【連載】藤崎敏郎の人材育成セミナー第3回
2014.07.12 / 連載「何で分からないのかな!」
つい、熱くなってこんな言葉を部下に言ってないませんか。
ネガティブな言葉は部下のやる気をなくさせます。研修の受講者にアンケートを取ったけど、上司から言われて一番嫌なのが、「何で、こんな簡単なことが理解できないのかな」という言葉でした。
この言葉を使っている上司が多いことが分かります、、、
私のような研修の講師(教えるプロ)は、決して使いません。だって、その言葉は教える自分の能力がないことを宣言していることになるから。理解できない人にも、理解できるように教え方を工夫して教えることが、プロの講師。これができなければ、仕事のリピートオーダーなんか来るわけがありません。
5年ほど前のこと、いつもこの言葉を言っているという噂がある管理職の受講者に、どんな気持ちになるのか体験して欲しくて、私がこの言葉を言ったことがある。「違うな!何でこんなことが分からないのかな!」と言うと、その管理職の受講者の表情が変わって、真っ赤な顔をして怒りを我慢している様子が分かった。
自分が言われて嫌なことは部下にも言わないこと。
他にも部下に言ってはいけない言葉は次のようなものがある。
・やっても無駄だと思うな。絶対に無理だよ(思い込みで)
・私が上司なんだよ。口ごたえするな(傲慢な態度で)
・甘いな!現実の厳しさを分かっていない(最初から意欲を受け入れないで)
・それなら、以前にやったけど、失敗したね(創造性を否定して)
・失敗するなよ。私の責任じゃないからね(最初から逃げている)
・私だったら、絶対○○○○するよ(一方的に価値観を押しつけるように)
・○○さんは、うまくいっているんだがね(つねに、他と比較する)
・前例がないね(つねに、過去の例、経験を基準とする)
・給料泥棒だね
それに対して、期待する言葉をかけると根拠がなくても成績が伸びたという実験があった。期待したら本当に成績が伸びるという効果を「ピグマリオン効果」という。期待されると人は「がんばろう」という気持ちになる。逆にダメだと言われるとやる気が出ない。
「何でこんなことが分からないのかな」を言い続けると、ますますダメになる!
部下指導に役立つやる気を引き出す言葉をいくつか挙げよう。
・大丈夫だよ。最初から完璧な人間はいないんだよ(励ますように)
・よかったね、よくがんばったね(承認、賞賛するように)
・大変だろうけれど、今の努力が、私たちの成功に大事なんだ
・○○さんの努力が実ったね(心から伝えるように)
・今、厳しく話しているのは、君の成長を思ってのことなんだ
・もう一歩チャレンジしてみようよ
・一緒にがんばっていこう
・失敗から何を学ぶかが大事なんだ
・目標達成できて、本当によかったね(喜びを分かち合って)
今回の格言は、「部下が何でこんなことが分からないのかなと思ったら、それは教える自分が工夫していないから!」これを覚えておこう!
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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎
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元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとして独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1人事コンサルタントと言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メンタルヘルスマネジメント2級