【水曜】第17回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2014.08.27 / 連載

高望みをしても仕方ないのでは?

前回は公営ギャンブルがヤバイけど、それはパチンコ業界の未来の姿かもしれませんね、という話で終わりましたが、テーマはレジャー白書の数字であります。970万人と、ついに1000万人を割ってしまいましたが、庶民の間では一向に上向かない景気感、そして少子高齢化といった根本的な問題があ る以上、どんなレジャー産業も基本的には凋落傾向にあるのは当たり前。かつてのように小額で遊べた頃のパチンコは不景気に強いなんていわれていま したが、いまや小額では遊べなくなったんだからそんな神話も通用するわけもなく。

それなのに強気の出店ラッシュは続いていますし、機械代もどんどん高くなっています。数千人規模にまで肥大化した業界関連企業ではそれなりの売上 げも必要になりますし、常に利益を追求しなければなりません。それとは対照的にファンは逆に疲弊していくばかりで、どこかで決定的な乖離があって もおかしくはない。それならいっそ、かつての家族経営レベルにまで業界側が戻ってもよいのではないかなと思うこともしばしば。駅前商店街のこじん まりとしたホールは、大手が標榜している地域密着営業というものを、単なるポーズではなく真の意味で体現していましたし。筆者も昔、小さなホール を経営している家族の息子から景品のお菓子を横流ししてもらったことがあったりしますが、お互いの顔が見えるレベルの地元密着っていうのは、お互 いが小さな存在だから可能なのではないでしょうか。いくら大手ホールが地元密着をうたったところで、割数を決められない店長でさえ事務所にこも りっきりで客前に顔を見せない。ましてや昔は当たり前だった、社長に「お前のところは出ねーよ」なんていうざっくばらんなコミュニケーションなん かできやしません。

営利企業なんだから利益を求めるのは当然だし、拡大していこうというのもまたしかり。でも大衆娯楽といいながら大衆の気持ちをわからないレベルま で大きくなる必要があるのかなと、考えることもあります。数千円で遊びたい客を相手にしてるんだから、数万円儲けようとしたらいけません。数万円 儲けたい客を相手にするならそれもいいかもしれませんが、その結果がヘビーユーザーに頼り切った現状なんです。気軽に遊びたい新規ファン=ライト ユーザーを呼び戻すには、まず業界側があらゆる面で高望みをしないことではないのかなと。公営ギャンブルとは違って気軽に遊びに行ける身近さこ そ、パチンコ業界の大きな強み。その気軽さを自らが肥大化することでスポイルするのは、実にもったいないですから。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵

学生時代にパチンコ・パチスロの 魅力に 取り付かれて、はや30年以 上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるず ると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続 中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

公営ギャンブル, 喜納臭蔵