稼働も利益も将来の原資です

2019.03.09 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(204) 利益を重視するということ、稼働を重視するということ

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。先週の3/8(金)、東京上野のオーラムにて「primeAIセミナー」に登壇いたしました。ご来場いただいた方、ありがとうございました。少しでも今後の参考になっていただけたら嬉しく思います。

さて、今回より通常の「ド底辺ホール復活プロジェクト」の内容をお伝えいたします。

「稼働重視」という考え方があります。特にパチンコ店では昔から「客が客を呼ぶ」ともいわれているように、活気のあるお店にはどんどん人が集まる傾向があり、そのためとにかく客数、稼働を上げる必要があるという考え方です。これに対して「利益重視」という考え方があります。これは、「企業の目的は利益を上げること」として、客数のことよりも利益をしっかりと残すことを重視する考え方です。

上記の2つは常に対立軸、相反する考え方になる傾向があります。そして特に現場サイドでは稼働を重視し、経営サイドでは利益を重視する傾向にあるので、どうしても考え方や施策で対立しがちです。しかしそもそも、なんのために稼働を上げる必要があるのでしょうか。また、なんのために利益を確保する必要があるのでしょうか。

稼働を上げるのはもちろん、利益を確保するため(増やすため)です。この考え方は一般的な小売店と同じです。小売店では売上個数が増えればその分利益は必ず増えるのであり、パチンコ店においては一発でも多く打ち込んでくれれば売上は増え、その分利益が増えることを志向しています。つまり、稼働を上げるのは目的ではなく手段であり目的はあくまで「利益」です。

一方、利益はなんのために上げるかというと、企業発展のための原資確保といえます。企業が発展するためには顧客の支持を得る必要があり、そのためには顧客満足を追求するための設備投資が必要だからこそ利益が必要となるのです。パチンコ店営業で言えば入替費用、出玉費用、サービスその他向上のための費用といえます。つまり端的に言えば、「利益は稼働アップのために必要」ということです。

「稼働は利益のため、利益は稼働のため」、このようにつなげて考えることで両者は同じことを志向していることが理解できると思います。両者は決して相反するものではなく、「業績向上」という究極の目的、目標は同じであって、そこに至るルートの出発点が違うだけです。

特にド底辺の現場では利益重視営業を強いられることが多いです。しかしそれは、経営層は顧客獲得のために利益を確保してほしいという意味だと理解してください。利益は儲けではなく「将来の原資」です。稼働を重視する方も、まずは利益を確保することが稼働向上の近道になると理解してほしいと思います。


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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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