い大当りを体感できるのも要因といえる。

「大当り後50回転まではSTの可能性があるので、50回転回してから遊技をやめるという一応の目安はありますが、数珠つなぎのように大当りが連続するのでSTを抜けたらやめようとか、確変が終わったからやめようというよりも、何個出たらやめようとパチスロのノーマルタイプと同様にユーザー自身がやめ時を探るような状況になっているのです」(中野氏)

合わせて「大当りの50%が1500個と新規則機の最大払出であるため、持ち玉遊技しやすい状況になっている」と言い、高稼働の要因は1つではなく、さまざまな要素が絡み合っていると考えられる。

パチンコAタイプコーナーで設定付パチンコ普及に期待

導入当初の稼働数値は、ユーザー側にとって非常に厳しい運用状況だったが、それでも稼働の落ち幅が他のP機よりも低かった。このため「徐々に運用を見直すホールも増えてきている」と中野氏は言う。
「11月末時点では全国平均の大当り確率は約1/150前後なので、設定3ベースで運用されているケースが多いと思います。段々と遊びやすい運用になってきつつありますね」と現状を分析。

これまで多くの設定付パチンコが出てきたが成功したとは言えない状況の中で同氏は「本機は設定付パチンコの1つの正解が示されたかもしれない」と言い、「パチスロのノーマルタイプと同様に、パチンコAタイプ専用コーナーができることを期待したいですね」と結論づけた。健全なホール営業をめざす上でも設定付パチンコ普及は不可欠。同様タイプのシリーズ後継機の登場を待ちたい。 

 

 

8個保留の消化スピードアップに加えて、1.5倍の入賞口幅にすることで従来の機種でネックとなるスタートのストレスを軽減。そのコンセプトは見事にはまり、アウト約2万個をキープすることに。

 

特定回数の電サポがつかないことや数珠つなぎでの大当りの連続を実現していることで、従来のような明確なやめ時をなくした。このためにユーザー個人がやめ時を探るようになり、結果客滞率アップにつながった。

 

大当り時の50%で約1500個の出玉が得られるため、持ち玉遊技を促進。ライトミドル〜ライトの大当り確率だが、スタート値が高いので甘デジに近い大当り感覚が得られることも遊技動機となった。

 

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