林秀樹「結果確認に終始する意味のない頭取りはダメ、絶対」

2017.07.15 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(118) 分析は前向きに。

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。7月に入り少し稼働の上昇を感じ始めた矢先、やはりというか今週1週間はかなり厳しい数字ばかりとなっています。

そういったときには「他店はどうなんだろう?」と気になるもので、それを分析するには「他店人数調査(頭取り、人数統計)」を使用します。そこで今回は店舗の重要なデータのひとつである「他店人数調査表」について考えてみます。

「他店人数調査表」は文字通り他店の(自店も)客数を調べるものですが、この数字をみて「あの店に○○人負けている」とか「自店は客数3番手か」という結果確認で終わってしまっては意味がないです。これでは他店人数調査の目的が「客数を知るため」となってしまっており、目的と手段がすり替わってしまっています。調査結果は単なる事実の告知であり分析をして対策をするための手段であり、その数字という事実から何かしらの兆候を探るのが目的です。

ただし、活用の仕方によっては意味のない分析になる場合もあります。

あるお店の話です。今回の定例会議の議題は「他店人数調査表からみえること」でした。最近の調査では客数1位の店舗とはだいたい30人程度の差で、自店は現在2番手につけています。この店舗では他店人数調査表を見るだけで終わることなく活用しようとしていました。

「現在自店と1番手との差は約30人。なぜこうなってしまっているのか。その差の理由を考えよう」

営業部長がこのように切り出して会議は始まり、店長以下出席者からは次のような意見が出ました。
・自店は機種構成が負けているからではないだろうか。
・自店は利益率が高いからではないだろうか。
・自店は入替の規模や回数で負けているからではないだろうか。
これらの意見は「事実を基に分析をしている」ようにみえます。しかし、よくよく考えてみるとこれらの意見はすべてネガティブな(後ろ向きな)ものばかりです。

これは、実はそもそもの営業部長の発言に問題がありました。「結果の確認に終わることなく、理由を考える」というのは一見、前向きな提案に聞こえます。しかし実はこの問いかけの返答は劣っている理由を挙げることしかできないのです。

「問題」と「課題」という二つの似た言葉があります。辞書を引くと、
問題・・・困った事柄。厄介な事件。「新たな‐が起きる」。
課題・・・解決しなければならない問題。果たすべき仕事。「緊急の‐」。

となっています。問題点として捉えた場合は、文章の末尾が「~がダメだ」という言い方で過去からこれまでの結果を挙げることになり、課題点と捉えると「~すべきだ」という言い方で、これから未来に必要なことを挙げることになります。

営業部長の問いかけは「問題点」を挙げさせるものであり、これは「いままでの積み重ねでこうなっている」という「結果」を考える質問です。これでは前向きな、未来志向の考えが生まれてこないです。今回の会議では、営業部長は次のように発言するべきでした。

「現在自店と1番手との差は約30人、どうすればその差が解消できそうかを考えよう」
このような質問であれば、出席者の意見は次のようなものになっていたと思われます。
・機種構成を考え直すべきではないだろうか。
・利益率をもっと下げるべきではないだろうか。
・入替の規模を大きく、回数をもっと増やすべきではないだろうか。

他店人数調査表は宝の山です。いろいろな角度から数字を見ることで様々な分析が可能となります。ただし使い方を誤らずに、「原因の追究」ではなく「解決方法の追及」に役立てるように考えてほしいと思います。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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