表層よりももっと奥深いところにある問題点、それは社内風土だった(林秀樹)

2019.10.25 / 連載

【金曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(236) 風土、考え方の変革を

 

 

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。非常に厳しい状況が続きいています。そのため「まずは客数を」という考えのお店が多いことでしょう。今年は年末にこれまで主要機種だった高射幸性遊技機の撤去が控えており、落ち込むことを想定して例年以上に今の時期の稼働維持を重視していることだと思います。

さて客数維持のための営業をするにしても、実際に店舗でオペレーションをするのは現場のスタッフです。そのスタッフがモチベーション高く頑張ってくれないとお店の士気は上がりません。今回はそのスタッフに関するお話です。

 

あるお店のお話です。このお店は新人が入ってきてもすぐに辞めてしまい、恒常的に人手不足でした。そうなるとそれなりに経験のあるスタッフはほとんどおらず、最初に少しの説明があった後は満足な教育もなくいきなり現場投入となります。つい最近には入店1週間のスタッフが新人に業務説明をする教育係になるという事態まで発生しました。これは大問題です。

もちろん私は「これはいけない」と店長に注意をしたのですが、

・人員不足なんだから仕方がない

という言い訳で押し切ろうとします。さてこの事例、どこにどんな問題があると思いますか?

・人手不足解消のためにできることをちゃんとしていたのか。

・シフトの組み方に問題があるのではないか。

・接客という仕事を軽視し過ぎではないか。

など、いろいろ問題が浮かびます。しかし上記はどれも「結果、事象」です。本当の問題点はもっと奥深いところにあります。

 

本当の問題点、それは、

・このお店の社風、風土、根本の考え方に問題あり

という点です。そして問題となった「風土」は「会社都合優先」です。今回の事例でいえば、

・接客レベル維持と、シフトの都合のどちらが優先されたか。

・教育を任されるスタッフの不安と、シフトの都合のどちらが優先されたか。

・教育される新人の今後の成長と、シフトの都合のどちらが優先されたか。

で、全てにおいてシフトの都合を優先しています。つまり「相手よりもこちらを優先する」ことが風土となっているのです。もちろん、この店長も入店1週間のスタッフが新人教育をすることが正しいとは思っていないです。しかし、シフトの手当てをすることよりもスタッフに無理を強いることで目の前の難局を乗り切ろうとしており、「何が正しいか」の認識がずれています。

 

「風土」というものは様々な場面で出てきます。今回の事例ではスタッフ教育の場面でこの風土が現れたのですが、このお店の風土は「会社優先」なので、例えば入替、例えばイベント、例えば調整などなど、すべてが「会社の論理が出発点」となってしまいます。そうなるとお客様はこのお店に魅力を感じなくなり、稼働が落ちていくでしょう。まさにプロダクトアウト、低稼働へ一直線です。

 

風土、社風というのはこれまでの蓄積で出来上がってきたものであり、なかなか変革させることは難しいかもしれません。しかし、現在の状況は過去行ってきたことの結果です。今の厳しい状況という結果はこれまでの自分、会社、お店の考えに沿った行動の結果で出来上がっています。だからこそ、今まで当たり前だと思っていたことの一つ一つについて考え直してみてください。風土を変えないと、いつまでたっても現状脱却は不可能です。

 

 

 

 

 

 

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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