【水曜】第45回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2015.03.11 / 連載

第45回真似ばかりしても上へは行けません

煮た肉がデフォルトだった牛丼界に、「焼く」という新たな形で話題になったチェーン店があります。最初の頃は美味しいなと思いつつ頻繁に利用していたの ですが、提供までに時間がかかり(だからファストフードとしては「煮る」という方法が正解なんだと思いました)、さらに味もどんどん悪くなったことで足が遠のきました。そういう人が多かったみたいで、業績悪化→店舗の大半を異なる飲食チェーンに売却ということになったんですが、その売った先というのがどうにもこうにも…。

「スタ丼」とか「油そば」とか、既存のヒット商品をそのまま真似して店舗展開している会社だったんですよね。「スタ丼」を「すためし」とか言って、二番煎じ上等の類似商法です。買収した「焼き牛丼」チェーンもどうやら店舗物件だけが目当てだったみたいで、買収後は違う店にどんどん転換が進められています。転換後の店はといえば、これまた類似商法の「家系ラーメン」に。横浜の人間としては、家系ラーメンは間違いなくソウルフード。筆者も愛してやみませんが、それが業務用スープを使用したクオリティの低い形で提供されるのには落胆するばかり。企業として利益を上げるやり方としては、確かに間違っていません。既に実績のあるものを模倣すれば、まさに鉄板ですから。でもオリジナルを知っている人間にとって は、やはり二番煎じでしかなく、そこに魅力を感じることは一切ないんですよね。

やはり新しいものを生み出さないところ、生み出そうとしていないところは、オリジナルの上には絶対行けないと思います。有名チェーンの方法を真似 するのは、パチンコ業界でも常道になっているみたいです。教えを請うコンサルタントは某有名チェーン出身だったり、某有名チェーンのマニュアルを そのまま使ったり。でも真似ばかりしていては、ブランド力や資金力で上回れない以上、その上には行けないし、近くに出店されたら淘汰されてしかる べき。どこのホールに行っても同じような機械、同じような設備、そして同じような接客だなと感じることが増えてますが、そんな理念もなにもないや り方では上に行けないだけではなく、魅力だって生まれないでしょう。もちろん真似することに比べてリスクは増えますが、それでもオリジナルを模索 するべき。そのためには真似ばかりするのではなく、また人任せにするのではなく、上に立つ人間がしっかりとした目標を持つべきです。その上でな お、プライドなんか要らないから稼ぎたいんだと考えるなら、二番煎じでも仕方ないですけどね。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵

学生時代にパチンコ・パチスロの 魅力に 取り付かれて、はや30年以 上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるず ると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続 中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

 

喜納臭蔵, 水曜