高橋正人「6月1日から釘はどうすべきか」

2015.05.28 / 連載

【水曜】高橋正人のパチンコ運用リアル養成講座

[第50回]機構の遊技機性能調査について

一般社団法人遊技産業健全化推進機構(以下「機構」」)が「6月1日」から行うとされる【遊技機性能調査】(以下「調査」)について、私「高橋正人」が一人の業界人として、私なりに解釈した考察を一言ここに記しておきたいと思う。以下の考察において、『それなりの根拠・裏付けはある』範囲で記している事をご承知おき願いたい。それらの事実を、「時系列」で流れを整理してみたいと思う。

■(1)元を辿れば、今年の【1月23日】まで遡る。
この日「全日遊連理事会」にて「警察庁保安課・小柳誠二課長」が語った。『業界内では、メンテナンスとしてくぎの調整をする必要性が議論されることもあるが・・・』と前置きされた上で、『意図的に遊技性能を改造して、過度に偶然性に頼った遊技等を創出していることがうかがわれる。』と述べた訳で、この先、『既にご承知のことですが・・・』と言うフレーズの根拠となっている事を、我々は承知しておかねばならない。更にこの時、『遊技機が検定機と同一であることを、都道府県公安委員会に対し保証した製造業者の信用を傷つける行為であり、遊技機の型式検定制度の根幹を揺るがす悪質な行為』と痛烈に批判されていた。そして最後に、『釘の問題を業界全体で改善すべき課題と捉え、不正改造事案の絶無を目指して頂きたい』と締めくくられた。

■(2)【4月28日】付けで要請。
この日、警察庁から「機構」側へ「立入検査時におけるチェック内容の追加検討について」と言う要請が成された。『貴職におかれましては・・・(中略)不正改造その他法令違反が認められた場合には、管轄都道府県警察へ通報がなされており不正改造の絶無に向けた取組として多大な貢献をしていただいていることと承知しております』と言う前置きに続き、『遊技くぎに変更が加えられた疑いのある事案についても・・・(中略)、新たに遊技くぎをチェック内容の一つに加えることを、検討して頂きたい』旨の要請が出されている。

■(3)【5月14日】付けで対応承諾。
この日、機構側から「警察庁生活安全局保安課課長 小柳誠二様」宛として、【遊技機性能調査の実施について】が提出された。(前略)『5月13日に開催の当機構定例理事会において協議検討の結果、(中略)当機構として可能な限り(不正改造の)是正に向けた取組を展開すべきとして結論付けた』と報告している。

・<具体的な調査内容の精査>について
具体的に「遊技くぎの注視する点」としては、【1月23日】の警察庁講話内容から判断する事となる。
その講話内容とは、『遊技くぎについては平成23年から同25年の3年間に無承認変更の行政処分が22件発生し、そのほとんどが、遊技盤面下部の左右に存する一般入賞口付近のくぎを狭めているか、大当り抽選が作動する中央入賞口のくぎを調整し、大当り抽選の入賞に偏らせるなどを行い・・・(中略)改造していることが疑われるものである』との内容に準ずる事となる。そして結果として、機構の調査は「一般入賞口」並びに「中央入賞口」付近の遊技くぎを重点的に確認する調査となる。

・<業界内で周知徹底されるまでの猶予期間>について
機構側の思いとして、以下の様に述べられている。
『なお、ぱちんこ遊技機の「遊技くぎ」の問題が業界内で周知徹底されるには若干の猶予期間が必要であると思っております』とした上で、『当機構と致しましても御指摘された「遊技くぎ」の問題を業界内に注意喚起する予定ですが(【5月20日】夕刻には、機構のホームページ上に詳細がアップされている)、あわせて当機構検査部が遊技機性能調査を開始した後も、半年間程度は猶予期間として捉え、例え遊技機性能調査で異常が確認されたとしても、各都道府県警察への通報は控えさせて頂こうと考えております』と記している。ただし、その後に追加文章もある。『もちろん猶予期間であっても、あまりに悪質な場合等は個別に御相談させて頂く予定です』

■(4)【5月15日】付で、「ホール5団体」「日工組・日電協」に要請。
書面日付は【5月15日】になっているが、18日にホール5団体が警察用に呼ばれ、警察庁からの資料に基づいて要請された。その書面が、【遊技機の不正改造の絶無に向けた更なる取組について】(要請)と言う文書になる。この文書内の前置き文として、『遊技くぎを曲げるなどして検定な認定を受けた遊技機と異なる遊技性能を創出することについては、悪質な不正改造事案であるのは『御承知のとおり』ですが・・・』と言われている。これは先に記した1月23日の講話にあたる。

ここでの趣旨は以下の通り。
『新たな機構の取組に賛同していただくとともに、引き続き、機構の立入検査活動の御理解、御協力を賜るようお願いいたします』また、警察庁保安課から機構に対し要請した趣旨として・・・『遊技くぎに関する不正改造に対する業界の自浄作用を促すため』であるとし、『機構の取組の開始から半年程度の期間においては遊技くぎに関する不正改造の疑いがある場合の警察への通報を原則的に行わないようお願いしております』と記している。

<考察>
この一連の流れ・記述・要請・等々が全てである。『それ以上も、それ以下も無い』のが今の現実である。つまり、警察庁保安課は「自浄作用を促している」のであって、「即、取り締るものでは無い」と記している。しかしながら、自浄作用が働かないと判断されれば、その先、つまり「半年後」には「それなりの対応が有り得る」とも言える。

では【機構の調査基準】と何なのか?それに対して機構側の【遊技機性能調査の実施について】文書内で、こう記されている。『ぱちんこ遊技機の「一般入賞口」は、(保通協試験時)ほとんどのぱちんこ遊技機がある程度のベースを維持している』と伺っております。『この状態を「正規遊技機の基準」として捉え、遊技機性能調査を実施して参りたい』と思っている。

つまり、『ある程度のベースを維持している状態が正規遊技機の基準である』と言う見解と読み取る事になるのであろうか!? また、【検査】ではなく【調査】である事と、【通報】ではなく【報告】である事を、先ずは熟知頂きたいと切に願うものである。「個人の想像」やら「勝手な思い込み」で情報が錯綜する事が十分予想されるし、現実に起きているものと承知している。それらに惑わされる事無く、正しい情報を理解した上で、正しい健全化の方向に進んで頂きたいと願い、私の考察とさせて頂きます。

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高橋正人

パチンコ業界歴30年の大ベテラン。ホールや機械について、すべてを知り尽くしたコンサルタント。現在、有限会社トータル・ノウ・コネクションズ代表取締役社長、株式会社エル・イー・オー代表取締役社長。

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