【水曜】第32回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2014.12.10 / 連載

第32回まさかの「ニュー三共」閉店

通天閣の下に広がる、大阪新世界。初めて大阪へ行った30年位前はかなり危険な匂いがする街でしたが、今は観光地のようになっています。大手資本がバックにある、ステレオタイプな装飾が施された串かつ屋の乱立にはげんなりしますが、そんな店の呼び込みをかわしながらジャンジャン横丁に昔 からある串かつ屋で一杯やるのもオツなものです。そのまま道を渡ってガードを進み、左に曲がればピンク色に妖しく光る別世界もありますし。

この新世界で、30年前、もちろんもっと前からあったパチンコ屋がありました。「ニュー三共」といえば、この業界の人なら知らぬ者はいない有名店。昭和の香りがする店内にはアンティークのような設備が現役で活躍し、機械もチューリップと呼ばれた一般台ばかり。みなし機撤去の荒波にも耐え、観光 地としての側面もありつつ、熱心なファンが多く玉を弾いていました。その横にあった、これまた懐かしいパチスロ1号機(そこにあったアーリーバー ドが大好きだったんですよ)を設置していた店はかなり前に閉店してしまいましたが、「ニュー三共」だけはずっと新世界の中心にあると思っていたのに…。

勝っても負けても数千円、本当に小遣いで一日遊べるという、大衆娯楽としてあるべき姿がそこにはありました。美麗な液晶も派手なギミックもないパ チンコはとても静かですが、玉の動きだけで楽しめる。そんなパーラーでもホールでもない、パチンコ屋と呼ぶべき存在はこれで絶滅ということに。向 かいにあるスマートボール屋はいつまで頑張ってくれるのか分かりませんが、時代の流れはあまりにも残酷だなと。

先日、所用で大阪に行った際に解体中のニュー三共を写真に収めましたが、パチンコ屋に通い始めた30年前の筆者にとっても、そしてその当時でさえ 懐さを感じることができたホールの終わりを看取ることができたのは感慨深いものがありました。もう一回、営業中の店内でチューリップを咲かせた かったという思いもありますが、ここで紹介するのをはなむけとしておきます。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵

学生時代にパチンコ・パチスロの 魅力に 取り付かれて、はや30年以 上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるず ると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続 中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

 

喜納臭蔵, 水曜