国内企業:大阪メトロ 夢洲駅タワービル計画(1,000億円超)見直しへ。IR予定遅れに対応

2020.07.10 / カジノ
2020-07-10

【国内ニュース】

IR整備法が成立(2018年7月20日)し、公布(7月27日)された。国内企業は、事業関与の仕方、ターゲット・エリアを定める必要がある。

事業関与は、主に、IR事業主体(コンソーシアム)へのエクイティ参画、IR事業主体からの業務受注、に大別されよう。
IR事業主体(コンソーシアム)は、地域企業、都市開発企業、海外IR事業者などで形成へ。

ターゲット・エリアについては、IR上限数「3」を前提に、自らが強みを持ち得るエリアを抽出することが肝要。

2020年、都道府県・政令市(IR区域整備計画を国に申請する)は、実施方針を策定し、IR事業主体を選定へ。

大阪府市 夢洲鉄道アクセス関連企業

カジノIRジャパン:大阪府市の動向

大阪メトロ 夢洲駅タワービル計画(1,000億円超)を見直しへ。IRスケジュール遅れに対応

・7月上旬、大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ)の河井英明・社長は、複数メディアのインタビューに対応。「仮称)夢洲駅タワービル」開発計画の見直し(投資規模縮小, 開発時期延期)に言及
・IR開業見通しの遅れ(当初は2024年度予定であったが、現在は2027~2028年度予定)に対応。計画発表時より、当初より、大阪メトロは、「仮称)夢洲駅タワービル」開発計画は、IR誘致が前提との考えを明らかにしていた
・2018年12月、大阪メトロは、「仮称)夢洲駅タワービル」を2024年度に開業させる計画を発表
・「仮称)夢洲駅タワービル」は。新駅「夢洲駅」と連結した、55階建て高さ275mの複合商業施設のコンプレックス。投資額は1,000億円超
・一方、大阪メトロは、中央線の夢洲への延伸は、計画通り2024年度の開業予定を堅持

近鉄GHD 新経営体制で大阪IRを商機~MGMオリックス事業体出資にコメントせず

・3月25日、近鉄グループホールディングス(GHD)は、トップ人事を発表
・新社長は、小倉敏秀氏(64, 三重交通GHD・社長)。小林哲也・会長(76)は留任、吉田昌功・社長(67)は近鉄不動産・会長に
・小倉次期社長は、記者会見にて、大阪市夢洲における25年万博、IRを商機と認識、構造改革と斬新なビジネスを展開したいと述べた
・近鉄GHDは、大阪府市IRに関連し、鉄道・沿線開発事業、夢洲をハブとするフェリー事業、夢洲内の事業参画などを検討してきた
・ただし、MGMリゾーツ・インターナショナル/オリックスが形成する大阪IR事業体への出資対応については、現在までコメントせず
・2月14日、大阪府は、RFP受付を終了。MGMリゾーツ・インターナショナル/オリックスのみが参加
・MGMリゾーツ・インターナショナル/オリックスは、関西有力企業に出資を要請中。約20社、最大1,400億円の募集とみられる

大阪IR JR西日本, 出資検討。関西経済貢献を評価~MGMオリックスと協議

・3月20日、日刊工業新聞は、JR西日本の大阪IRへの出資検討の状況をレポート
・JR西日本は出資を検討中。検討のポイントは、
– オール関西企業の位置づけになれば、採算性のみの判断にはならない
– 判断における評価項目には、観光・MICE産業への貢献、依存症対策、国の基本方針との整合性、地域経済への波及効果、社会的価値などを設定
・2月14日、大阪府は、RFP受付を終了。MGMリゾーツ・インターナショナル/オリックスのみが参加
・MGMリゾーツ・インターナショナル/オリックスは、関西有力企業に出資を要請中。約20社、最大1,400億円の募集とみられる

近鉄GHD 夢洲をハブとする高速船事業を推進、他鉄道事業者と協議。関空間45分

・1月2日、読売新聞社は、近鉄グループホールディングスの夢洲をハブとする高速船事業を進める方針を決定したと報じた
・想定される航路は以下の通り
(1)夢洲-関西国際空港
– 高速船(100トン級, 定員100人強)を数隻を新造。片道45分。1日に約20便運航、2000-3000人を輸送
– 万博が開幕する2025年4月までの開業を目指す
(2)夢洲-海遊館-USJ
– 小型船(60トン級, 定員約80人)
(3)夢洲-瀬戸内海や大阪湾
– 遊覧船(500トン級, 定員約300人)
(4)夢洲-神戸空港
・近鉄GHDは、傘下にフェリー会社を持つ。南海電気鉄道や他の鉄道事業者にも参画を呼びかけ
・近鉄GHDは、5月21日に公表した長期目標(2033年度)にて3大プロジェクトの筆頭に「①万博・IR関連」を挙げ、以下の検討を表明
– 夢洲と近鉄線を結ぶ直通列車による沿線へのアクセス網の整備(大阪メトロ中央線との相互直通運転)
– 夢洲でのグループ各社の事業参画の検討

京阪HD石丸社長 大阪IR出資に関心。府市選定の勝者に1%以内~産経新聞

・12月17日、京阪ホールディングスの石丸昌宏・社長は、産経新聞のインタビューに対応
「府市から選定された大阪IRに少数株主としての出資に関心がある」
「(株式保有比率が)1%を超えることはない」
「IR区域内における事業展開は想定していない」
・京阪HDは、中之島線延伸(大阪メトロ中央線に九条駅で接続, 京都-夢洲間アクセス)について以下の考えを持つ
「大阪、夢洲IR誘致が決定しなければ着工できない。万博だけでは恒常的な需要が見込めない」
「大阪IR誘致が決定した場合、決定後5年以内に開業する方針。ただし、2025年までの実現は困難」
「延伸事業費は、ざっくり、500億円から1,000億円」

JR西日本 真鍋会長 夢洲鉄道・北ルート「将来の輸送量を見極めて判断」

・7月26日、JR西日本の真鍋精志・会長が、関西プレスクラブ定例会にて講演
・テーマは「JR西日本の30年とこれからの取り組み」
・そこで夢洲アクセスであるJR桜島線の延伸(桜島から夢洲への延伸)についてのスタンスを説明
「(延伸には)海底トンネルが必要。その建設に10年はかかる、万博には間に合わない」
「まだ将来の輸送量が分からない。それを見極めてたうえで判断したい」
「(桜島駅から夢洲は、)バスが主力。自動運転技術の導入も検討」

近鉄グループHD 長期目標 夢洲IR アクセスに加え, 事業参画を検討

・5月21日、近鉄グループホールディングス(HD)は、新「近鉄グループ経営計画」~長期目標(2033年度)および中期計画(2019-2023年度)を公開
・長期目標の新3大プロジェクトとして、「①万博・IR関連」「②上本町ターミナル」「③伊勢志摩地域の活性化」を挙げた
・「万博・IR関連」では以下を推進
– 夢洲と近鉄線を結ぶ直通列車による沿線へのアクセス網の整備
– 夢洲でのグループ各社の事業参画の検討

近畿日本鉄道 奈良、伊勢志摩方面から夢洲への直通特急~新型車両の協議開始

・5月14日、近鉄グループホールディングス(HD)は大阪市夢洲と奈良方面を直通運転する新型車両の開発を海外メーカーの協議開始を発表
・奈良線は近鉄奈良駅を始発駅とし、大阪メトロ中央線に乗り入れる近鉄けいはんな線に接続
・計画では、乗り入れする生駒駅の付近に、渡り線を新設。両線は集電方式が異なるゆえに、両方式対応の新車両を開発へ
・2019年1月、近畿グループHDは、奈良、伊勢志摩方面からの夢洲アクセスの検討開始を明らかにした

大阪メトロ 夢洲開発効果で非鉄道部門の営業利益倍増を期待~IR誘致前提

・2月15日、大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ)の河井英明・社長は、大阪市会にて、非鉄道部門について収益展望を明らかにした
「現時点では、非鉄道部門の営業利益は、タワーなどの開業効果が出る2025年度以降、それまでの2倍近くになる」
・2018-2024年度中計では、非鉄道部門の7ヵ年累計の営業利益を850億円
・新規の最重要プロジェクトは、夢洲開発
-中央線の新駅「夢洲駅」と55階建て高さ275mの複合商業施設「(仮称)夢洲駅タワービル」のコンプレックス
-投資額は1,000億円超
-IR実現を前提に、2024年に開業を目指す。今後1-2年内に大阪市など関係機関と土地確保などについて調整・協議
・同社は、夢洲開発を、IR誘致実現を前提とする。経済合理性を得るためにIRの継続集客が不可欠の判断
「(夢洲に)IRが来ない場合、それに見合う開発がされない限り夢洲開発は無理」

京阪ホールディングス 中之島線延伸(中央線接続)、京都-夢洲アクセス~IR決定が着工の条件

・2月、京阪ホールディングスの加藤好文・社長は、共同通信のインタビューに対応
・加藤社長は、夢洲アクセス、中之島線延伸の考え方を示した
・同社は、中之島線の延伸、大阪メトロ中央線(2024年に夢洲駅の開業目指す)への九条駅での接続の計画を検討中。延伸は、京都方面と夢洲を直結する
「(2025年までの実現は、)普通に考えたら難しい」
「万博だけでは恒常的な需要が見込めない」
「夢洲でのIR開業が正式に決まらなければ着工できない」
「延伸事業費は、ざっくり、500億円から1,000億円」
・加藤社長は、2018年4月に以下を発言。今回の見解は、それを踏襲
「大阪IR誘致決定した場合、夢洲から京都を結ぶ、中之島線の延伸について、誘致決定後5年以内に開業する方針」

近畿日本鉄道 奈良、伊勢志摩方面から夢洲への直通特急を検討

・1月19日、共同通信は、近畿日本鉄道が、奈良、伊勢志摩方面からの夢洲アクセス投資検討を開始したと報じた
・夢洲の2025年万博およびIR整備の動きに対応
・検討策の方向
-近鉄けいはんな線(大阪メトロ中央線に乗入。中央線は2024年の夢洲直結を目指す)、近鉄奈良線(奈良方面、伊勢志摩方面)の直通特急を開設
-両線が相互に乗り入れる生駒駅付近に渡り線を設置
-両線に乗り入れ可能な新型車両を開発
-2024年の実用化を目指す

大阪メトロ 夢洲新駅とタワービル構想1,000億円超~IR誘致が前提

・12月20日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は、夢洲開発計画を発表。同社最重要プロジェクトの位置づけ。投資額は1,000億円超
・中央線の新駅「夢洲駅」と55階建て高さ275mの複合商業施設「(仮称)夢洲駅タワービル」のコンプレックス
・今後1-2年内で行政等の調整を実施し、2024年開業に向けた具体的な検討を推進へ
・大阪メトロの開発方針は、2017年2月に大阪府市・経済界が公表した「夢洲まちづくり構想(案)」に準拠
・大阪メトロは、IR誘致を開発計画の前提とした。経済合理性を得るためにIRによる継続集客が不可欠の判断

大阪メトロ 夢洲IR連動~延伸2024年度開業を目指す、観光施設に数百億円投資

・7月9日、大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)は、中期経営計画(2018-2024年度)を公表。4月の民営化後の初公表
・夢洲IRに関連するポイントは以下の通り。
-中央線のコスモスクエア駅から夢洲への延伸は、2024年度中の開業を目指すと明記
-IRと連動した観光客向けの商業施設の開発に対して数百億円を投資
・河井英明・社長の記者会見での発言
「西の拠点として夢洲が開発されることを大いに歓迎する。関係者と連携し、できる役割は最大限果たしたい」
・なお、夢洲への鉄道延伸については、JR西日本も桜島駅以西を検討する方針を発表済み

京阪HD社長 大阪IR-京都アクセス 中之島線延伸 IR決定後5年内開業方針

・4月11日、加藤好文・社長が日刊工業新聞のインタビューに対応
・大阪IR誘致決定した場合、夢洲から京都を結ぶ、中之島線の延伸について、誘致決定後5年以内に開業する方針
・延伸は、中之島駅から九条駅までの地下路線2Km区間。総工費は1,000億円以上
・中之島線は、九条駅で大阪メトロ中央線と接続。地下鉄中央線は、夢洲への延伸を計画中
・夢洲の鉄道アクセスは、大阪メトロ中央線の延伸がほぼ確定

南海電気鉄道 大阪市夢洲IRに協力 関西国際空港-夢洲の旅客船運航を検討

・2018年3月28日、産経新聞(大阪)は、南海電気鉄道 遠北光彦・社長のインタビューを掲載
・大阪市夢洲IR構想への協力姿勢を強調
「大阪の国際都市としての都市格向上につながる」
「関空からのアクセスやIR施設内での移動について関わっていきたい」
・具体案として、大阪市夢洲IRに協力 関西国際空港-夢洲の旅客船運航を紹介
・大阪市夢洲IRに協力 関西国際空港-夢洲の旅客船運航を検討
・南海電気鉄道は、関西国際空港からの大阪市内へのアクセス線を担う。山中諄・相談役が長年、大阪市のIR誘致を支持してきた経緯がある

JR西日本 夢洲への桜島線の延伸 IRなしには困難

・2017年2月15日、西日本旅客鉄道(JR西日本)の来島達夫・社長が夢洲への桜島線の延伸について言及
「単独で目的なしにできるものではない」
・IRや2025年国際博覧会(万博)の誘致が条件となる考えを示唆
・大阪府市の万博誘致は、IR誘致を前提とする。万博の開催資金、開催地インフラ整備は、IRの収益を財源とするスキーム
・大阪府市は、万博が来ない場合でも、IR誘致を推進する方針
・必然的に、IRなしには延伸は困難となる

夢洲への鉄道アクセス検討 大阪府市「夢洲まちづくり構想」(2017年8月決定)

・適切な輸送能力を持つ鉄道網の整備による臨海部のアクセス強化
・夢洲駅を中心とし、北ルート(京阪中之島線延伸・JR桜島線延伸)と南ルート(地下鉄中央線延伸)の2方向による鉄道ルートが考えられる
・夢洲の段階的な土地利用の状況に応じた鉄道整備を検討する。
(議論過程では、2024年に南ルート開通、2026年以降に北ルート開通を想定)

<参考>
・2014年9月、IR立地準備会議「夢洲への鉄道アクセスの技術的検討の報告」における鉄道アクセス案
①JR桜島線の延伸(工事延長6km、概算整備費1,700億円)
②中之島線を西九条経由で新桜島まで延伸。新桜島から夢洲までを北港テクノポート線でつなぐ(工事延長11km、概算整備費3,500億円)
③地下鉄中央線をコスモスクエア駅から夢洲に延伸(工事延長3km、概算整備費540億円)

 

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