緊急事態宣言へ菅首相が会見、ホールへの影響は?

2021.01.04 / 新型コロナ

菅首相は1月4日午前11時に会見を行い、緊急事態宣言に関する政府の今後の動きについて発表した。

年末年始にかけて、国内の新規感染者数は高水準を維持。それを受けて、1月2日には首都圏の知事らが政府に緊急事態宣言の発令を要請し、1月4日には「1月9日(土)0時」と具体的な日時を記して、政府は緊急事態宣言発令に向けて調整を行なっている、という報道も一部メディアでは流れた。

実際の菅首相の会見では、「緊急事態宣言の検討に入る」と明言。しかし、実際に緊急事態宣言が行われるかどうか、またその開始日については明言しなかった。

さらに、緊急事態宣言とは別個に、飲食店の時間短縮営業の20時までに引き上げを要請。また、罰則と補償を盛り込んだ「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(※インフルエンザとあるが、コロナウイルスへの対策もこの法律に則って行われている)の改正に向かって進んでいくと述べた。

業界として注目すべきは首相の発言の大部分が「夜の飲食店での会食」に焦点を合わせたものだったところだろう。北海道や大阪など飲食店での時間短縮をより重視して行っていた地域では感染拡大が抑えられていること、首都圏での経路不明の感染者の多くが飲食店での会食の際に感染したと見られていること、などを挙げ、「約一年の間学んできた結果を踏まえて」緊急事態宣言を検討する、と発表した。

また、以前行った「経済活動すべてを止める緊急事態宣言」とは違うものを想定しているのか、という記者の質問に対しては「(緊急事態宣言は)限定的に行うことが効果的」であるという考えを示した。

 

これを見るに、少なくとも政府としては、今後商業施設の営業時間短縮や休業を要請する際に、パチンコホールをメインのターゲットとしては見ていないということがわかる。

感染拡大の状況によって、「飲食店の夜間営業のみ」→「昼間営業も含めた飲食店全般・イベントや集会」→「商業施設全般」→「学校・福祉施設・スーパーマーケット・ドラッグストア」→「民間人の外出全般・ロックダウン」といった形で、休業要請の裾野が広がっていき、その中にパチンコホールが含まれる可能性はもちろんあるものの、その裾野のどこに位置付けられるかは実証的な知見に基づいて判断されるだろう。

 

過去1年間、コロナウイルスとホール営業をめぐる世論や行政の見解は大きく変わってきた。バッシングや店名公開などの理不尽な措置を受けた時期もあったが、それでも耐え忍び休業や感染対策を続けたホール従業員の努力、そしてパチンコホールの換気能力を示す実証実験動画の制作など、安全性のアピールなどの施策が実を結びつつある。

 

結論としては、今回の緊急事態宣言に向けた政府の動きにより、パチンコホールがただちに前回のような大規模な営業自粛に追い込まれる可能性は現時点では低いといえる。

しかし、懸念点は残る。営業自粛要請の対象にホールが含まれなかったとしても、自粛要請が行われることそのものが人々の心理に与える影響は大きく、来客数や売上が減少するのは避けがたい。

また、緊急事態宣言が発令された場合、住民への要請を行う主体は都道府県となる。菅首相は科学的根拠のもと、感染拡大を防ぐには飲食店に限定した制限を行うことが効果的という考えを示したが、各都道府県の知事はそれとは異なった意見を持っている可能性がある。イメージによる強権的な施策で、一部の業種にだけ不都合が降りかかるような事態はあってはならない。

 

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