【日曜】藤崎敏郎「視野狭窄が判断ミスを誘発」

2015.03.30 / 連載

藤崎敏郎の人材育成セミナー

第37回「 ゾウのしっぽをつかんで全体を判断するな!!」

物事を判断するときに、全体を鳥瞰して、一部分を見ることが大切です。ゾウのしっぽの話しをします。3人の盲目の人がいると想像してください。一人目は、ゾウのしっぽを触ったとします。すると、ゾウとは細長い動物だと判断します。二人目は、ゾウの耳を触ったとします。すると、ゾウとは薄いひらべったい動物だと判断します。三人目は、背中を触ったとします。すると皮が固くて目も耳もない動物だと判断します。それぞれは、一部分を触っただけですが、それで全体を判断してしまうのです。どうでしょうか。仕事も同様のケースがないでしょうか。そして、部下を見た時も同様のケースがないでしょうか。

職場でこのような顕著な事例が発生するのは、人事考課の時かもしれません。ある部下を見て、Aという上司とBという上司の評価が全く違っているケースがあるでしょう。それぞれは、わざと違った評価をしていのではありません。一部分しか見ていないことが原因です。全体を見る努力をしなければならないのです。部下の毎週の業務の進行の確認をする、毎月の目標の達成度の報告を受け、そして、本人の仕事ぶりをいつも見ていること、これが欠かせないのです。どうでしょうか。評価時期だけ、評価表を見て点数をつけていませんか。まず、人事考課は、評価開始期間の始まる前に上司と部下が目標や、やるべきことの確認から始まるのです。

それから、上司が部下に一部分でも代わりに仕事をさせるときは、最初は細かい報告を受けなければなりません。これは分かっているだろうという先入観を捨てておきましょう。得てして、うまく行かないのは、お互いの考えていることが違うからです。つまり、ゾウのしっぽを触って全体だと判断しているケースがほとんどなのです。

それから、部下の報告を受けるときも、その情報だけで判断してはなりません。例えば、機械の情報で展示会に行った部下から「いいと思います」と言われたときに、部下は「(キャラクターが可愛くて)いいと思います」と、一部分だけを見て感想を話しているのかもしれません。聞いた上司は、「(売り上げが上がり、利益が取れるから、長期運用できるから)いいと思います」と、部下の報告を聞いているケースがほとんどだからです。

そして、私自身の事例ですが、他の有名な先生方のセミナーに出たい時に、どのようなセミナーなのか参加したことがある人に聞くケースがあります。しかし、それで出席するかどうかは判断しないようにしています。ほとんどの意見が、ゾウのしっぽの状態だからです。そのセミナーを教える人と同様の知識や経験がないと、全体が分からないので一部分だけの判断で自分の意見を言うしかないことが分かっているからです。「良くない、役に立たない」と言われたセミナーに私が出たら、とても素晴らしいセミナーであるケースの方が多いのです。聞いた人に講師の行っていることを理解できる全体を見る力がなかったことが原因です。

今回の格言は、「ゾウのしっぽをつかんで全体を判断するな!!」

 

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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎

元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとし て独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1社員研修 講師と言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メンタル ヘルスマネジメント2級、宝地図ナビゲーター、レイキティーチャー、エネルギーマスターなど

http://p-link.co.jp/index.html(ホームページには各誌の書いた原稿を掲載中)

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