林秀樹「何があった?安易な広告宣伝費削減で利益を下げたホール」

2018.03.03 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(151) コスト削減について

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。3月に入りました。いよいよ今期も最終月となります。2017年度(2018年3月まで)はいろいろなことがありましたが、特に厳しかったのは遊技機の撤去問題だったと思います。

年度計画の作成当初は考えてもいなかった遊技機入替費用がかかることになり、かといって遊技機スペックの低下からの稼働低下もあり売上/粗利の向上は難しいので、改めて様々なコストの見直しと削減で利益の確保を図っていったお店も多かったことと思います。

しかし「コストの見直し、削減をする」とはいっても、すべてのコストを削減対象にしてしまうと、一時的には改善がみられても中長期的には大きなマイナス要因となってしまうこともあります。

パチンコ店における「3大コスト」と言えば機械代、人件費、広告宣伝費です。このうち機械代は削減どころかさらなる増加が予想され、また人件費削減となると社員のモチベーション低下が気になります。そうなると必然的にコストの見直し作業で考えるのが広告宣伝、つまり折り込みチラシの削減となります。広告宣伝の自主規制のこともあり掲載できる情報が限られていることと、折り込みの費用とその効果(費用対効果)に、かつてほどの相関性が感じられなくなっていることも大きな理由となります。

しかし広告宣伝を削減することは一時的には収支の改善効果も得られますが、中長期的には自店の存在感を低下させ、今後の集客においてかなりの苦戦を強いられることになります。

あるお店では折り込みチラシの見直しで回数を減らし(月間6回→入替の2回のみ)、費用面で約120万の改善を図りました。もちろんこれは粗利(入り)が増えなくても費用(出)が減るので、販管費削減により営業利益ベースで改善が図られることになります。

しかし当初こそ利益面の改善効果を感じましたが、その内売上が低下し始めたことで粗利益自体の低下がみられ、利益率を上げても広告宣伝費を削減する前以下の利益水準になってしまったのです。(下記、①→②→③の流れ)
①売上12,000万 粗利2,400万(利益率20.0%) 広告費180万 → 残利益2,220万

②売上11,000万 粗利2,300万(利益率20.9%) 広告費60万 → 残利益2,240万

③売上10,000万 粗利2,200万(利益率22.0%) 広告費60万 → 残利益2,140万

コストには「ロスコスト」と「プロフィットコスト」の2種類があります。「ロスコスト」とはその名のとおり利益を減らしてしまう経費であり、「プロフィットコスト」とは利益を生み出すために必要な経費のことです。広告宣伝費がどちらなのか、と言えばもちろん後者でしょう。広告宣伝費は削減してはならない費用なのです。

もちろん昨今は「広告宣伝をしても費用対効果が薄い」という事実があります。しかしだからと言って即「広告宣伝費の削減」と考えてはいけないです。重要なのは、
・広告宣伝の手法、中身、アプローチに問題があるのではないか
と考えることです。

折り込みチラシで考えるならば、
・配布地域
・デザイン、構成、構図
・訴求内容、目立たせ方
・配布の日にち
などなどで改善を図ることができます。

広告宣伝がコスト削減対象になったとしても、削減するべきなのは金額ではなく「非効率な部分」の削減です。広告宣伝費に代表される「プロフィットコスト」はしっかりとかけていってほしいと思います。




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アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
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1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

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