【日曜】藤崎敏郎「マネジメントの極意は予定と切り捨て」

2014.09.29 / 連載

藤崎敏郎の人材育成セミナー第12回

マネジメントという言葉の意味は、辞書で調べると「 経営などの管理をすること」と、書かれています。だから、管理職でマネージャーとなっている人は、部下を管理するのが自分の仕事と思っています。たくさんの本が出版されていて、読書をして勉強している人ほど、このような傾向が強いかもしれません。

あるベテランの人事コンサルタントが、中小企業の経営指導者が集まるセミナーで、「マネジメントは管理と訳してはいけない」と話していました。こう言われて、何だろうと耳を澄ましていました。すると、中小企業のマネジメントは、「やりくり」と訳すべきと言われて合点がいきました。中小企業は、人・物・金・情報など、大企業に比べてはるかに不足しています。本に書いてあることをそのまま実行しようとしても机上の空論になります。不足するものを何とか「やりくり」するのが中小企業のマネジメントなのです。

マネジメント=「会社の目的を達成するために〝やりくり〟すること」

その〝やりくり〟をするためにとても重要なキーワードが二つあります。一つは「あらかじめ」、二つ目は「やめられないか、(減らせないか)」の二つです。 一つ目の「あらかじめ」ですが、人間は弱いものです。重要な仕事と分かってはいるものの、どうしても「今」やらなくてはいけない仕事に目を奪われ、後回しにしてしまうのです。そこで「あらかじめ」を活用してやりくりするのです。本当にやりたいこと、やるとさらに飛躍できることを、先手、先手とスケジュールを予定して実行に移していくわけです。例えば、次のような事例があります。

①  毎週月曜日の9:00~30分は1週間の計画を作成する時間にあてる。

②  毎週水曜日の13:00~は最低1人以上の部下と面談の時間とする。

③  毎週土曜日の10:00~業務改善案の作成の時間にあてる。

二つ目は、「やめられないか」(減らせないか)です。新しくやることばかりが増えると、これまでのことが継続できません。できる人になるためには、これが上手にできることが重要なポイントになります。まず、やらなくて良いことを決めるのです。

ケース1 グランドオープンのエリア長の指導事例

グランドオープンの指導のやり方ですが、全部をやろうとすると最優先すべきことがおろそかになりがちです。準備は万端にするべきですが、いよいよ開店前日になった時には、業務の中で重要でないものを「やらなくて良い」と指示できるのが優秀なエリア長です。社員が元気な笑顔でお客様に接し、機械設備がトラブル無く機能していることを優先しろと断言すべきだからです。既存の業務の中にも、やめるべきものがあるはずです。仕事のABC分類をして、C項目をすべてカットするくらいの覚悟も必要なのかもしれません。

今回の格言は、

「〝あらかじめ〟と〝やめられないか〟で〝やりくり〟するのがマネジメント!」

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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎

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元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとし て独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1人事コン サルタントと言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メ ンタルヘルスマネジメント2級

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