カジノ回収不能金 4年で倍増/シンガポール

2015.04.15 / カジノ

現在、シンガポールのカジノではVIP収入の減少に加え、中国人賭博客の負債の未回収金が増加しているという。

ブルームバーグの試算によると、ゲンティンが運営するシンガポールの「リゾーツワールド・セントーサ」が抱える未回収金は昨年、7億8,750万米ドル(約941.7億円)に上り、2010年の3億6,900万ドルから2倍以上に膨れ上がっているという。この金額は、マカオのカジノ運営企業6社の平均値の実に4倍にも上る。昨年、マカオのカジノ収入が440億米ドルだったのに対し、シンガポールは約7分の1の60億ドルだったが、シンガポールの未回収金が膨れ上がった背景には、中国経済の減速や政府による反腐敗運動の影響ほか、両地のカジノ運営の仕組みの違いによるものが大きいようだ。

マカオのカジノには、「ジャンケット」と呼ばれるVIP客の仲介業者が存在する。ジャンケットはマカオ政府当局に180社程度登録されており、主な業務は顧客の勧誘や送迎、賭博資金の融資など。なかでも顧客の負債の回収は特に重要な業務で、回収方法は時に公での誹謗中傷や暴力などの行為に及ぶこともある。こうした背景から、ジャンケットは黒社会とのつながりを指摘される理由となっており、シンガポールのカジノ当局はジャンケットの介入を極力排除。現在、当局に登録されているジャンケット業者は3つだけにとどまっている。

従って、シンガポールでは顧客の負債回収はカジノが直接行うことになるが、カジノ企業は回収業務に関するリソースを組織上持っていないため、最終的には法廷に持ち込まざるを得ない。昨年、シンガポールの2つのカジノは高等裁判所に未回収金に関する訴えを49件起こしており、一昨年の2件から激増した。また、2015年に入ってすでに少なくとも12件の訴えを起こしているという。

※画像はシンガポールのカジノリゾート「マリーナベイ・サンズ」

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