年末年始で取れなかったことが響くパターン

2019.01.12 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(196) 改めて、利益の重要性を考える

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今年の年末年始はおおむね好調な稼働で推移しました。ただ、利益の確保は別問題です。私の支援先でも取れたお店と取れなかったお店がありました。

例年、成人の日以降の1月営業は急激に落ち込むので、取れたお店はこの後の展開が楽になりますが、取れなかったお店はかなり厳しくなります。利益を確保できていれば1月後半営業では、

・落ち込みを最小限に抑えるために、出す。
・落ち込むときに出しても効果が薄いので、取る。

と、どちらを選ぶこともできますが、ここまでに利益をしっかりと確保できなかった店舗は、

・取れていないのだから取るしかない。

となります。

取れていた場合はどちらを選んでも(出す選択、出さない選択)、「攻め」の考え、言い換えれば余裕をもって選択することができるのに対して、取れなかった店舗は必要に迫られての一択しかありえなくなります。売上の低いときに取る営業は拙いと思いながらも、そうするしかないとなるのです。

こうなると悪循環です。取ってはいけない期間だと知りつつ「取れていないから取る」ことになり、売上が低いことで利益率を高くしても金額としては追い付かず、出ないことでさらなる客離れを引き起こすことにつながります。

ところで、年始期間に取れても取れなくても、その後の営業の選択を「出さない(取る)」としたならば行動としては同じに思えるかもしれません。しかし両者には決定的な違いがあります。取れているお店の場合は「次の機会のための原資」と見ているのに対して、取れなかったお店では「取れなかった分を取り戻す」と見ています。それは決して未来の投資の原資ではなく、過去の穴埋めに使われるだけの後ろ向きの利益です。

さて、そうはいっても現実的に取れなかったお店は取るしかありません。でも後ろ向きに考えてしまうと閉塞感があります。ここでは見る角度を変えて「仕切り直し」と捉えてほしいと思います。1月後半は「取る期間」にするのですが、それは過去の穴埋めとは考えずにこれからの態勢を整えるために取る期間だと考えるのです。言ってみれば、

・次の機会の原資を確保する。

という考えるのです。利益を確保するということは同じでも、考えや取り組む姿勢が違えば意味も変わります。前向きに感じられます。

取らなくてはいけないときは、絶対に取る。それが将来の原資です。今回取れなかった(失敗した)お店は、次回の「取るべき期間」は必ず利益の確保を優先してください。玉を出せるのも機械を買えるのも利益があるからです。より良い店にするためには、まずは利益の確保から、と考えてください。


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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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