藤崎敏郎「アドラーを勘違いした〝生兵法〟に思う」

2016.06.09 / 連載

【金曜】藤崎敏郎の人材育成セミナー
第101回「 褒めてはいけない!?」

アドラー心理学について書かれた本を読んで、褒めない指導を推奨するリーダーがいました。「褒めることをしていると、褒めないとやらなくなる。自分から行動しなくなる」というのが理由です。この考え方は、アドラーが言っているのだから、間違いないと思っています。果たしてそうでしょうか。本当にアドラーはそう言っていたのでしょうか。

アドラー心理学を長年勉強している私の信頼するメンター(助言者、指導者の意味)に質問しました。すると、アドラーは褒めてはいけないとは言っていないそうです。勇気づけの一つとして褒めることは大切だと言っているそうです。ただ、条件付けの褒め方はいけないと言っているそうです。例えば、「売上が達成できたら褒める」「がんばったら褒める」という条件を付けた褒め方は推奨していないそうです。褒めるとしたら、「存在そのものを褒める」「失敗しても褒める」「売上が未達成でも褒める」という勇気づけの褒め方をアドラーは推奨しているそうです。

家庭でも、アドラー心理学の間違った解釈で、子どもを褒めないし叱らないという子育てをしている人がいるそうです。「褒めてはいけない」というタイトルだけを見て信じて、読む人が本質を学んでいないと間違った結果を生みだしてしまいます。このようなことが世の中では数多く発生しています。全体の理解をしないで、一部分だけを自分で曲解してしまうのです。本人は曲解と分かっていません。

褒めることは、とても大切なリーダーの役割です。褒める相手のことをしっかりと理解して、相手の価値観にふさわしい褒め言葉を適切なタイミングで言うと伝わります。

褒めることについて、①正しいやり方を学ぶ、②正しい順番で実施する、③継続すること、これがポイントになるのです。

褒めるのが苦手な人は、褒め言葉そのものが出てきません。すぐに出てくるように褒め言葉の数を増やして、継続して言う習慣を持つことが大切なのです。褒め言葉が身に付くと、次のような効果があります。
・職場では、褒め言葉の声掛けが絶えなくなり、お互いの仕事を応援しあうことができるような働きやすい環境になることができます。
・家庭では、会話が弾み、お互いの気持ちを理解しあうことができ、おもいやりと愛情に満ちたやすらぎのある家庭生活が過ごせるようになります。

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◯プロフィール 藤崎敏郎(ふじさきとしろう)
・株式会社パートナーズリンク社長 ホームページ⇒http://p-link.co.jp

元セブン&アイグループの本社スタッフ。パチンコ企業にスカウト採用され、営業部長、そして、社内大学のメイン講師として活躍。その後、キャリアコンサルタントと社労士資格を取得して独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでのコンサルティング企業数は延べ300社以上、研修の受講者数は15万人を超える。業界誌にも複数連載し、ナンバー1社員研修講師と評判が高い。

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