営業を続ける会社社員のリーク「社内の危機感に温度差がある」

2020.04.28 / 新型コロナ

ほとんどのパチンコ店が休業を決断する中で、一部のパチンコ店が営業をし続けている。4月24日(金)、当編集部ではTwitter上でこんな投げかけをしてみた。 

この呼びかけに対し、「お話できる範囲になりますが、ご協力させていただければと思います」と一人の業界人Mさんが応じてくれた。Mさんは、某中堅ホールで働く社員。取材の時点でまだ自社店舗が営業を続けていることに思うところがあってDMでの取材となった。

「ホールは営業中です。(会社の)判断自体は正しい正しくないはどちらとも言えませんが、個人的には、営業継続自体は正しいという考えが強いかもしれません。ただ、社内のコロナに対しての危機感に温度差があるまま継続している事が危険だと感じています」

Mさんが務めている企業は営業を続けないと存続が危うい財務状況にあるわけではまったくないという。自治体の緊急事態宣言が発出された当初は、要請があれば休業に入ろうと準備をしてきたが、営業を続けることになった。

Mさん曰く、「階層まんべんなくですが、上にいけばいくほど感染の危険より損失の数字を気にして危機感は薄い」という。現場レベルではカウンターにコロナカーテン、アルコールの徹底、マスクは在庫がそろっておりよほどのことがない限りなくならない対応をしている。また従業員の体温を毎日計測するなど一般的な危機管理は徹底されている。しかし、この状況でも特に現場から不満は出ていないという。

「ここが不思議なところです。感覚が麻痺してるようにも感じます。うまく言えませんが、この状況でも営業継続していることの大義というか、経営陣の考えが伝わらないし、そもそも説明がない。それなのに現場は営業継続に困惑してないんですよね。清掃とか、入場時体温計測とかやることが増えて、稼働が上がって大変くらいに思っている程度に見えます」

会社全体の感覚が麻痺しているからこそ、Mさんは店舗スタッフが不安にならないような環境づくりを望んでいる。万が一感染した時の補償を提示することや、そもそもこの有事下で時給を上げるなど。また、「感染が怖いから出勤したくないと申告したら、『明日から出社しなくていいよ(解雇)』というような状態は絶対にあってはならない」と付け加える。

「(店舗名の)公表は従業員の立場からは避けたいですね。公表されて批判する人たちはホールの顧客にはなりえないところだから今後の営業に関係ないという主張もあります。この考えは分からなくはないですが、そうした人たちの対応をすべてホール現場に任せるのはあまりにも負担が大き過ぎる」

Mさんの会社ではテレワークなどは採用されていない。経営的なことを考えなければ、本心では休業してほしいと願っている。

「正直、家で大人しくしていたいです。(自粛を)2週間辛抱したら結果出るって言ってるのだから『とりあえずやってみたら?』と思います。で、効果あるなら継続に賛成する人も多くなるでしょうし、効果なかったら再開する大義もできるでしょうに」

世間から向けられる視線だけではなく、業界内でも考え方はさまざま。背に腹はかえられぬと考える企業は少なからずあるが、セーフティネット保証5号はパチンコ店も対象に加えられる方針で話が進んでいる。休業をする大義も整ったことで、より一層営業継続店舗への風当たりは強くなることだろう。

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