「マーケティングの基本は差別化、真似じゃダメ」

2018.06.16 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(166) 期待値は高まる

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林秀樹です。今日は6月17日、「父の日」ですね。ここ何年もいわゆる「お店のイベント」というものには規制(自粛?)が入っており、5月の母の日などこういった周知の行事に絡めての「(ある意味)イベント」で何かしらのアクションをしているお店は多いと思います。

もちろんそういったアクションは、自店だけでなく他店も行っています。それこそパチンコ店だけでなく様々な業種業界で行っていることでしょう。そうなると自店をアピールするためというよりも埋没しないため、少なくとも「同じスタートラインに立つために何かしらのことをしなくてはならない」と考えてのアクションになってしまいます。しかし競合店も同じことを考えてイベントをするので、結局は横並びなので埋没です。せいぜい落ちこぼれずに済むくらいで、思ったような効果が得られないという結果となります。

マーケティングの基本は「差別化」です。他社他店と同じことをしていてもダメなのです。しかしだからと言って「あえて何もしない」というのは本末転倒であり、ここはやはり「何か」をすべきであって、その時に使えるもの(今回で言えば父の日)は有効に活用すべきです。

問題は「同じコンテンツを使って、どうやって差別化を図るか」です。今、例えば5月にGWや母の日に絡めたイベントをしても(遡ってもっと過去のイベントでも)思うような効果が得られなかったお店というのは、ただ単に「やるだけ」になっていたのではないか、と思います。ルーティンワークになってしまってはいないか、ということです。効果がないことを繰り返すのは、時間という資源もカネという資源も、ヒトという資源も無駄遣いです。

ここで考えてほしいのは「顧客の期待値は常に高まるもの」ということです。もう少し言えば「期待値は都度高まり、そして下がることはない」のです。始めた当初はよくても同じことを繰り返すだけでは必ず飽きられます。必ず「(いろいろな意味で)前回を超える」を目標に掲げて施策を行わなければいけません。また前回の反省を生かすことも大事です。「前回のイベントは何がダメだったのだろうか」と考えて見直しをすべきです。

前回を超えるために見直すポイントは、いわゆる「マーケティングの4P」に当てはめればよく分かります。
・Product(製品、商品)に問題はなかったか
・Price(価格設定)に問題はなかったか
・Promotion(販促、宣伝)に問題はなかったか
・Place(配置、経路・導線)に問題はなかったか
と考えるのです。ただしパチンコ店の場合はこのイベントで「稼働の向上」が目的になるので、そういった結果につながるかどうかが判断基準です。商品の販売(もしくは総付景品の配布)が目的ではないのでこの点は注意が必要です。(決して、用意した商品が完売すればいいのではない。)

「イベント」は必要です。それはなにも自粛や規制に引っかかるようなものを指すのではなく、顧客に自店の存在感、ヤル気を伝えるためにすべきものなのです。存在感やヤル気を伝えるのですから、決してルーティンワークで流して進めるものではなく、どうせやるならば全力で実施してください。そして必ず効果測定と反省を。他店との差別化がなされるかは「取り組み方」次第です。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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