林秀樹「2種類の満足感を理解して脱・ド底辺!」

2017.11.11 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(135) 顧客の求めるもの

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。1年の中で最も落ち込むと思われる11月も3週目に入ります。やはりというか、ここまでの業績(売上、稼働)は非常に厳しい数字ばかりとなっており、特に20円スロットの落ち込みが顕著に感じられます。

お店でいろいろ話を聞くと、「10月以降スロットでめぼしい機種がなくて入替ができないから、下がった」という意見が多くあります。確かにパチンコはそこそこに新機種が発売されていますが、スロットには軸となるような新機種がほとんどないので、どうしても稼働の底上げが図れないのはその通りだと思います。

しかし、それでも稼働の向上とは言えないまでも維持が図れているお店はあります。実際に商圏の人数調査などを見ても客数低下の比率(落ち率)はお店ごとにバラつきがあるわけで、入替の有無以外にも当然、客数低下の原因があるはずだと考えられます。

顧客がお店を選ぶ基準として「満足感の高低」があります。もちろん顧客は満足度の高いと感じる方を選ぶことになるのですが、この「満足感」、実は2種類あるとされています。

ひとつは「物質的な満足感」。これは「なにかをする、または購入することによって直接的に自身にとってプラスになる」と思われるものを選ぶことによって得られる満足感です。この場合、顧客は「より自分にとって良い選択は何か」を探し、合理的な判断のもとで決定します。そして、合理的な判断により「もっと良いもの」が見つかればそちらに変えます。

もうひとつは「精神的な満足感」です。物質的なモノよりも、それを得る過程や雰囲気などの間接的なことを重視し、しばしば非合理的な判断をすると言われます。「常連さん」などはまさにこの典型例になるでしょう。

上記2つの満足感のうち、入替やそもそも遊技機の魅力は物質的な満足感を満たそうとしていることがわかります。そうすると顧客は合理的な判断で動くので、入替を戦術の中心に置いた考えではいつまでも同じことの繰り返しになります。商圏内で稼働の落ち率が自店ほどではないお店があるとしたら、そのお店はこれまで精神的な満足感を高めることに努力してきたからこそ、稼働の落ち率を抑えることができているのです。

これから先、遊技機の性能は確実に下がります。また遊技機自体の魅力も薄れていき、入替をしても顧客の誘因になりにくい時代になっていきます。だからこそ、今すべきことは物質的な満足感の追求ではなく、精神的な満足感の追求です。

今一度、店内の清掃状態や空調、そしてサービス提供のスピードや接客スタイルをチェックして、「現場」を第一に考えるようにしてください。店長(または管理者)の仕事は、遊技機の管理がメインの時代ではなくなります。現場の空気をもっと感じるようにしていってください。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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