設置期限延長の改正規則をわかりやすくしてみた

2020.05.20 / コラム

昨今の新型コロナウイルスで休業や自粛営業が続く中、新規則機への完全移行に向けた遊技機の入替も停滞気味だ。
ただでさえ2021年1月末までには市場すべての台数を入れ替えることは難しいと言われていた中で、新型コロナによって市場への供給不足に拍車がかかり、新規則への移行は絶望的な状況だった。

そのような状況を踏まえ、かつ入替作業による感染拡大を防止する目的で、5月20日に「旧規則機の認定・検定期限を1年間延長」させる改正規則が公布・施行された。
その名も、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則の一部を改正する規則(令和二年国家公安委員会規則第七号)

「法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」だけでも〝規則〟が3回も登場し、〝及び〟も区切りがわかりづらい。なのに今回の改正規則は「さらにその一部を改正する規則」というもの。理解しようとする意思を名前の力だけで削いでくる規則だ。

さらに改正された規則の中身を見てみると「施行の日の翌日の三年前の日の前日まで」と、これまた何回タイムスリップすればいいの?と言わんばかりの日付指定も出てくる。

法律の条文というのはただでさえ難しい言葉を使い、読解するのに時間と精神をすり減らさなければならない。それが今回は名前から内容まで極端な読解力を求めてくるタイプのヤツ。

遊技機の認定・検定期限の1年延長という大きな〝特例措置〟。これを正しく読み解けるよう、小難しい条文をわかりやすく訳してみた。


〇国家公安委員会規則第七号
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則の一部を改正する規則

風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第四条第四項、第二十条第一項及び第四十七条の規定に基づき、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則の一部を改正する規則を次のように定める。 令和二年五月二十日 国家公安委員会委員長 武田 良太

上記の文は官報に記載された、今回の規則を定めると示す文章だ。官報ではこれに続き改正前後の「改正規則附則」が記され、変更点を明記している。

だが今回は改正された内容は何を意味しているか、を示すために改正前の附則は記さず、改正後の条文とそれを噛み砕いた文章を併記していく。


遊技機の規制に関する経過措置
原文

・4
この規則の施行前にされた許可又は承認の申請に係る遊技機(法第二十条第二項の認定(以下単に「認定」という。)を受けたもの又は同条第四項の検定(以下単に「検定」という。)を受けた型式に属するものに限る。)に関する同条第一項の基準については、当該認定を受けた日又は当該検定の遊技機規則第九条第一項の規定による公示の日(以下単に「公示の日」という。)
から起算して四年(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則の一部を改正する規則(令和二年国家公安委員会規則第七号)の施行の日の翌日の三年前の日(附則第十項において「特定日」という。)の前日までに認定を受けた遊技機又は検定を受けた型式に属する遊技機(以下「特定遊技機」という。)に係る場合にあっては、三年)を経過するまでの間は、なお従前の例による。


・4
2018年2月1日(新規則施行)より前にされた許可や承認申請については、有効な検定・認定を持つ遊技機に限って、認定を受けた日または検定通過が公示された日から4年間は国家公安委員会が定める「射幸心をそそるおそれのある遊技機」の基準をこれまで(旧規則時代)と同じ扱いとする。
※ただし、2017年5月20日以前に認定または検定を取得した遊技機は3年間のまま

ポイント

この4項は2018年2月1日に施行された新規則に対し、いまだ有効な認定および検定をもつ旧規則が〝違法機〟とならないように経過措置として、認定・検定の期間内は「従前の例」=「改正前の規則内容」=「旧規則と同じ条件」を認めるものだ。

ここで早速「施行の日の翌日の三年前の日の前日まで」というワードが出てくるが、ここで〝施行の日〟が指すのは2020年5月20日。その翌日は2020年5月21日、の3年前は2017年5月21日、の前日ということで2017年5月20日を意味している。「最初から施行日の三年前と書けよ」と思うが、この後に「特定日」として施行の日の翌日の三年前の日を指した条文が出てくるために遠回りをしているようだ。


施行日以後にされた許可の申請等に関する経過措置
原文

・7
この規則の施行前に認定を受けた遊技機若しくは検定を受けた型式に属する遊技機又は附則第五項の規定によりなお従前の例によることとされた法第二十条第一項の基準に従ってされた認定を受けた遊技機若しくは前項の規定によりなお従前の例によることとされた同条第三項の技術上の規格に従ってされた検定を受けた型式に属する遊技機に係る法第五条第一項の許可申請書を施行日以後に公安委員会に提出した者に対する許可に関する法第四条第四項の基準については、次の各号に掲げる遊技機の区分に応じ当該各号に定める日から起算して四年(特定遊技機に係る場合にあっては、三年)を経過するまでの間は、なお従前の例による。

・8
前項に規定する遊技機に係る施行規則第十九条第一項の変更承認申請書を施行日以後に公安委員会に提出した者に対する承認に関する法第四条第四項の基準については、前項各号に掲げる遊技機の区分に応じ当該各号に定める日から起算して四年(特定遊技機に係る場合にあっては、三年)を経過するまでの間は、なお従前の例による。

・9
附則第七項及び前項の規定によりなお従前の例によることとされた法第四条第四項の基準に従ってされた許可又は承認に係る遊技機に関する法第二十条第一項の基準については、附則第七項各号に掲げる遊技機の区分に応じ当該各号に定める日から起算して四年(特定遊技機に係る場合にあっては、三年)を経過するまでの間は、なお従前の例による。


・7
2018年2月1日以降に営業許可申請を提出する場合について
2018年2月1日より前に認定・検定を受けた遊技機、または2018年2月1日ちょうどに認定・検定の申請が出されていた遊技機、もしくは2018年2月1日よりも後に申請が出されたが2月1日より前に試験を受けていた遊技機。この3つの遊技機については以下の3つの区分から定める日より4年間は「射幸心をそそるおそれのある遊技機」の基準をこれまで(旧規則)と同じ扱いとした上で営業の許可を審査する。
※ただし、2017年5月20日以前に認定または検定を取得した遊技機は3年間のまま

一 2018年2月1日より前に認定・検定を受けた遊技機または2018年2月1日ちょうどに認定・検定の申請が出されていた遊技機……認定取得日または検定公示日
二 2018年2月1日よりも後に申請が出されたが2月1日より前に試験を受けていた遊技機……施行日
三 2018年2月1日ちょうどに保通協に試験申し込みが提出されていた遊技機……試験結果書類の交付日

・8
前項にあげた遊技機について、変更承認申請を2018年2月1日以降に提出した場合も、前項と同様の扱いをする。
※ただし、2017年5月20日以前に認定または検定を取得した遊技機は3年間のまま

・9
上記7項と8項によってこれまで(旧規則)と同じ扱いで許可された営業、さらにこれまで(旧規則)と同じ扱いとした「射幸心をそそるおそれのある遊技機」の基準をもとに認められた承認については、7項の区分が定める日から4年間はこれまで(旧規則)と同じ扱いとする。
※ただし、2017年5月20日以前に認定または検定を取得した遊技機は3年間のまま

ポイント

7項と8項では営業許可申請と変更承認について、そしてそれらの有効性を9項で示している。本来は、射幸心をそそるおそれのある遊技機、つまり規則に反した違法機には変更承認を認めず、また設置している場合は営業許可を与えない。

だが、旧規則機でも認定・検定がある期間は違法とはせずに営業許可も旧規則と同じ条件であることを示す。上記4項が「射幸心のそそるおそれのある遊技機」の基準を定め、この7項でも同じようにその基準に則り営業許可や変更承認を行うということを意図している。

また、2018年2月の新規則施行の直前・直後の型式や認定申請などの機種の有効期限についても定めている。この区分については5月20日公布の改正前後の文面には記載されていないが、大元の改正規則から要約して記載した。


認定及び検定の効力に関する経過措置
原文

・10
特定日から施行日の前日までの間にされた認定又は検定は、遊技機規則第四条又は第十条の規定にかかわらず、当該認定を受けた日又は当該検定の公示の日から起算して四年を経過するまでの間は、なおその効力を有する。

・11
附則第五項の規定によりなお従前の例によることとされた法第二十条第一項の基準に従ってされた認定
又は附則第六項の規定によりなお従前の例によることとされた同条第三項の技術上の規格に従ってされた検定
は、附則第七項各号に掲げる遊技機の区分に応じ当該各号に定める日から起算して四年を経過するまでの間は、なおその効力を有する。


・10
2017年5月21日から2018年1月31日の間に取得した認定・検定は、遊技機規則で定められた3年という通常の有効期間を無視して、認定取得日または検定の公示日から4年間の有効期限とする。

・11
2018年2月1日ちょうどに認定・検定の申請が出されていた遊技機、もしくは2018年2月1日よりも後に申請が出されたが2月1日より前に試験を受けていた遊技機。これら2つの遊技機に対して出された認定・検定は、上記7項の区分が定める日から4年間の有効期限とする。

ポイント

今回の規則改正で最も重要な〝期限延長〟を表している部分はこの10項と11項である。訳からも分かるように、「2017年5月21日から2018年1月31日の間」つまり〝5月20日現在で認定・検定切れしていない旧規則機〟は、その認定・検定の有効期間を4年に伸ばすことをはっきりと明記している。


新型コロナに端を発した、いわば「経過措置の緩和措置」。

条文どおりの内容で考えれば、2021年1月末を期限としたいわゆる前倒し認定を行った機種であれば2022年1月末まで設置できるということになる。だが、それでは旧基準機・旧規則機の設置比率目標などと矛盾を起こし、予てから準備に取り組んでいたホールや、自主規制と引き換えに様々な〝譲歩〟を勝ち取ってきた業界団体の努力を水の泡として業界の状況を悪くしかねない状況も生まれてくる。

そんな状況を回避するために、業界14団体で構成するパチンコ・パチスロ産業21世紀会において「旧規則機の取扱い」と題した決議がなされ、5月20日の午後に発表された。設置期限について抜粋すると、以下のような内容だ。

2020年5月の規則改正の施行日以降、2020年12月31日までに当初(規則改正前)検定切れ、認定切れとなることとなっていた遊技機

  • 高射幸性回胴式遊技機……それぞれ当初の検定切れ、認定切れの日付までに撤去
  • 羽根モノ、ちょいパチ、甘デジ(TS100未満)及びノーマルAタイプ……当初の検定切れ、認定切れの日付から7ヵ月(210日)以内に順次撤去
  • 上記以外の遊技機……2020年12月31日までに撤去することとし、2020年5月20日時点の設置台数の15%を目途に毎月撤去を行う。

当初2021年1月1日以降に検定切れ、認定切れとなることとなっていた遊技機

  • 高射幸性回胴式遊技機……それぞれ当初の検定切れ、認定切れの日付までに撤去
  • 上記以外の遊技機……2021年11月30日までに撤去することとし、2021年1月31日時点の設置台数の15%を目途に毎月撤去を行う。

ここまで長くなったが、要は21世紀会から発表された内容に沿って期限が延長されたと覚えておけば間違いはない。

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