第41回 ツイッター上にいるプチ有名人たちに聞く
雑誌や動画などの媒体に所属していないただのアルバイトスタッフに、数千人のフォロワーがつく時代になってきた。ツイッター上でわざわざ本人が語らなそうなことを、第三者であるPiDEAが根掘り葉ほりする。
PiDEA編集部(以下略編) :今回はマルハン大山店のいきなり店長さんにお話を伺っていこうと思います。いきなり店長って、Twitter開設当初と比べて方針が変わりましたよね。
いきなり店長(以下略い):社内で始末書を何回か書いたんですよ。特に「炎上した」とかっていうことはなかったんですが。
編:始末書……。具体的にどんなことがあったんでしょうか。
い:あるメーカーさんの筐体について独特な表現をしたら、「取引先さまに失礼だ」 とお叱りを受けまして。ツイート自体は400いいねくらいついて、メーカー担当者は「紹介してくれてありがとうございます」と逆に喜んでくれていたんですが。アカウント開設当初は割と思ったことをそのままツイートしてましたね。
編:たしかに以前はズバズバ本音をいうような、物申す的な人という印象でした。
い:言われてみればツイートがまとめサイトに使われたりすることはよくありました。
編:方針が変わるきっかけがあったんですか。
い:アカウント開設当初の僕みたいな自由過ぎる運用を許してしまうとマルハン関係者のアカウントも増えてますし、企業としてガバナンスや内部統制を取ることが難しくなってしまいますよね。それは仕方のないことだと思います。
編:大企業ゆえにルールが厳しくなるのも分かります。
い:私自身は僕みたいな枠を飛び越す存在も必要だと前向きにとらえています。マルハンって多種多様のいろんな才能を持つ方がいるので、僕はそれが生かされる会社になってほしいなと思いますね。
編:最近思うことなんですが、ホールでTwitterを運用する目的や意義が分からなくなったりする人もいるんじゃないかなと。いきなり店長はTwitterをやっていて良かったと思いますか。
い:影響は間違いなくあると思いますよ。大山店にはTwitterを見て楽しそうな会社だったからという理由で入社したアルバイトスタッフの方がいますし、他のマルハンにも私のツイートを見て入社した方がいると思います。もしかしたら新たにP業界に興味を持った方もいるかもしれません。なかなか具体的に効果が見えにくいですが、Twitterって本来どの店にどれくらい集客ができたかどうかという取り組みじゃないと思うんです。
編:と言いますと?
い:フォロワーにはパチンコを打つ人もいるし、打たない人もいる。もちろんマルハンという企業を知らない人も中にはいると思います。僕、正直マルハンってとてつもなく良い会社で他業界と比較してもトップクラスだと思うんですよ。ただ、マルハンの中身の良さがあまり世間には伝わっていないと思っていて、大山店の店長という立場ではあるけどもマルハン全体の広報活動をすることも使命の1つだと思ってやっています。実際、マルハンチャンネル公式のアカウントも以前は私が運用していましたし。
編:え、そうなんですか。
い:番組の企画とかも半分くらい担当していて、大山店にもう1人マネージャーがいるのですが、社内の方の協力を得ながら彼と2人で「回胴の鉄人」「ぱちっていいジャン」「ドラゴン&タイガー」なんかを運営しています。
編:ではここがマルハンチャンネル発祥の地でもあるんですね。
い:SNSを通して演者さんとかに絡んでもらったりしていて、そういうこともマルハン全体の広報につながっていると思っています。
編:その面白さを伝えるためには、多少過激なことも言う。そうしていきなり店長は「人柱」になったというわけですね。
い:まぁそういうことで(笑)。
編:話しにくいことをお聞きしますが、「Twitterってなんの効果あるの?」派閥みたいなのって社内であったりします?
い:しっかりとしたエビデンスに基づく施策として、これらが大切だと理解しているつもりです。ただ深く考える前に体が反応するスピード感も大切にしています。私としては承認欲求を満たしたいだけの低い視座ではなく自分を育てていただいた「マルハンへの愛」が根底にあるのです。大山店っていうのは長年うまくいかない店舗だったんですよ。正攻法な営業をしてもうまくいかないなら、うちにしかできないことで差別化をしなきゃいけない。要は差別化というのは相手が急造で真似できないものです。長期的に見たら効果があるけど、短期的には真似できないものは効果があると思っていて、際どいことをおちゃらけて言いやすいなんていうのもSNSの強みじゃないでしょうか。
編:個人的には以前のようなズバズバ系アカウントだった頃に戻ってほしいです(笑)。
い:いい意味で空気を読まないのが僕の強さ。僕は自分の考えがある以上は上の人がこうしろと言われても「嫌です」というタイプなので。
編:それ会長に対しても言うんですか?
い:……か、会長は逆らえないかな。酸いも甘いもいろいろお世話になったので(笑)。ていうか、これ記事になるんですか。NGな話いっぱいしましたよ。僕なんかよりうちのカナカナ紹介してくださいよ。
編:ツイートって自分で決めているんですよね。
カナカナさん:もう何も言うほど時間(紙幅)ないじゃないですか。
い:すごいキャピってる写真を載せているけど、実は仕事なので演じているとかさ。
カ:そんなこと言わないで!
取材を終えて
いやー、本当に書けないことばっかりでユーモラスな取材でした。自分自身を「社内でやべぇヤツと思われている」なんて評価されていましたが、入社10年でエリア長になったスピード出世マンなんです(後に店長に降格)。今は「伊之助ボディーを目指して筋トレ中」とのこと。そんな取材の最後に、店長のはからいで「カナカナさん」にも同席いただきました。アイドル店員というポジションなのに、本当は自撮りが苦手なんだとか。正直、2人のポーズワケワカメです。