林秀樹「計数管理を実践に結びつける考え方」

2018.08.18 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(175) 割数が高くて抑えられないとき

皆さんこんにちは、アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今週8/23(木)、綜合ユニコム様主催の計数管理研修応用編を開催いたします。今回の応用編は「計数管理の知識を業績向上に生かすための使い方」となっており、より実践的な内容となっています。

では今週も計数管理を実践で活用するための考え方についてお伝えいたします。今回は「どうして割数が落ちないときにどうするか」です。

割数の計算式は「景品玉÷売上玉×10」です。ここでたとえば景品玉が5,250、売上玉が5,000だったとしたら割数は10.5割になります。この「10.5」というのは、
・売上玉の、1.05倍(105%)の玉が景品に交換された
という「比率」を表しています。割り算は分数で表せるので、この数字を下げると考えるならば、
・分子=5,250を下げる
・分母=5,000を上げる
の2通りの方法があることがわかります。分子=景品玉を下げることは出玉感、お客様の満足感を考えると得策ではないので、ここでは分母=売上玉を上げることを考えます。

売上玉を上げようとした場合に一番効果的なのはベース、つまりBY値を下げることでしょう。ここで図①をご覧ください。




これはCRスーパー海物語IN沖縄4において、S、BA、T1Y、客滞率を固定してBYのみ1.0変化させたときのシミュレーションです(AがBY7.0、BがBY6.0)。まず、BY(およびベース)以外のメンテナンス数値も稼働も同じながら台売上が上昇していることがわかります(24,962円→25,335円)。さらにBYが7.0のときは粗利益が1,566円であり6.0のときは2,137円、その差は571円あり利益率が6.3%→8.4%と約2%改善していることもわかります。もちろん割数も下がっています。BYを下げるとこのような変化があることは感覚的にも理解していると思いますが、しっかりと計数的に計算をすることが重要です。

また売上玉を上げることとは少し違いますが、BAやT1Yを変化させても同じような効果があります。図②はBAを5%変化させており、図③はT1Yを20個変化させています。どちらもBY1.0と同じかそれ以上の効果があることがわかります。





さて上記のことは「個別台での理論的な対処」です。しかし現実にはしっかりとメンテナンスをしても、継続回数や特賞確率による暴発がありなかなか思うように抑えられないことも多々あります。パチンコは(スロットも)思いがけない出方をするから面白いのであり、「暴発はあるもの」と考えて対応しなければなりません。

暴発して割高になるのは「噴いた台以外の稼働がないから」です。出てしまうからといって抑えようと、シミュレーション数値を下回るスタート回転数等にしていないでしょうか。あまりに低い回転数では継続遊技の期待を削ぐことになり、結果的に「出た人だけが遊技する」ことになるので割高になるのです。出る台、暴発する台はピンポイントで事前にはわかりません。よく経験則で「出続けるときはアケれば収まる」といわれていましたが、これは上記のような理屈で説明がつきます。稼働格差があるから抑えられないのであり、均等稼働を目指すメンテナンスをすれば必ず収まります。もちろん、回転数を単に上げるのではなく、計数管理からシミュレーションをして適正値にするのです。

割数が高いこと、暴発が抑えられないことはすべて、メンテンナンスが原因です。ここでいうメンテナンスは「計算をして、適正値で営業をする」ことを指しています。計数管理をしっかりと理解することで必ず営業計画に沿った営業が進められると考えてください。




綜合ユニコム様主催「計数管理研修 応用編」が開催されます。
■ 応用編 2018年8月23日(木) 13:00~17:00
[応用編]では、基礎編で学んだ基本用語と基礎知識を活用してより実践的な遊技機の運用についてお伝えします。特に日々の営業に関する悩みは計数管理を理解することで解決できることを学んでいただきます。
応用編の最後には、まとめとして遊技機管理の知識を計画に落とし込むための考え方を学習し、日々の営業で活用することができるようになっていただきます。

1.実践シミュレーション
・遊技機シミュレーションの考え方
・シミュレーションの組み立て方
・競合店の遊技機運用を推測する
2.営業への活用
・どうしても割数が落ちないときにどうするか
・体感スタートとHC(ホールコンピュータ)スタートの違いとは
・ベース管理が勝敗を分ける
・玉粗利ではなく玉単価を見る
・客滞率の重要性を理解する
3.営業計画の作成
・年度計画作成のポイント
・月間計画作成のポイント
・機種別計画作成のポイント
・メリハリの考え方
・進捗確認(週間集計)と修正のポイント

詳しくは下記綜合ユニコム様HPでご確認をお願いします。
皆さまのご参加、お待ちしております。
http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/0712.html
http://www.sogo-unicom.co.jp/pbs/seminar/2018/pdf/20180712_0803.pdf


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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。著書に「ジリ貧パチンコホール 復活プロジェクト」(幻冬舎)がある。

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