【日曜】藤崎敏郎「出世を決める『叱られ方』」

2014.10.06 / 連載

藤崎敏郎の人材育成セミナー第13回

「正しい叱られ方」ができる人と、そうでない人の人生は大きく違ってきます。

例えば、会議などで上司から叱られると、腹を立ててひねくれて黙り込む人がいます。研修でも、私が間違っていることを叱ると、「どうして私だけ、、、」と口にして、仲間に不公平感を訴える人がいます。10年ほど前にある企業で研修をしたときに、そこの管理職社員に、「もっと笑顔で相手を誉めましょう」と、みんなの前でアドバイスをしたことがありました。すると、それを怒られたと思ったのか、研修の受講者レポートに「こんなひどいパワハラ講師はいない! モチベーションを上げるのが講師の役目なのにやる気をなくした」と書いてきた受講者がいました。社長はその研修に出ていなかったので、それを信用して、その会社での私の研修がなくなりました。

叱られたときの反応で以後の人生が変わった顕著なエピソードがあります。昔、私の部下で叱っても「はい、ありがとうございます」と言う新入社員がいました。口癖になっているようでした。「(叱っていただいて)ありがとうございます」という意味でした。こう言われると、叱ろうという気持ちがなくなってきました。そして、その新入社員は仕事で失敗したのだけれども、それ以上のプラスのイメージが残りました。このような、叱られ上手が良いのです。素直に上司の言うことをいったんすべて受け止めると、前向きに物事をとらえる心構えもできてきます。

反対に新入社員の中に注意をすると「いいえ、違います。私の責任ではありません。」と、反論をする者がいました。5年たった時には、「はい、ありがとうございます」が口癖の新入社員は管理職社員になりました。「いいえ、違います」が口癖の新入社員は役職者になれずに退職していきました。叱られ上手と叱られ下手で、全く違う人生になるのです。

ある小学校の先生が本に書いていましたが、小学生は先生から叱られるとすぐに「怒られた!」と言うそうです。自分のために叱ってくれているという感覚がないそうです。中には、「チッ」と舌打ちをしたり、「わかってまーす!」と横柄な態度で返答をする小学生もいるそうです。「今からやろうとしていました!」と言い訳をする小学生も大勢いるそうです。さらにひどくなると、腹を立ててひねくれ黙り込む、すぐにその場から立ち去ろうとする、泣いてわめくそうです。叱られた理由や、叱られずに済むにはどうすべきか、望ましい行動とは何かといったことを、素直に受け入れようとしないそうです。そのまま大人になった社員が、会社の中にもいるかもしれません。

叱る人はその人のためを思って叱っています。望ましい考え方や行動をして欲しい、素直に成長して欲しい、素直に聞きいれて欲しいと思って、本当は言いたくないことを相手のために言っています。

今回の格言は、「叱られ上手になろう!叱られても“ありがとうございます”を言おう!」

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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎

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元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとし て独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1人事コン サルタントと言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メ ンタルヘルスマネジメント2級

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