「自分のことなど、だれも知らない」

2019.05.18 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(214) 増やすべき経費

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。

GW翌週、例年通りやはり非常に厳しい稼働となった1週間でした。5月のGW終了後から6月、そして7月の海の日までの約2か月間は祝日のない期間であり、動くタイミングとしてはあまり良いとは言えない期間です。現状でまずまずの稼働や利益の取れているお店は稼働維持を重視した営業をすべきですが、厳しい稼働のお店やGWで取れなかったお店としては「まずは、利益」で未来の原資を確保する営業をしていってほしいと思います。

さて、「利益最優先で」とはいっても売上の低下に苦しむ現状、どうしても粗利益の上積みは難しいものです。粗利益は「売上-仕入れ」であり、パチンコ店では「売上-景品金額」で計算しますが、この「粗利益」を増やすためには売上を増やすか景品金額を減らす必要があります。売上を上げることはなかなか難しい時期であり、また景品金額を下げるといっても現状ですでにかなり下げているとなると、粗利益を増やすというのは厳しいものがあります。

そうなると次にすべきなのは「経費(販管費、コスト)の見直しで営業利益を確保する」と考えることです。経費を削減していけば粗利益が同じであっても営業利益は増えることになるので、売上アップに期待が出来ず景品金額も下げる余地がない場合に「利益確保」を図るには有効な手法となり得ます。しかしなんでも経費の見直し、カットが良いわけではありません。今回はありがちな「経費の見直しに関する間違い」についてお伝えいたします。

パチンコ店の経費では遊技機購入費、広告宣伝費、人件費が大きな割合を占めます。このうち遊技機購入費については現在の機歴優先販売や、魅力的な機種構成を維持するため、また旧基準機撤去のこともあり削減が容易ではありません。また人件費についても適正なサービス水準を維持するためにも削減は適当とは言えない部分です。こういった思考から往々にして広告宣伝費(販売促進費も含む)の削減が主となっています。

しかしこれが間違いです。厳しい状況だからこそ、アピールできる点が少ないからこそ、アピール力が低いからこそ、広告宣伝に力を入れなければならないのです。

「経費」は2つに分けることができます。一つは利益を生まないコスト、これを「ロスコスト」と言います。逆に売上につながるコストというものもあり、これを「プロフィットコスト」と言います。

ロスコストの代表的なものは「ムダ」です。無駄なコピー、無駄な電気、過剰な交際費などがこれにあたり、これらのカットは利益増に貢献します。一方、プロフィットコストの代表的なものが広告宣伝費です。そもそもお客様に来ていただかなくては、利益は(売上も)生み出せません。お客様に来ていただくために自店の存在を知らしめる手段を削減していては、いつまでたっても現状を変えられないです。

「過去に高業績だったのだが現在は厳しい営業となっている」多くのホールに共通しているのは、「自店は長くこの土地で営業しているので、知らない人はいない」という自負を持っていることです。そしてこのように考えて広告宣伝費をカットして、徐々に地元で存在感を失っていき、結局低稼働になってしまったパターンをいくつも見ています。

「自分のことなど、だれも知らない」、マーケティングはこう考えることから出発します。そして「誰にも知られていない状況で。どうすれば知ってもらえるか」と考えて行動していくことが必要なのです。

経費の見直しは必要です。しかし、売上につながる=お客様の来店につながるコストは絶対にカットしてはいけないです。いま、広告宣伝に力を入れていないお店は、すぐに戦術の転換をお願いします。広告宣伝にこそ、おカネをかけるべきなのです。


■ 計数管理研修 基礎編 開催
綜合ユニコム様主催「計数管理研修 基礎編」を開催いたします。
日時:2019年5月23日(木) 13:00~17:00
場所:東京ガーデンプレイス

「受講生満足度98%」(過去開催実績)の計数管理研修です。
下記ページからのお申し込みで、1万円の割引となる講師特別ご優待申込を受付いたします。
http://www.ab-c.jpn.com/1063

・計数管理に自信のない方
・計数管理の理解を深めたい方
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のご参加、お待ちしております。
詳細は下記綜合ユニコム様HPにて。
https://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/index.html
https://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2019/0513.html

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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