林秀樹「台を無理に抑えても利益は取れない」

2017.07.29 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(120) 逆転の発想

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。7月最後の日曜日です。7月は一年の中でも売上の期待できる月のひとつであり(季節指数が高い)、実際に今年の7月の売上は思っていたよりも良かったお店が多かったと感じます。

しかし、この「売上がよい」という機会をうまく生かしたお店と生かせなかったお店があるのもまた事実です。もちろん「機会を生かした」というのは「利益の確保」がうまくいったお店のことであり、今回はうまく生かせなかった=利益の確保がうまくいかなかったお店が、なぜそうなってしまったのかについて考えてみたいと思います。

まず「利益の確保」ができなかった場合の要因を考えてみると、
① 客数、稼働が計画よりも下回ったことで、売上が足りなかった
② 遊技機を思うようにコントロールできなかった(暴れた)
の2つの要因が出てきます。このうち①は外部要因、②は内部要因です。外部要因はコントロールすることが難しいこと、及び今回の7月に関しては売上がまずまずだったことを考えれば、「今回の要因」としては除外されます。すると今回の要因は②の「遊技機コントロール」にあったことがわかります。

結局「噴いてしまった」ことが要因となるのですが、多くのド底辺ホールではその捉え方と対処法を間違っています。
① 「パチンコとスロットは違う」という固定観念
② 「抑えるためにはどうすればいいか?」という思考
実は上記①と②は密接にリンクしており、これら2つの考えを排除することで対処法が見えてくるのです。要は、「パチンコもスロットも原因は同じであり、それは“噴いたこと”が問題なのではなく、それら以外の台に稼働がないことが問題」」だということなのです。

現状の遊技機は「一撃」の出方が高い遊技機が多く、そのためどれだけ抑えようとしても遊技客の“ヒキ”次第という状況です。つまり「どれが出るかはわからない、抑えようとしてもその通りにならない」です。ここで無理に抑えようとする行動(パチンコなら回転数を下げる、スロットなら設定を下げる)をすればするほど遊技客の離反を招き、結局「出た台だけに稼働があり、出た台もある程度出ると継続遊技する気持ちが持てないので止めてしまう」という悪循環に陥ります。

この悪循環を断ち切るにはどうするか、というと、「全体のメンテナンスでベースアップをすることで出そうな気持ちを持ってもらう」となります。

もちろん大きくアケて営業するという意味ではないです。「過剰なシメ営業が悪循環の元であり、自店の求める利益率や割数に合致した適正な回転数なり設定を使用する」ということです。

例え平均稼働が低くても、ある程度バラついた稼働になっていると営業結果は安定します。逆にそれなりに高い平均稼働のお店でも極端な稼働格差があるお店の営業結果が安定しません。

8月度は引き続き売上が期待できる月です。同じ失敗を繰り返さないためにも、「利益がうまく取れない」と悩んでいるド底辺ホールは、一度「どうしても抑えなければ」という発想から離れて、「今と同じ稼働でいいからまんべんなく座ってもらうにはどうすればいいか」を考えてほしいと思います。

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

 

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