週末のマグレ噴きの原因と対策(林秀樹)

2019.09.20 / 連載

【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(231) 同じ営業にするには、違うことをしなくてはならない

 

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。

9月のここまではかなり厳しい状況といえます。9月は休日の数だけで考えれば8月よりも多くあるのですが、やはり季節的な要因として落ち込んでいるといえるでしょう。

 

こうなると、たとえ出し方(割数、利益率)が計画通りだったとしても金額としての予算、計画に追いつかなくなっている事態に陥っているお店も多いと思うかもしれません。

こういったときは、「取るべき時には、取る」を徹底しなくてはいけないですが、そうはいってもなぜか土日に噴いてしまうことがあります。

通常、週末というのは平日に比べて稼働や売上が高くなります。だからこそしっかりと利益を求めるつもりで高めの利益計画を組むもので、そういったときに噴いてしまうと計画と実績に大きな乖離が生じてしまいます。そしてその穴埋めに、ということで(本当は出したい)平日も低く営業せざるを得なくなり結果的に平日の稼働が落ち込み始める、そういった悪いサイクルに嵌っていってしまいます。

ただ、こういった悩みは昔からありました。しかしここ最近は特に増えていると感じます。今回は「なぜ昔よりも土日に噴いてしまうことが多くなったのか?」について、その原因と対応をお伝えいたします。

 

冒頭でもお伝えしましたように「土日に噴くことの悩み」は以前からありましたが、昔はそれほど大きな悩みとはなりませんでした。一度や二度噴いてしまったとしてもその後の営業で十分リカバリができたのです。しかしここ最近は「噴いて止まらない、週末ごとに噴く」という声をよく聞きます。

この原因は大きく分けて2つあります。

 

  • 損益分岐割数の変化

昔に比べて損益分岐割数が低くなり、その結果「“毎日同じ」を志向する営業のお店が増えました。この「毎日同じ」というのも利益率だったり利益額だったり、はたまたスタート回転数だったりといろいろありますが、総じて「“いつ来ても均一な期待感”を演出して再来店を促す」という考え方によっています。

 

  • ベース値の上昇

新要件機の設置割合が増えてきました。これらはベース値が高いことが特徴です。その分TYが抑えられているので全体のバランスはこれまでとほぼ変わらず遊技機の使い方自体は大差ないのですが、旧要件機種に比べると通常時の玉持ちが格段に良くなっています。

以上2つが根本の原因です。

 

さて割数を計算するための構成要素は5つで、それは、

・スタート

・ベース

・TY

・TS

・客滞率

です。これらの数値が高ければ割数が上がり(利益率が下がり)、数値が低ければ割数が下がる(利益率が上がる)ので、スタートやベースだけでなく客滞率も割数を上げる(下げる)要因となります。

そして一般的に週末は平日に比べて長く遊ぶ傾向があるので、上記構成要素のうち客滞率は週末のほうが上昇することになります。「毎日同じ営業を志向する」にしても週末は客滞率が上昇するのでスタート等は下げておかなくては同じにすらならないのです。

これだけなら今までも考えていたことでしょう。しかし今は上記①での記載のように「毎日同じ」が基本になっているので、曜日によっての極端に抑えめな遊技機の使い方をしない(できない)傾向があります。今よりも高い損益分岐割数が当たり前だったころは「土日は確実に抑える」が主流でしたので、客滞率の上昇があってもそれをカバーするような使い方ができていました。

 

さらに上記②が追い打ちをかけています。高ベース機は通常状態の吸い込みが遅くなっているので、より客滞率の上昇を招きやすくなっていることに気づいてほしいところなのです。

 

これらの原因に対する対策は、「これまで自分が想定していた(行っていた)週末営業での遊技機の使い方よりも、さらに抑えた使い方をする」となります。

 

「そんなに抑える営業をしたら拙いのではないか」

そう思うかもしれません。しかし思い違いをしないでほしいのは「同じを志向する」こと自体はそれでいいということです。要は「同じにするために、使い方の面で抑える」ということなのです。

計数管理の基本は変わりませんが、状況や遊技機のスペックなど取り巻く環境は変わっています。昔のままのとらえ方ではなく、変化している部分を考えていってほしいと思います。

 

 

 

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

ド底辺ホール復活プロジェクト, アミューズメントビジネスコンサルティング, 林秀樹
クレティ4年以上

風営法にて、調整の話はタブーですなあ。
ただ昔と今とでは、稼働率の差がありすぎて、割数が暴れまくり安い傾向になりますな。

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