林秀樹「入替自粛はド底辺ホールにとってチャンス」

2016.05.07 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(56) ド底辺的、このGWにすべきこと

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。GWも終盤、ここまでの営業の手応えはいかがでしょうか。この先は入替自粛期間に入るので今手応えがないとかなり厳しいGW後が想像できてしまいますね。しかし、ものは考え方次第です。「入替自粛期間」という条件を逆手にとる考え方もあります。ということで今回は「ド底辺的、このGW後にすべきこと」をお伝えします。

まず「ド底辺」ということは稼働が低い状況のはずです。ということは(今すぐは無理でも)中長期的には稼働を上げていかなければなりません。しかし稼働を上げる=売上を上げるにはどうしてもコストがかかるものです。

「売上を上げるのにかかるコストを確保する。だからそのために、まずは利益を確保しろという話なら分かっている」

こういう声が聞こえてきそうです。確かに稼働を上げるためにまずは利益を確保すべき、というのはこの連載でも再三お伝えしてきたことです。ただ、これは今に限らず常に必要な考えであり、「今回のGW後」という話ではないです。今回のGW後は例年までと違い、「入替ができない」という条件があり、そしてそれは隣の競合店・強豪店だって同じなのです(これまでなら、自店はド底辺なので入替をしなかったとしても競合店はしています)。 

SWOT分析というものがあります。内部環境である強み(S)と弱み(W)、外部環境である機会(O)と脅威(W)の4象限で現状を分析する手法です。このうち外部環境について、例えば注目の新機種の納品開始というのは納品できる店舗には「機会」でも、納品されないド底辺ホールにとっては「脅威」でしかありませんでした。

今まではド底辺ホールなりにできる範囲で精一杯の努力をしていても、競合に「注目機種の入替オープン」というブーストを使われて自店のお客さまが流出してしまいなかなか結果が得られない状況もありました。しかし今回は違います。仕掛けを覆されるような入替はないのです。今回の、平等に入替がないというのはド底辺ホールにとっては「機会(O)」なのです。

入替がないということは、イベントに対する規制がある現在では集客するために攻めることができないことを意味しています。ということは「外部要因で稼働や客数が変動することはなく、今のパワーバランスで推移する」といえます。

入替をきっかけとして他店の〝仕掛け〟を考えずに自店としてできることだけに集中すればいい期間であり、まさに「既存顧客重視の戦略」が功を奏する期間なのです。

まずは今一度自店の〝強み〟の棚卸しをしましょう。例えば自店の部門、機種での相対比較で最も稼働の良い部分を見つけます。そして徹底的にその〝強い機種・部門〟に固定客をつけるために予算を割り振ってください。具体的には「アケ」です。繰り返しますが、この期間は外部環境的な流出を引き起こす条件がないのです。「客をつける」努力が結果を得やすいのです。

続いて自店の〝弱い部分〟に目を向けます。ここでも自店内の相対比較で弱い部門、機種を見つけてください。「強い部分はより強く、弱い部分は後回し」、これが弱者の基本戦略ですから、できるだけ弱い部分についているお客さまを〝あえて〟引き離すように仕向けます。「強みを伸ばすための財源」としてシメるのです。そしてその弱い部門、機種のお客さまを自店の〝強み〟となっている部門、機種に誘導するようにしてください。具体的には店内販促です。もう一度繰り返しますが、この時期は他店流出ではなく、今自店に来店される方は自店内で回遊しやすいからです。

今までも予算の傾斜配分は意識していたかもしれませんが、その結果はなかなか得られなかったはずです。それはなぜかというと、せっかく予算を割り振ってもそこに定着してもらえる前に他店の入替ブーストに目を奪われてしまうからでした。今回の自粛期間は自店の強い部分を伸ばすのに適した期間であると考えて、積極的な予算の傾斜配分、そして店内誘導の販促を徹底してください。まだ間に合います!

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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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