林秀樹「欲しい本、綺麗な書店で買うか?薄暗い書店で買うか?」
2017.08.26 / 連載【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(124) 選択肢の俎上に乗る
皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。8月度最終週となりました。今月は事前に思っていたよりも良かったという印象があります。理由としては、今年は暦の並びもよく、11日から20日までそれなりに長い休みとなった企業も多かったことが要因として考えられます。
しかし、この後は年間で最も厳しい営業が見込まれる季節に入ります。これまでと同じような営業をしても、またもっと努力(入替など)をしても稼働は維持すら難しい時期なので、今のうちにその対策を考えていかなくてはいけないです。
そのために考えることは「どうやってお客様に来ていただくか」です。お客様に来店していただいて初めて、商品を選んでいただき、購入していただくことができます。これはパチンコ店であっても同じなので(パチンコ店の場合は「来店していただき、機種を選んでいただき、遊んでいただく」となります)、今回は「お客様に自店を選んでいただくためにはどうすればよいか」を考えてみたいと思います。
■ 機種構成
機種構成はとても重要です。機種構成とは小売業界に置き換えると「商品構成」といえます。小売業界において、お客様が欲しくない商品をいくら並べても欲しくないのだから絶対に売れません。またセール品は「お客様が欲しがる商品を安く提供するから、お客様が群がる」のです。いくら安くても欲しくない商品は誰も買わないでしょう。パチンコ店で言えば「遊びたいと思えない機種をいくら設置しても、遊んでもらえない」、「遊びたいと思えない機種で玉利をいくら下げても、遊んでもらえない」ということです。つまり機種構成がよくないと、その時点で遊技の選択肢に入らないということなのです。
一部には「古い機種ばかりで機種構成がよくない」のにかなりの集客をしている店舗もあります。店舗視察などでこのような店舗を見て「ああいう店舗でも集客できているんだ。自店も機種構成はよくないが、がんばればなんとかなるんだ。」と考える方もいますが、これは無意味です。どんなものにも例外はあるもので、このような例外を取り上げて機種構成がよくない店舗がそのままの状態でがんばるよりも、機種構成をよくした上で努力したほうがはるかに効率よく集客ができます。
ただしここでいう「機種構成」、けっして入替のことを言っているのではないです。そこは間違わないでください。
■ プラスアルファ
現在のパチンコ店では機種構成で、他店との違い=差別化を図ることができないです。お客様のニーズに合った機種構成にしても、それだけで自店を選んでいただけるとは限らないのです。
「再販制度」という言葉をご存知でしょうか。正確には「再販売価格維持制度」といい、著作権保護の対象物のうち6品目(書籍・雑誌・新聞・音楽CD・音楽テープ・レコード)について定価販売を義務付けるものです。つまりこの6品目を扱っている店舗では価格面で差別化を図ることができないことになります。
今、自分が欲しい本があり、自宅から等距離にある2つの書店両方で売っているとします。どちらで買っても同じ値段なのですが、一方の書店は清掃も行き届いており笑顔で接客をする店員さんがいます。もう一方の書店は店内も薄暗く雑多に本が並んでおり、店員さんも無愛想です。さて、あなたならどちらで本を「買いたい」と思うでしょうか。
価格面や品揃えで差別化をできなければソフト面での差別化が必要になります。お客様が「どのパチンコ店で遊ぼうか」と考えるときは、おそらく「出そうか(出玉)」、「遊びたい機種があるか(機種構成)」、「予算とリターンはどうか(交換個数)」、「行きやすいか(距離や時間)」などいろいろな基準から、最も自身の条件に合致した店舗を選ぶはずです。このとき、選択肢に上げた店舗が先に挙げた条件のすべてで同じだったとしたら、あとは先ほどの書店業界のように、判断基準は「店舗の雰囲気」ということになります。
■ 選択肢に入るために
これまで見てきたように、お客様を集めるにはまずは「選んでいただく(選択肢に入る)」ことが必要です。商品の品揃え=機種構成をお客様のニーズに合ったものにした上で、プラスアルファとしてお客様が行ってみたくなるような雰囲気を作ることを意識してほしいと思います。
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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。