元ポルトガル領マカオで観戦するW杯とサッカーくじ

2014.06.21 / カジノ

6月20日午前8時54分、W杯で日本がギリシアに引き分けのニュースが飛び込んできた。決勝進出は難しいと言えるだろう。一方で、海外はW杯をどのようにみているのか。サッカー・ポルトガル代表が初戦のドイツと戦った6月16日。かつてのポルトガル領であるマカオを取材した。

当日夜10時ごろにマカオに到着。試合開始は深夜0時(日本時間深夜1時)なのでまだしばらく時間がある。まずは現地の様子を聞くたため、地元の西洋料理店で遅めの夕食を取ることにした。西洋の風情が残るタイパ地区にあるレストランは、こじんまりとした佇まいだが夜遅くまで賑わう人気店だ。客層も中国本土からの観光客やローカルの西洋人など多種多様。さっそく、サッカーで盛り上がっている人たちがいる。オーナーに話を聞いてみた。「あの人たちは店の常連でマカオ航空で働く人たちだよ。今夜の試合の時間まで食事したあと誰かの家で観戦するみたいだね」。地元の人々の観戦方法について聞いてみると、街中にパブリックビューイングなどはなくバーで観戦する人も多い。しかし混雑を嫌う人は、誰かの家に集まって試合を観戦することが多いらしい。街のそこかしこでお祭り騒ぎが行われることはなさそうだ。多少の拍子抜け感を覚えながら試合開始が近づいてきたのでレストランを出て、オーナーに聞いたマカオ半島の海岸沿いにあるバーストリートに向かった。

試合開始時点で大小10軒程度の酒場が集まるマカオのバーストリートは、どの店も複数のモニターを設置してすでに満員状態だ。もちろん、どの店にも座れる席はないため、仕方なく店の外からモニターで観戦する。しかし、サッカー観戦にはつきもののユニフォーム姿のファンは皆無で、混雑はしていても特に大きく盛り上がっている様子はない。終始ポルトガル劣勢の試合展開とマカオ住民の大半を占める中華系の人々が中心のため、観戦スタイルは比較的大人しめ。近くにいた中華系の若者に話を聞くと「ポルトガルの初戦だから友達みんなと観戦しに来たよ。夜は特にやることもないからね」とコメント。どうやら、熱く応援するというよりも、お祭り感覚で集まってくる人が大半のようだ。元ポルトガル領とはいえマカオ代表が戦っているわけではないので仕方ないのかもしれない。

期待していた熱狂的応援を体験することなく、試合もドイツのワンサイドゲーム。気合いを入れるために香港で購入した、ポルトガル勝利に賭けたサッカーくじも儚く散った。W杯のような世界的ビッグイベントのなかにあって、やはりカジノのメッカ・マカオでは、バカラと大小のテーブル以上に盛り上がるスポットはない、と実感した一夜だった。


[マカオのサッカーくじ]
マカオには、W杯の試合を対象としたサッカーくじは存在しない。カジノ王、スタンレー・ホーの一族が運営するSJM社がサッカーくじを販売しているが、対象試合は各国のリーグ戦のみ。そのため、W杯開催時は毎回違法のサッカーくじが横行するが、今回の大会ではマカオの地元政府は違法賭博禁止に関する啓発広告をテレビや新聞で多数発信している。

取材:林亮平

SJM, W杯, サッカー, サッカーくじ, スタンレー・ホー, バー, ポルトガル, マカオ, ユニフォーム