あなたのホールは大丈夫? パチンコ機種選定の成功と失敗の分かれ道

2024.08.12 / 機種

パチンコ業界における機種選定と版権の関係性

パチンコホールの運営で重要なお仕事の1つ。それが機種選定。何が自店にとって人気を獲得できるか。そんなことを全国の店長は考えていることだろう。

従来では、一度ブレイクした機種の続編など、ある程度実績を残した機種が安定した稼働を続けてきたが、もうそんな時代は終わりを迎えているかもしれない。なぜなら、この機種選定がいかに難しいかは、多くのホールが経験しているからだ。


LTでヒットしたのは2,3機種くらい? パチンコの機種選定は難しい! 

「P魔法少女まどか☆マギカ3」「P緋弾のアリア~緋緋神降臨~ラッキートリガーVer.」「P北斗の拳 強敵 LT」の3機種はLTでヒットしたと言ってもいい機種だが…

機種選定がことごとく失敗すると、業績に大きな影響を及ぼすことになる。ヒットすることを予測できれば相応のリターンを得られるが、ヒットしない機種を大量導入すると、これはホール経営における最大のリスクにもなる。

例えば、若者層にささる可能性の高い新機能としてラッキートリガーが注目されているが、LT搭載機が初登場した今年の3月4日から、本稿執筆現在で26機種が登場。しかし、LT機でヒットしたと思える機種を想像してみると、おそらく2,3機種ほどしか見当たらない。

ヒットするものと、そうではないものとの明暗がはっきりするようになってきた今、LTだからといって必ずしも高稼働が保証されるわけではなく、飛びつくことがいかに危険であるかを示している。


LTを搭載しなかった「ToLoveる」の成功例 

その一方で、LTを搭載しなかった機種で、かつ新規アニメ版権で成功を収めた機種もある。「P ToLOVEるダークネス」がその条件に当てはまる。

今までのパチンコ業界になかった「ToLOVEるダークネス」という人気版権を、パチンコとパチスロ同日導入という販売戦略の後押しもあり、人気になった。

あるホールの店長は、同機種をこのように評価する。

「Lもそうですが、『ToLOVEる』は若年層が非常についてます。某データ収集企業の調べでは、統計を取り始めて以来、初めて遊技した人の平均年齢が30歳を下回った唯一の機種です」

コアなファンがいるコンテンツで、適正な台数だったおかげもあって希少価値が高い機種となった。もちろんスペック面でも、3000発や薄いところを引ければ4500発獲得できるという一撃性に振っているため、高純増が好きな若者とのマッチもあったと考えられる。


版権が稼働に与える影響

パチンコはパチスロと異なり、機種のスペック以上に版権の力が稼働に直結することが多いと言われている。ここでXのアンケート機能を利用して調査してみた。

パチンコの方が若干ではあるが、版権を重視する人の割合が多い。予想外に版権が遊技動機につながっていることに驚いている。

ユーザーから見た場合、打つ機種を選ぶ際に注目するのは、まずはその版権の人気度や知名度なのだろう。その上でスペックを吟味される。

最近のトレンドとしては、アニメ版権の中でもラノベ原作系機種が実績を出している。


新規人気版権の不足 

ただ、新しい人気版権が少ないという問題も指摘されていて、むしろ、過去の人気シリーズを再利用した「焼き直し」的な機種が目立つようになっている。それはそれで安定するだろうが、新しい表現がないためいずれは飽きがでてしまうのもまた事実。

ラノベ原作がトレンドと前述したが、ラノベ原作だったら何でも良いかというと、これも中々一概には言えない。

考えられる1つの指標としては、原作の発行部数などを調査してみると良い。例えば、その年を代表する機種にも選ばれたような「とある」シリーズや「ソードアート・オンライン」などはラノベ界隈の中でも累計発行部数が上位の作品だ。

シリーズ化を求める声もあるが、擦られた回数が多いほどに、その魅力が徐々に薄れていくという現象も見られる。


結局パチンコにとって何が良い版権なのか? 

メーカーが新規版権をパチンコ化して販売する際に、そのどれもが「人気がある」と主張する。当たり前のことではあるが、実際のところ、その信頼性には疑問が残る。

また、原作が売れたといっても、それが20年前のコンテンツだとしたら、今の若者には刺さらないだろう。「ヒットしてから間もない」「ヒットし続けている」「アニメが継続して放送されている」……、こういった部分も機種選定においては加味して考えるべきなのかもしれない。

パチンコにおける機種選定は版権による影響も大きく、ホールは何が自店にとって重要か、目を養っておくべき非常に重要な要素である。

新規版権を選定する際には、一か八かの博打ではなく、慎重な分析と市場調査に基づくものであるべきだ。

今後も、新しい人気版権が登場することを期待しつつ、現行のラインナップの中でどの機種がホールの稼働を支えるのか。これを見極める目が、ホール経営者にとっては必要不可欠なスキルとなっている。

 

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