猛威を振るう新型コロナウイルスで発せられた緊急事態宣言。対象の東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県では多くのホールが休業し、他県でも独自の要請などから休業を決断するホールが相次いでいる。
緊急事態宣言発令後の休業も大きく影響しているが、それ以前でも広告宣伝の自粛や外出を控えようという世間の風潮、話題の「#StayHome」からか稼働低下が大きく進んでいた。
3月1週目、1〜7日の平均稼働はパチンコが約15500個、パチスロは約8500枚だった。しかし3月4週目の22〜28日の平均ではパチンコ13500個、パチスロ7700枚と大きく減少。前述した通り、緊急事態宣言が発令される前の期間においても大きな減少が見られている。
では、緊急事態宣言の発令後ではどうなっているのか。先週、4月5日〜11日の最新期間の平均稼働はパチンコが約6200個にパチスロは約5350枚。3月1週に対して、パチンコに関しては60%、パチスロは38%の大幅減少になっている。
このように全体稼動が大幅に低下している状況では、入替を告知できない新台も当然、厳しい稼働であることは想像に難くない。流動的な新台支持層ユーザーの遊技に期待できないからだ。しかしながら、逆にいえばこの状況下でもし良い結果を残している新台があるとすれば、今後の稼働にも期待できるのではないか。
こうした仮説のもと、直近に登場したパチスロについて稼働数値を調査をしてみた。
ピックアップするのはこの3機種だ。
3月23日登場の「新鬼武者~DAWN OF DREAMS~」は、5号機半ばに登場した「新鬼武者」から続く言わずと知れた人気シリーズの最新作。同名ゲームとのタイアップで、5号機時代3機種はサミー系列だったが、今作からはゲーム開発元であるカプコン直下のエンターライズからの登場だ。
続き「パチスロ咲-Saki-」「スナイパイ71」は緊急事態宣言とほぼ同時期の4月6日登場。
「パチスロ咲-Saki-」はパチンコ2作が登場している、麻雀にかける女子高生を描いた人気コミック「咲-Saki-」初のパチスロだ。
一方、「スナイパイ71」は設定の奇偶が筐体の発光色でわかり、奇偶で技術介入の難度が違うという斬新なシステムの機種。
この3機種それぞれの導入初日と導入6日後のデータを比較してみよう。
導入初日 | |||
新鬼武者(3/23導入) | パチスロ咲-Saki-(4/6導入) | スナイパイ71(4/6導入) | |
全国平均稼働 | 6772枚 | 4763枚 | |
機種稼働 | 19650枚 | 19000枚 | 15300枚 |
支持率(機種/平均の稼働比率) | 約290% | 約400% | 約320% |
導入6日後 | ||||||
新鬼武者 | パチスロ咲-Saki- | スナイパイ71 | ||||
全国平均稼働 | 8927枚 | 初日との対比 131% |
5904枚 | 初日との対比 124% |
5904枚 | 初日との対比 124% |
機種稼働 | 16100枚 | 82%(▲18%) | 15350枚 | 81%(▲19%) | 11800枚 | 77%(▲23%) |
支持率(機種/平均の稼働比率) | 約180% | 62%(▲38%) | 約260% | 65%(▲35%) | 約200% | 62%(▲38%) |
3機種の初日の稼働を見てみると19650枚で「新鬼武者」がトップだが、コロナの影響が現在ほど極端に出る前に導入されているからこその数字とも言えるだろう。ゆえに公平性のある一律の基準としては、平均稼動に対する機種の稼働を比率で表す「支持率」が重要といえるだろう。
支持率を基準にした場合のトップは「パチスロ咲-Saki-」で、なんと400%。パチンコ2機種の実績があるとはいえ「咲-Saki-」シリーズのネームバリューは「新鬼武者」に劣る。しかしネームバリューに頼らずに「新鬼武者」の2倍以上の数値を叩き出している点は驚きだ。
導入6日後、つまり導入後最初の日曜日の結果でも「咲-Saki-」がトップで、支持率は「新鬼武者」の約180%、「スナイパイ71」の約200%を大きく引き離す、約260%と非常に優秀な数値を叩き出している。この状況下においては数少ない、明るい話題といえる。
緊急事態宣言の発令が明らかになった4月6日。その日に登場した「咲-Saki-」「スナイパイ71」は首都圏や関西圏などの大都市で直後に休業が始まったために、多くのユーザーが遊技どころか設置されているのを目にしたことも少ないはずだ。
現在休業しているホールにとっては、期間中に出たすべての機種が休業明けに〝新台〟となる状況。ユーザーの中には4月の新台を楽しみにし、営業再開時の〝超大型新台オープン〟を心待ちにしている人も少なくない。休業中でもできることとしては、全国数値や他県での動向などを追い営業再開時にどうユーザーを呼び込むかなど計画を練っておくのが得策だ。
その意味でも、今回調査した3機種は頭に入れておきたい。特に稼働が好調で今後にも期待できる「咲-Saki」は、稼働推移や中古価格など注視しておいたほうがいいだろう。
※稼働数値データ:PiDEA調べ