【連載】日本進出を狙う海外カジノ〜その2〜

2014.07.22 / カジノ

【第2回】MGMリゾーツ・インターナショナル

米国でシーザーズに次いで2番目の資産規模を誇るMGMリゾーツ・インターナショナルは、現在、ラスベガスを中心に22の統合型リゾートを運営する。映画「オーシャンズ11」で有名になった「ベラージオ」も同社のリゾートのひとつである。同社の歴史は、1960年代に創始者のカーク・カーコリアンがラスベガスに投資を始めたことに端を発するが、MGMリゾーツ・インターナショナルとしての成り立ちは、2000年5月にMGMグランドとミラージュリゾーツが合併し「MGMミラージュ」として設立されたのが始まり。2005年4月にマンダレイリゾートと合併した際、マンダレイ・ベイをはじめとするいくつかのカジノリゾートを傘下に収め世界最大のカジノ運営会社となったが、2カ月後にはシーザーズエンターテイメントがハラーズと合併したことによりすぐに世界最大の座を明け渡した。近年では、2008年のリーマンショックを発端とした金融危機による景気後退と、ラスベガスで2009年に開業した投資額92億米ドルの超大型複合施設「シティセンター」の建設が重なっことで一度は破たん寸前まで追い込まれてしまう。しかし、2004年にマカオのカジノ王スタンレー・ホーの一族との合弁でマカオでのカジノライセンスを取得し、2007年12月に「MGMグランドマカオ」を開業していたことが奏功、今ではマカオ市場の成長が同社の業績に大きく貢献している。ここ数年、同社の売上全体におけるマカオの比率は急激に高まっており、昨年の米国の売上が約60億米ドルであったのに対しマカオが約33億米ドルと、アジア市場の売上が30%以上を占めるまでになっている。昨年着工し2016年に開業予定のマカオで2番目のカジノリゾート「MGMコタイ」が開業すれば、この傾向はさらに強まるものと見られる。

2010年に社名を「MGMリゾーツ・インターナショナル」に変更した同社は、その名の通り国際的なMGMブランドの浸透を目指しており、特に日本進出は最重要ミッションだ。今年2月には、CEOのジェームズ・ミュレンが「日本には50億~100億ドルを投資する」とメディアに対して語るなど進出意欲は強い。同社の総資本における負債比率は約76%と競合社のなかでは比較的高く財務面での不安要素も抱えるが、カジノの運営実績や知名度は申し分ない。日本版IRの開発・運営を行う可能性のある企業の一角であることは間違いないだろう。日本進出にあたっては日本企業との提携を視野に入れており、5月にパナソニックと提携交渉を行ったことをロイターなどが報じている。

■主な運営施設
 ・ベラージオ/MGMグランド/シティーセンターなど米国に20軒
 ・マカオでMGMグランドマカオ、中国海南省でMGMグランド三亞(カジノ無し)を運営
■売上規模(2013年)/98億966万米ドル(約9930億円)
■営業利益(2013年)/11億1151万米ドル(約1125億円)
■従業員数/約62,000人
■ラスベガスのホテル客室総数/約41,000室(平均稼働率約90%)

※写真はマカオにある「MGMグランドマカオ」

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