九州豪雨災害 ホール現場からの声/「ゆめパーク久留米店」

2020.07.10 / ホール

7月4日に発生した集中豪雨は熊本県、鹿児島県、福岡県、大分県、佐賀県など九州全域に甚大な被害をもたらしている。  

このうち福岡県内で最も多くの住宅被害が出ている久留米市は、筑後川の沿岸を中心に、住宅地や田畑の広い範囲が水につかった。県の災害対策本部によれば8日午前6時時点で、県内では593件の住宅被害が報告され、その9割を久留米市が占めているという。  

福岡県を中心にパチンコ店28店舗を展開する株式会社ユーコーの旗艦店「ゆめパーク久留米店」(福岡県久留米市新合川2-6-45)も道路の冠水によってお店へのアクセスが寸断される被害を受けた。


同店の北川武士マネージャーに豪雨が直撃した7月6日と7日両日の状況について話を聞いた。  

「7月6日13時頃、グループ店で隣接している『EVO3』前の交差点が冠水していきました。一番深いところで50センチくらい。店舗駐車場の輪留めにかかるくらいです。それから時間経過しても水位は変わらず、雨が強くなるという予報が出ました。それで17時に会社として営業終了を決定し、18時30分までにはすべてのお客さまに退店してもらいました。店を閉めた後も雨脚は変わらなかったものの、水位も増える様子はありませんでした。残った従業員で入り口の風除室に止水板を置いたり、養生ガムテープを貼ったり、トイレに水のうを入れたり浸水防止対策をして深夜12時ごろに退店しました。この時点ではフロアにまだ水は来ていませんでした」

 

翌7日、前日から続く豪雨の中、北川マネージャーは早朝7時に店舗に出社した。その時点で交差点の水位は前日と変わらなかった。しかし、ゆめパーク久留米店に面した別の道路が冠水して店の前が20センチ、近くのコンビニエンスストアや映画館、スーパーでは60センチぐらいに達していた。

「店舗の床はその時点ではまだ浸水していませんでした。それで10時開店を目指したんですが、少しずつ水位が上がっていたので、10時開店は見送る旨をお客さまにLINEで流しました。雨も全然止まず、12時の段階で開店は無理だと判断しました。13時には風除室の段差(約40センチ)まで水が達していて、お店まで歩いてくると靴がびしょびしょに濡れる。17時ごろ自動ドアまで水が達し、19時ごろには道路からの水位が約60センチになり、若干浸水が始まってきました」

不幸中の幸いだったのは機器などへの被害はなく、島端に敷設していたカーペットこそびしょ濡れになったが、浸水はそこでとどまった。それでもやはり営業を阻まれた空しさは残る。

 

「来店を楽しみにしておられたお客さまの期待に応えられなかったのはとても悔やまれます」と北川マネージャーは唇を噛んだ。ちなみに、周辺の店舗を含め7月7日に完全休業をしたのは「ゆめパーク久留米店」と「EVO3」の2店舗のみだった。  

翌8日は朝7時30分の時点でEVO3側の交差点は水が引いており、ゆめパーク側の道路はまだ水が残っていた。しかし、どちらの店舗へもアクセスできる状態にあり、浸水もほとんどなく、開店準備を行って10時にオープンした。


コロナウイルス感染拡大防止に伴い協力休業に応じたユーコー。その旗艦店が再開からほどなくして豪雨によって再び休業を余儀なくされた。

北川マネージャーは「店長として、営業ができないことは非常に悔しい思いがあります。しかし、弊社の社長をはじめ上層部は、お客さま・従業員の安全が第一という方針ですので、その辺はきっちり割り切って安全・安心に営業ができるようになってしっかり頑張っていこうという気持ちです」と前向きに話している。

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