パチンコホール企業の YouTube裏事情を聞いてみた！　Channel1

SNS群雄割拠の現代において、その雄は間違いなくYouTubeである。日本国内におけるユーザー数は、Twitter（4500万人）やInstagram（3300万人）を遥かに凌ぐ6500万人。よちよち歩きの1歳児から、1世紀を生きた老人までユーザー登録されている巨大SNSに今、パチンコホール企業が積極的に参戦している。なぜ今YouTubeなのか。そして何を目指しているのか。担当者の方々の声を聞いてみた！

オカルト店長に聞いてみた！

パチンコホール関連のYouTubeチャンネルと言えば「ウラッキープラザ」（登録者数26.1万人）や「オカルト店長チャンネル」（登録者数11.3万人）、「ひげ紳士がパチンコ店を買い取ってみた。」（登録者数9.7万人）など、企業色よりもスタッフのパーソナリティーや企画性を全面に出した構成で人気を博してきた。
2017年から動画を投稿し続けている「オカルト店長チャンネル」のオカルト店長こと、千葉県・株式会社ヒカリシステムのI店長は言う。
「もともとはお客さんに向けたスタッフ紹介動画としてYouTubeを始めたのですが、店長だった自分の紹介をする時に、ジャグラーのオカルトを面白おかしく動画にしたら視聴者の反応がよかったので。それが今のチャンネルの本格運用を始めたきっかけになります」
「ジャグラー」と「オカルト」というキーワードを軸に、「閉店後に全台ぺカらす」や「倉庫から4号機を持ってきた」など、パチンコ店ならではの動画が人気となり、当初の目標であった登録者数10万人を突破。今でも週に2～3回コンスタントに動画を配信し成長を続けている。「上の指示には従わず、自分がやりたいことをする」と公言するオカルト店長の無双っぷりと、「気を付けていることですか？ セクハラです」とざっくばらんに答えてくれる人柄がチャンネルの人気を支えている。

 

 

ダイナムと123の担当者に聞いてみた！

昨今、スタッフのパーソナリティーに拠った動画と違い、いわゆる公式チャンネルとして、企業色を全面に押し出したチャンネルが台頭し始めている。登録者数14.4万人を誇る「マルハンチャンネル」（株式会社マルハン）を始め、業界大手ホール企業であるダイナムや123もYouTubeの積極的な活用を始めた。前段のチャンネルと違い、企業公式チャンネルの特徴は、芸能人や業界の人気ライターを積極的に起用し視聴数を伸ばしていること。
2010年からYouTubeを利用している「ダイナム公式チャンネル」は、2021年4月から人気芸人のFUJIWARAをMCに据えて「FUJIWARAのツレぱち」の公開を始めた。この番組は遊技に特化した実戦系チャンネルではなく、「街と生きるパチンコ」をコンセプトに、地域紹介と遊技の二本柱で「地域共生バラエティー番組」を目指している。
営業企画部の担当者は「パチンコ・スロットファンの方はもちろん、以前楽しまれていた方、初めての方にもパチンコの楽しさを再発見してもらいたいと考えています」と話す。「集客の手段の一つとして、YouTubeは重要なコンテンツと認識しています」というダイナム公式チャンネルの目標は2022年3月時点で登録者数6万人を目指している。
コロナ禍の今年7月からYouTube公式チャンネル「123TV」を開設したのは、全国に68店舗を展開する延田グループだ。
「集客目的だけではなく、企業のみならず業界を代表する発信力を持つメディアへと成長させ、延田グループの新しいエンターテイメントを世界へ発信する」ことを目的に開設された同チャンネルは、有名人気ライターの実戦動画だけではなく、「プロジェクトN～グランドオープンに密着」など、自社にしか作れない動画にこだわった番組を制作している。
「YouTubeは集客コンテンツになります」と答える担当の営業本部・上市悠太エリア長は、「集客コンテンツとしてだけでなく、YouTubeというプラットフォームに投資することで広告依存から脱却できる」と考えてもいる。再生回数よりも登録者数を重視し、3年後には30万人の登録を目標にしている。

スピードと若さがチャンネル成長の鍵？

今回取材した4社の特徴は、何よりもチャンネルを制作運営しているのは少数精鋭であり、その平均年齢が若いことが挙げられる。20代～30代の若手社員が中心となり、企画発案から公開までを取り仕切っている。流行りと廃りが超高速で入れ替るSNSの世界においては決定と行動のスピードこそが成否を分ける。
企業としてのコンプライアンスを守り、同時にブランド力を維持しながら、どれだけ的確に流行りを捉えることができるのか。そしてそれをどれだけ早く実行できるのか。
そのスピード感と、それを体現できる若さこそが、企業チャンネルを成功させる鍵であることは間違いない。