林秀樹「赤字営業のA店より黒字B店の方が出ている!なぜ?」

2017.12.09 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(139) 計数管理。(3)

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。2017年12月21日(木)、東京ガーデンプレイスにて綜合ユニコム社主催の計数管理セミナーを開催いたします。今回は時間を10:00~17:00の7時間として一日で基礎から応用、実践活用までをお伝えすることになっており、
・基礎編:基本用語と計算式の理解
・応用編:基礎編で理解した計算式を使っての遊技機シミュレーションの組み方の理解
・実践編:日々の遊技機管理や放出タイミングの設定、月間進捗管理の理解
といった内容を予定しています。
前々回から4回に分けて12/21(木)実施の計数管理研修を基にした「計数の考え方」をお伝えしており、3回目の今回は前回に引き続き「割数の考え方」についてです。

前回は割数を「利益を見る数値ではなく出し方を見る数値に捉え方を変えて欲しい」ということをお伝えしました。このように考えることでお店視点の考え方からお客様視点の考え方に変えることができるというものです。しかし割数は絶対的な指標ではありません。見方、使い方を間違えるととんでもないことになります。

そもそも割数とは、「お客様が借りた玉の何倍の玉が交換されたか」を示す指標で、計算式は「景品玉数÷売上玉数(×10)」です。あくまで比率を表すのであり、これが高いからと言ってお店の活気につながるとは限らないのです。

例えば次の2店舗で考えてみます。
A店) 4円P200台 13.2割分岐 台売上15,000円 15.0割営業 利益率▲13.6%
B店) 4円P320台 10.0割分岐 台売上27,000円 8.4割営業 利益率16.0%
上記の2店舗を比較すると、割数的にはA店の方が高くまた赤字営業でもあるので相当な出し方をしていることになります。しかし実際の店内の出玉感はB店の方があると思われます。理由は景品として交換した玉数の違いです。

景品に交換した玉数は割数の計算式(割数=景品玉数÷売上玉数×10)を変形させると導き出せます。つまり「景品玉数=売上玉数×割数÷10」で計算できるので、
A店) 景品玉数=(15,000円÷4円)×15.0÷10=5,625個
B店) 景品玉数=(27,000円÷4円)×8.4÷10=5,670個
ということで、台あたりに交換する玉数はB店の方が多くなります。そして総台数はB店の方が多いので、お店全体としてはA店112万5,000個、B店181万4,400個が交換される=ホールに出ている玉数となります。

割数的に考えるとA店は売上玉の1.5倍(150%)の玉を出し、B店は売上玉の0.85倍(85%)しか玉を出していません。しかしここで重要なのは、「売上玉は吸い込まれる玉なのでお客様には見えない、見えるのは積んでいる玉だけ」ということです。つまり出玉感の元は「景品玉」であり、決して割数ではないのです。

割数は比率を見る数字です。しかし実際の営業では比率よりも「実数」の方が重要です。特に出玉感は実際に出ている玉のみで感じるものなので、割数を高くしてもそもそもの基準、ここでいえば売上玉が少なければ体感できる出玉感は低いものになってしまうのです。

割数は数字で出方を確認できる便利な指標ですが、それと同時に景品玉数を見るようにしてほしいと思います。そうすることで比率ではなく実数としてのホール内の出玉感、機種ごとの出玉感を把握することができます。


● 綜合ユニコム様主催セミナーのお知らせ
12/21(木)、東京ガーデンパレスにて綜合ユニコム㈱様主催「計数管理セミナー」を実施いたします。今回は7時間で集中的に計数の理解を図る、非常に濃い内容です。
詳細は下記をご参照ください。
http://www.ab-c.jpn.com/630.html

●「The Professional」にインタビューが掲載されました
各界の著名人にインタビューをしてその考え方や生き方を紹介する「The Professional」に掲載されました。
http://the-professional.biz/tp0081/
各界で名を成した多数の方の素晴らしいお話が拝見できます。

●おかげ様でジュンク堂大阪本店にて、週間ビジネス書部門ランキング1位を獲得しました!また楽天、アマゾン等のネット販売でも常時ランキング上位となっております。ありがとうございます。
全国の書店で販売、またネットでは下記サイトで購入が可能です。
・amazon
https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/434491046X/calepo01-22/

・楽天ブックス
http://books.rakuten.co.jp/rb/14606937/

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
同社ホームページはこちらをクリック

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト, アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社, コンサルティングの現場より(139) 計数管理。(3), 林秀樹