マカオ:SJM Holdings 20年度1Q 当期損失56億円~3月末,Palace完成後ながら財務健全

2020.05.06 / カジノ
2020-05-06

【海外ニュース】

5月5日、SJM Holdingsは、2020年度1Q(1-3月)のキー・パフォーマンス・インディケーターを公表。

株主帰属当期利益は、HK$850mn,YoY17%増(121億円)。VIPは減少ながら、マス市場拡大の恩恵を享受。ただし、事業のほぼすべてがマカオ半島にあり、コタイ地区のIR群にシェアを奪われる構図が続く。

SJM Holdingsは、2019年3月末時点、保有コンセッションのもと、20のカジノ施設を運営。
うち、4つが自社施設、16施設はサテライトカジノ(サービスアグリーメントを通じ、第三者が所有・運営)。
自社施設の旗艦は、Casino Grand Lisboa。

3月末時点の財務状況は、現金預金HK$12,114 million(1,660億円), 借入金HK$15,238 million(2,088億円)。Grand Lisboa Palaceの工事完了後に、財務安全性は強い。

現在、コタイ地区初進出となるGrand Lisboa Palaceは、政府の検査および各種申請プロセス。2020年末までに開業予定。

2019年度1Q(1-3月)キー・パフォーマンス・インディケーター:
・売上高HK$3,479mn,YoY60%減, 調整後EBITDAはHK$200mnの赤字(前年同期HK$1,075mnの黒字), 株主帰属当期損益HK$409mnの赤字(前年同期HK$850mnの黒字)
・円換算は、売上高477億円, 調整後EBITDAは27億円の赤字, 株主帰属当期損益は56億円の赤字
<プロパティ別>
– Casino Grand Lisboa=売上高(GGR)HK$1,207mn, 調整後EBITDAはHK$16mnの赤字
– その他自社施設=売上高(GGR)HK$629mn, 調整後EBITDAはHK$99mnの赤字
(Casino Lisboa, Casino Oceanus、Casino Taipa)
– サテライトカジノ=売上高(GGR)HK$2,107mn, 調整後EBITDAはHK$5mnの赤字
(全16施設)
<ゲーミング売上高の内訳>
– 合計=HK$ 3,407mn,YoY60%減
– VIP GGR=HK$1,196mn,YoY70%減
– Mass GGR=HK$2,606mn,YoY58%減
– Slot machine GGR=HK$ 141mn,YoY52%減
(Less)commissions and incentives=HK$536mn,YoY72%減

Grand Lisboa Palace 概要:
・総開発費=HK$36bn(約5,040億円)
・延べ床面積=約52万㎡(加えて、駐車エリアは約7.7万㎡)
・ホテル=合計2,000室(Grand Lisboa Palace, Palazzo Versace, Karl Lagerfeld)
・MICE、飲食、ショッピング、カジノ

マカオ:SJM Holdings 19年度 当期利益437億円,YoY13%増~コタイPalace開業前に実質無借金

3月16日、SJM Holdingsが2019年度通期業績を発表。

SJM Holdingsは、2019年12月末時点、保有コンセッションのもと、20のカジノ施設を運営。
うち、4つが自社施設、16施設はサテライトカジノ(サービスアグリーメントを通じ、第三者が所有・運営)。
自社施設の旗艦は、Casino Grand Lisboa。

株主帰属当期利益は、HK$3,207mn,YoY13%増(約4375億円)。VIPの縮小をマス拡大でカバー。

コタイ地区の新規大型施設Grand Lisboa Palaceの開業の直前で、実質ほぼ無借金の財務体質を確保。

Grand Lisboa Palace(総開発費390億香港ドル=約5500億円)は、2020年後半に開業予定。

2019年度業績(1-12月):
・売上高HK$33,875mn,YoY2%減, 調整後EBITDAはHK$4,213mn,YoY13%増, 株主帰属当期利益HK$3,207mn,YoY13%増
・円換算は、売上高4,621億円、調整後EBITDAは575億円、株主帰属当期利益437億円
<プロパティ別>
– Casino Grand Lisboa=売上高(GGR)HK$12,910mn,YoY18%減, 調整後EBITDA HK$2,349mn,YoY13%増
– その他自社施設=売上高(GGR)HK$6,308mn,YoY1%増, 調整後EBITDA HK$1,223mn,YoY37%増
(Casino Lisboa, Casino Oceanus, Casino Taipa)
– サテライトカジノ=売上高(GGR)HK$20,782mn,YoY5%減, 調整後EBITDA HK$522mn,YoY19%減
(全16施設)
<ゲーミング売上高の内訳>
– 合計=HK$33,677mn,YoY8%増
 GGR計=HK$40,000mn,YoY9%減
 VIP Operation=HK$13,687mn,YoY30%減
 Mass Operation=HK$25,127mn,YoY9%増
 Slot machine Operation=HK$1,186mn,YoY3%増
(Less)commissions and incentives=HK$6,842mn,YoY33%減

財務状況:ネット有利子負債(2019年12月末):
・ネット有利子負債=HK$481mn(約65億円)
– 現預金計=HK$15,525mn
– 有利子負債=HK$16,006mn(リース負債を含む)

Grand Lisboa Palace 施設概要:
総開発費=HK$39bn(約5,500億円)
延べ床面積=約52万㎡(加えて、駐車エリアは約7.7万㎡)
ホテル=合計1,900室(Grand Lisboa Palace, Palazzo Versace, Karl Lagerfeld)
MICE、飲食、ショッピング、カジノ
・建設作業は、2014年2月に開始、2019年後半に完了。ライセンス申請済み。2020年後半に開業予定

SJM Holdings 日本における活動

デイジー・ホー会長, 日本進出意欲「日本に調査チーム派遣」

・6月11日、SJM Holdingsの取締役会議長、会長、エクゼクティブディレクターであるデイジー・ホー氏が年次株主総会にてメディア対応
・そこで、デイジー・ホー氏は、日本進出への意欲を強調
「日本にチームを派遣し、参入機会を調査」
~ただし、ターゲットエリアについては、明らかにせず

アーノルド・ホー氏 日本IR進出へ 中国顧客サービス力と日本の伝統を融合@Japan Gaming Congress

・5月16-17日、Japan Gaming Congress(JGC)が都内にて開催された。主催は、Clarion Events Ltd.(クラリオン・イベンツ, 英国)
・運営スポンサー
– バリエール / ギャラクシーエンターテインメントジャパン / 日本MGMリゾーツ / メルコリゾーツ&エンターテインメントジャパン / モヒガン・ゲーミング・アンド・エンターテインメント / SJMホールディングス / ウィン・リゾーツ・リミテッド
・補助スポンサー
– ハードロック・ジャパン / ラッシュッストリートジャパン / アルゼゲーミング / コナミ / サイエンティフィックゲームス / 日本金銭機械 / GT法律事務所
・SJM Holdingsは、アーノルド・ホー氏(COO補佐)が登壇。主な発言は以下の通り
「中国顧客向け観光産業とのリレーション、ネットワークが強み」
「同社の中国顧客へのサービス力と日本の伝統サービスを融合させる」
「IRで”日本のブランド化”に貢献する」
「マカオ・コタイ地区で開発中のGrand Lisboa Palace(開発費46億ドル)は西洋と東洋の融合力の証明」

北海道:北海道IRショーケース(2019年1月9-10日)出展7社+特別協賛1社

– シーザーズ・エンターテインメント
– ハードロック・ジャパン
– メルコリゾーツ&エンターテインメント
– モヒガン・ゲーミング・アンド・エンターテインメント
– ラッシュ・ストリート・ジャパン
– SJMホールディングス
– 〈特別協賛〉クレアベスト
北海道IRショーケース Day2 2日計6,990人来場~有力候補地の熱気。関西と双璧

SJM Holdings 日本参入にチーム編成 2020年営業権満期後を懸念

・2017年6月13日、SJM Holdingsが、同社の年次総会を開催
・CEOであるAmbrose So氏は、日本市場参入を目指し、チーム編成すると発言
・同社は、2020年のカジノ・コンセッション満期後の更新の有無について懸念を持つ
・マカオの市場の変化(VIPからマスにシフト)も同社に構造変化を促す
・同社のコタイ進出プロジェクトGand Lisboa Palaceは、2018年下期に開業予定
・同社は、最近、デイジー・ホー氏(スタンレー・ホー氏の二番目の妻の子)をエクゼクティブディレクターに任命

マカオ:SJM Holdings 親会社STDMの支配で合意。パンジーホー氏とフォック基金

1月23日、パンジー・ホー氏(スタンレー・ホー氏と第二夫人の長女)、ヘンリー・フォック基金(スタンレー・ホー氏の創業パートナー一族)は、SJM Holdingsの支配について協調することで合意したと発表。
パンジー・ホー氏が支配するShun Tak Holdings(香港上場。海運、資産管理業)が香港証券取引所にファイリングした。

両者は、合計で、SJM Holdingsの支配株主であるマカオ旅遊娯楽(STDM)の株式の53%を所有する。
内訳は、ヘンリー・フォック基金が26.6%、Shun Tak Holdingsが15.8%、パンジー・ホー氏が残り10.6%。

マカオ旅遊娯楽(STDM)は、SJM Holdingsの株式の54%を所有する。

この結果、アンジェラ・リョン氏(スタンレー・ホー氏の第四夫人)の影響力が相対的に希薄化した。アンジェラ・リョン氏は、SJM Holdingsの共同会長であり、SJM Holdingsの株式の8.6%を所有する。

2018年6月12日の株主総会で、スタンレー・ホー氏(当時96歳)が、経営トップ(会長、エグゼクティブダイレクター)を辞任、新設された名誉会長のポストに就いた。
スタンレー・ホー氏は、パートナーとともに、1960年代初めにマカオのカジノ経営権を獲得。その後、2002年の市場開放まで市場を独占した。

SJM Holdingsの経営トップについては、デイジー・ホー氏(53歳)が会長兼エグゼクティブダイレクター職を継承。
ティモシー・フォック氏、アンジェラ・リョン氏が共同会長兼エグゼクティブダイレクターに、アンブロース・ソー氏が副会長兼エグゼクティブダイレクター兼CEOに就任。

デイジー・ホー氏(53歳)、ティモシー・フォック氏、アンジェラ・リョン氏の3会長体制となった。
デイジー・ホー氏は、スタンレー・ホー氏の第二夫人の次女。
ティモシーフォック氏は、スタンレー・ホー氏の創業パートナーの子息。
アンジェラ・リョン氏は、スタンレー・ホー氏の第四夫人。

現在のマカオのカジノ・コンセッション6社のうち、SJM Holdings、Melco Resorts & Entertainmentは、スタンレーホー氏のファミリーの支配下にある。Melco Resorts & Entertainmentの最大株主は第二夫人の令息であるローレンス・ホー氏。

また、MGM Chinaの創業パートナーであり、第二株主は、パンジー・ホー氏。
MGM Chinaは、当初は、パンジー・ホー氏とMGM Resorts Internationalがイーコールパートナーシップであった。その後、MGM Resorts Internationalが株式を買い増し、株式の56%を所有。現在のパンジー・ホー氏の株式所有は22.49%。

マカオ 経済政策, ゲーミング・コンセッション関連

マカオ:行政長官 カジノ営業権再入札プロセスに言及~21-22年前半。改めて”更新”否定

4月20日、賀一誠・マカオ特別区行政長官は、2020年後半にゲーミング法改正に関するパブリックコンサルテーションを実施することを明らかにした。
同時に、改めて、次回のゲーミング・コンセッション(カジノ営業権)の発給プロセスは、新規再入札であり、自動更新ではないことを強調。

今後の流れは、ゲーミング産業の中期レビュー・レポートの分析、パブリックコンサルテーション、ゲーミング法改正、ゲーミング・コンセッション再入札の実施となる。
新型肺炎(COVID-19)の影響で、作業は遅れ気味であるが、2020年後半にパブリックコンサルテーションを実施予定。

ゲーミング・コンセッションの再入札における焦点は、何社分が発給されるか、現有コンセッション保有者の喪失の可能性、新規事業者の参入の可能性。

2019年4月19日、崔世安・前行政長官は、政府として、ゲーミング・コンセッション再入札が、現行営業権の満期(2022年6月26日)前に実施されること、延長オプションを行使しない方針を明らかにした。
現在のゲーミング法では、行政長官は、その権限により、ゲーミング・コンセッションの最大5年間の延長が可能。

マカオでは、コンセッション保有者(および、コンセッション保有者とサービスアグリーメントを締結した事業者)のみが、カジノ運営を許可される。コンセッションは、強大な権益であり、6社の企業価値を支える原動力である。

図表の通り、マカオでは、6社(中国系3社、米国系3社)がゲーミング・コンセッション(サブ・コンセッションを含む)を所有しており、すべて2022年6月26日に満期を迎える。

図表:マカオ カジノ運営6事業者のコンセッション 満期日

コンセッション満期日 事業者 証券取引所 カジノ施設数 獲得順
2022年6月26日 SJM Holdings 香港証券取引所 22
2022年6月26日 Wynn Macau 香港証券取引所
2022年6月26日 Galaxy Entertainment 香港証券取引所
2022年6月26日 Sands China 香港証券取引所 4(サブ)
2022年6月26日 MGM China 香港証券取引所 5(サブ)
2022年6月26日 Melco Resorts & Entertainment NASDAQ 6(サブ)

注1:カジノ施設数は2018年12月末時点
注2:2019年3月15日、マカオ政府はSJM Holdingsのコンセッション(MGM China Holdingsのサブ・コンセッション)の満期日を、2020年3月31日から2022年6月26日に延長を承認
注3:(サブ)はサブコンセッション。Sands ChinaはGalaxy Entertainmentより、MGM ChinaはSJM Holdingsより、Melco Resorts & EntertainmentはWynn Macauより取得
 

マカオ 開発動向

マカオ:コタイ地区IR開発アップデート~Lisboa Palace,20年2H開業。計画策定3施設(新規土地利用)


 
10月3日、SJM Holdingsの副議長CEOであるAmbrose So Shu Fai氏は、Grand Lisboa Palaceの開業時期について、直近見通し2020年下期が変わっていないことを強調した。
同プロジェクトは、天候不順を含む様々な困難により、進行が遅れてきた経緯がある。

コタイ地区では、2007年8月のThe Venetian Macao開業から2018年2月のMGM Cotaiまで、10の大型IRが開業した。

現在、建設作業が進行中の新規開発計画(新規土地利用)は、Grand Lisboa Palace。Grand Lisboa Palaceの開業により、コンセッション6社すべてがコタイ地区に進出することになる。

Grand Lisboa Palace(SJM Holdings)
・建設作業は、2014年2月に開始
・2020年下期の開業見通し
<施設概要>
・総開発費=390億香港ドル(約5,500億円)
・延べ床面積=約52万㎡(加えて、駐車エリアは約7.7万㎡)
・ホテル=合計2,000室(Grand Lisboa Palace, Palazzo Versace, Karl Lagerfeld)
・MICE、飲食、ショッピング、カジノなど

一方、計画策定フェーズ(新規土地利用)は、Galaxy Macau第3期&4期, Studio City第2期, Wynn Palace拡張1期がある。

Galaxy Macau 第3期&4期(Galaxy Entertainment Group)
・近く正式計画を公表へ
<施設概要>
・開発費=430億香港ドル以上(約6,020億円以上)
・延べ床面積=100万㎡レベルを想定
・ホテル=約4,500室
・MICEは3,700㎡、アリーナ16,000席、飲食、カジノなど
・ファミリー・エンタテインメント、MICEを強調

Studio City第2期(Melco Resorts & Entertainment)
・プロジェクト予算は、13.5億ドルから14億ドルを想定
・ホテル2棟(計900室)、ゲーミングエリア
・ウォーターパーク、飲食、リテイル、MICE、シネプレックスなど

Wynn Palace拡張1期-南区画(Wynn Macau)
・初期投資額20億ドル(約2,160億円)
・土地面積3ha
・プロパティ名”Crystal Pavilion”
・ホテル棟は約650室
・2021年後半に着工。工期は36ヵ月強

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