【日曜】藤崎敏郎「悪魔のサイクル」

2015.02.02 / 連載

崎敏郎の人材育成セミナー

第30回 「悪魔のサイクルに入らないこと」

一般社団法人日本経営協会が発表した。「平成25年度 日本の中間管理職意識調査」結果に、興味深い事実が載っていました。中間管理職が部下に対して持つ悩みの一つが、「指示したことはやるが、自発性が見られない」ということです。しかも、そう思っている管理職の割合が45.3%と、かなり多くの割合でいるのです。個別相談でも経営者からは、若手の社員に身につけて欲しい能力の第1位として、「主体性」があげられるケースが多いです。そのことを裏付ける結果が出ていました。指示したことはやる、、、でも自発性がない。“自分から何かを学ぼうとしない、何かをやってやろうとする積極性がない、”社員や部下に対してこんな感想を持っている経営者の方々が沢山いるのです。

そして、そのような部下を持っている中間管理職の悩みは、部下指導まで手が回らないということです。主体的に動いてくれない部下を持ち、かつ、短期的な営業責任が重くて、そちらに全力を尽くさないと業績低下が著しい責任の重さにへとへとになっている姿が思い浮かびます。中間管理職自身も主体的に行動できないでいるのです。そのような状況で陥りやすい悪魔のサイクルがあります。

参考、悪魔のサイクル

  1. 通常業務に追われ、緊急な仕事・目先の対応に終始する⇒②へ
  2. 本来着手するべき、本質的な問題・課題に取り組めない⇒③へ
  3. よって、お客様に対して、小手先の対応・今までのやり直しに終わる⇒④へ
  4. クレームや不満が頻発し、自らが消火活動に当たる⇒①へ(この繰り返し)

 

この悪魔のサイクルを脱するためには、主に二つのアプローチがあります。一つは、中間管理職(リーダー)がより以上のリーダーシップ能力や、マネジメント力を身に付けること。二つ目は、中間管理職(リーダー)を含むスタッフ全員が、実務スキルを上げることです。しかし、ほとんどの企業では、「リーダーシップを発揮しろ」、「スキルを磨け」など、気合と掛け声ばかりです。しかも個人任せになっています。部下指導のコツなども、全く教わっていないのに責任だけが重い状況なのです。では、どうすれば主体的に行動して悪魔のサイクルに入らないようにできるのでしょうか?

簡単に言うと、“仕事を楽しむこと”これが悪魔のサイクルに入らない秘訣です。どうしてかというと、人は楽しいことしか主体的にやろうとしないからです。心理学や行動分析学では定説となっています。例えば、お酒の飲める人なら、夏の暑い日にビールを飲んだら、とても美味しいと思います。これは楽しいという体験があるから主体的に行動を取るのです。もし、ビールを飲むのが苦しいことだとしたら、自分から行動は取りません。お酒が飲めない人が夏の暑い日にビールを飲みなさいと言われたら、これは苦しいことです。苦しいことは自分から主体的に行動は取らないのです。仕事を楽しむことが、仕事を主体的に行うコツなのです。

そこで、質問が来ると思います。「仕事がそもそも楽しくないのだけれど、、」そのような方々の心を明るく元気にして、楽しく働く人を増やすコツがあります。次号に、そのコツについて書いていきます。

今回の格言は、「悪魔のサイクルに入らないこと!」

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株式会社パートナーズリンク社長 藤崎敏郎

元セブン&アイグループの本社スタッフ。その後パチンコチェーン店に入社。機械担当部長、営業部長として勤務する。その後、人事コンサルタントとし て独立。社員研修と人事コンサルティングで日本各地を飛び回っている。これまでに教えた受講者は10万人以上。業界誌にも複数連載し、ナンバー1社員研修 講師と言われている。取得資格:キャリアコンサルタント、販売士1級、社労士、米国NLPマスタープラクショナルコース終了、トレーナーコーチ、メンタル ヘルスマネジメント2級

http://p-link.co.jp/index.html(ホームページには各誌の書いた原稿を掲載中)

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