【水曜】第12回パチンコ雑誌ライター喜納臭蔵の視点

2014.07.16 / 連載

新内規について

ちょっと古いですが、パチンコ新内規について筆者の感想を。今回の新内規はざっくりいうと、ライトミドルにおいてヘソ1個戻しが認められたということになります。1個戻し、若い人は知らないかと思いますが、25年くらい前にもありました。その頃の機械といえば、大当たり確率は 1/250くらいで一回の大当たりは調整にもよりますが2千発以上(基本的に15個×10カウント×10ラウンドなのでそれだけ出るのは計算が合 いませんが、アタッカーが開放すると玉の流れが変わってオマケチャッカーに入賞するのが普通でした)というのが一般的だったでしょうか。なかには 不思議と保留玉で連チャンする機械もありましたが、今の機械と比べると波は穏やかなもので。ヘソの賞球は7個がデフォルトなんて、そこそこ回る台 なら1時間で1万円も使わなかったし。そんな中、新台なのにやけに人気がない機械、確か「レーザースペーシー」という名前だったか、それが1個戻し だったんですね。

やけに回るのにやけに玉持ちが悪く、ヘソに入ったらコロコロって感じで1個だけ払い出されるのがかなり印象的でした。いわゆるボーダーラインは超 えていたのかもしれなくくらい良く回ってくれたけど、とにかく投資ペースが半端ない。そりゃ新台なのに人気がないのも当然だなと、若かりし筆者は そう考えたと記憶しております。そして1個戻しの機種が主流になることはなく、当時としては異例なほど早く入れ替えられたという思い出がありまし た。

今回の新内規、その目的は「回る機械」を作ることだそうで。確かに1個戻しはベースも低く運用できるし、回そうと思えば常に保留満タンくらい回し ても売上げを確保できるでしょう。でも昔の1個戻しも、きっと同じ理由で作られたはず。それを考えると、どうなのかなというのが率直な感想。さら に「回せる機械」は、最近も色々なメーカーさんがチャレンジしています。あえてスペックを辛くした機械なんかそうですし、8個保留搭載機にもそれ を目指した機械がいくつかあります。でも回せる機械を、実際に回しているホールがどれだけあるか。一般的なスペックの機械と同じくらいしか回しく れないホールが、圧倒的に多いのが現実です。だからファンからは、そういう機械は見向きもされないのが現実で、メーカーの意図は成功しているとは いえません。スペックを知らずデータ上で同じように合わせているのか、それともスペックを知っているのにあえて同じようなスタートにしているの か。前者ならスペックも分からないのか、後者なら悪意しか感じないということで、どちらにしてもそのホール自体の印象は最悪になりますし、詳しい 人はそんなホールに行かなくなるでしょう。そして結果的に、今のようなファン人口の減少にもつながっているんじゃないのかなと。

どういう機械なのか知らないで、「回せる機械」なのに回らない台を喜んで打っているお客さんの方が、ホールにとっては上客であるのは間違いないでしょう。でも今のお客さんってそこまでバカじゃないかと思いますし、現実にファンが減っている。だから危機感を持って「回せる機械」をリリースす るんだろう
し、「回せる機械」を作ろうと内規を改正したんでしょう。メーカーがそこまでする意義は評価するべきかとは思いますが、その前にホール がしっかり回してくれるのが本筋ではないと思うのです。

機械がつまらないからお客さんが来ないんじゃなく、回らないから来なくなるって考えたことはないんでしょうか。積極的に新台を入れても、回らない んじゃ誰も打ちませんて。ホールの人は、まず自分の店で遊んでみてはいかがでしょう。千円分だけでも打ってみれば、お客さんがいない理由が分かる ホールが多
いと思いますから。

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パチンコ・パチスロライター 喜納臭蔵

学生時代にパチンコ・パチスロの魅力に 取り付かれて、はや30年以 上。黎明期から始めたファン雑誌でのライター活動も20年を超え、このままずるず ると続けるしかないなと(やっと)覚悟を決める。ファン側の立ち位置にこだわるが故に副収入は一切ないが、なけなしの財布から年1回のマカオ旅行も継続 中。メールアドレス:kusazo@yahoo.co.jp

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