岡野陽一のパチンコ人生訓　Vol.2「本当のパチンコ」

「借金芸人」岡野陽一が送るPiDEA新連載！
パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともに語る。

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今月の金言

「本当のパチンコ」

 

談：岡野陽一

皆さん、「本当のパチンコ」を打っていますか？　私は恥ずかしながら、「本当のパチンコ」ではないパチンコを打ってしまっていた時期がありました。

それは私が24から26歳ぐらいの頃です。きっかけは学生ローンの怖いおじさんに「兄ちゃん、これ以上借りたら首吊らなあかんで」と言われたことでございます。それからはパチンコに真剣に向き合うようになりました。ホールに通って、データを調べ、それをまとめた自作のノートを作りました。

いつしか、期待値を追い求め、勝つためだけにパチンコをするようになっていました。いい台に座ったと思ったら、1ゲームでも多くということだけを考えて回し、演出で熱くなることもなくなりました。パチプロ集団に、仲間だと思われて話しかけられるようになったんです。「昨日吸われてましたね」「最近は調子いいっすね」「あのおじさん、さっきの台どいたみたいです。ほんとバカっすわ」

 

「本当のパチンコ」は辛い

今になって分かります。その時のおじさんたちが、養分と言われた方々こそが本当のパチンコを打っていたんですよ、あの人たちの方が豊かだったんです。逆に目を血走らせて列に並んだり、ハイエナで張り付いている人はパチンコをやれていない。本当のパチンコじゃないんですよあれは。

本当のパチンコというのは辛いものではあります。例えば昔、夜8時くらいにMAX機の島でずっとうなだれているおじさんを見かけました。打ちもせずにずっとうなだれているんです。それを見て私は思うんです。これこそが「本物のパチンコ」だと。

一昨年、三重県のオールナイトパチンコに行きました。朝の5時ごろになるとみんなソファーで、戦後の時代の光景みたいに倒れてるんですよ。本当に生きてるのかなと思って心配になるくらいでした。大げさじゃなくて、力尽きて倒れているんです。この人たちはもう動けないんですよ。

私にももちろん同じような経験があります。あの時って、「どうしよう」って思ってるんです。「今後どうしよう」って。あるいは1000円持ってて、これを入れるか、どうせ負けるからこの後これで寿司食って帰るか考えてるんです。

 

弱みを見せられる場所

現代社会で自分の弱みを見せることのできる場面って少ないじゃないですか？　でもパチンコ屋さんにいくと、すべてをさらけ出している人がいるんです。私は、パチンコ台にゲボを吐く場所を作ってもいいんじゃないかって思ってるくらいなんです。本当に辛い時はゲボを吐いていい、ということにしてもいいんじゃないかと。パチンコホール は、むき出しのそういう世界でいいんじゃないかと思います。

今は一度失敗しただけですべてが終わりだと考えて、病んでしまったり、極端な行動に出てしまう人がいます。 　でもパチンコって簡易的にすべてを失う経験ができるんですよ。我々パチンコを打つ人間は、パチンコで大負けすることによって「臨死体験」ができて、それで免疫ができる、強くなるというところがありますよね。

これまでも、パチンコで負けて「終わった。明日から無理。もう誰にも借りられない。今回の支払いはどうしても払えない」と思ったことがあります。100回くらいあります。でも、結局乗り越えられるんですよ。パチンコをしない人なら「終わりだ」と思ってしまう、「終わり」に耐えられなくなってしまう局面でも、パチンコ好きは「終わらない」ということが分かっている。

なので、私は義務教育にパチンコを加えたらいいんじゃないかと提唱しています。国数英理社パです。

それは極端としても、私はパチンコを、1万円で終わるんじゃなくて、貯金全額使ってほしい。若いうちがいいですね。全財産が少ない若いうちに、すべてを失う経験をして、免疫をつけておくと役に立つんです。

 

 

部活もパチンコも同じこと

だからと言って、負けに行く気持ちで打つというのはちょっと違う。むしろ、必死に勝ちに行く、必死に勝ちに行って負けることのキツさを味わってほしい。

結局元を辿ると、部活とかと同じなんですよ。一生懸命に打ち込むからこそ価値がある。ただ、高校野球とかだと時間がかかりますよね。球拾いから初めて、必死に練習してレギュラー取って、大会に出るまで3年かかります。パチンコならそのサイクルを1日で回せるんです。勝ちも負けも多く経験することができます。

お金に目をくらませて期待値を追いかけていると得られない「本当のパチンコ」がそこにあります。これが本物のパチンコです。どうですか皆さん、「本当のパチンコ」を打っていますか？