林秀樹「低稼働にあえぐド底辺ホールにオススメ管理」

2016.10.01 / 連載

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト
コンサルティングの現場より(77) 玉単価を重視する(1)

皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。

10月13日(木)、大阪のホテルモントレグラスミア大阪にて、パチンコを元気にする会様主催の「激変期セミナー」に登壇します。私は第3限目に「ド底辺ホール”転換”プロジェクト」としまして、一般的な戦略論ではなく低稼働店舗に必要な考え方、業績アップの対策をお伝えする予定です。今回は前回に引き続きこのセミナーでお話しする内容の一部をお伝えいたします。

「玉粗利」、パチンコ店ではかなり重要視されている指標です。「アウト1個あたりの、お客様の負担額」、簡単に言えば「1発打ち込むごとにお客様が負ける金額」です。これに6,000を乗じると1時間あたりにお客様が失う金額が出るとされ、この数字が多いほど遊べないお店ということになります。
 例)
 玉粗利0.10円 → 1時間遊ぶと600円負ける(0.10円×6,000発)
 玉粗利0.20円 → 1時間遊ぶと1,200円負ける(0.20円×6,000発)
 玉粗利の計算式は「粗利額÷アウト玉数」です。

「玉粗利はお客様の負け金額を遊んだ時間で割ったものであり、体感する負担感を数値化したものである」

 遊んだ人数は別として台あたりで考えれば、仮にアウト25,000発の台で台粗利が5,000円であれば、「お客様は1発打ち込むごとに0.20円ずつ減らした(負けた)」といえます。要は遊んだ時間の長さに応じて遊技料金が上がりますよ、といった考え方です。しかし、この考え方はちょっとおかしいと思います。なぜなら玉粗利は遊技終了後の収支から計算しているおり、言ってみれば「結果論」です。例えば、
・MAXタイプで玉単価1.90円、玉粗利0.20円
・甘デジで玉単価1.10円、玉粗利0.20円
だったとします。玉粗利を重視するお店の視点では「どちらも同じ玉粗利なので同じ負担感」となります。(玉粗利重視の方に、実際にそういう論調は多いです。) しかし遊技客目線の体感的には違いますよね? 普通の感覚なら「やっぱりMAXはキツイ!」でしょう。これは、遊んでいる最中は「使った金額の多寡」を考えるからです。

このようにパチンコをしていて重要なのは「いくらで当たって持ち玉になるか?」、つまり「いくら使うか?」ではないでしょうか。まず大当たりして、そこから初めて純粋にパチンコが楽しいと思える時間が始まります。なので「いくら使って、どれだけの時間を遊んだか?」が体感的な指標になり、それを表す指標は「玉単価」です。
※玉単価=売上÷アウト玉数

上記を整理すると、
・玉粗利 → 実際に”負けた”金額を、遊んだ時間で割った数値
・玉単価 → 実際に”使った”金額を、遊んだ時間で割った数値
です。

いま4円パチンコを打とうと決めたとして、皆さんは予算的にいくらくらいを持っていきたいと思うでしょう。MAX機を打つとしたら大体3万円から4万円は持っていないと不安だと思います。仮に玉粗利が0.20円の優良店(事前にわかるわけがありませんが・・・)だったとしても「玉粗利0.20円だから、2時間で当たるとして2,400円あれば大丈夫!」などと思う人はいないはずです。

このようにお客様の負担感を数字で判断するには玉粗利よりも玉単価を見るべきです。しかし次は、
 「玉単価のほうが遊びに対する体感的な指標として合っているというのはわかるが、例えば玉粗利だったら割数の上下である程度コントロールできるので指標として扱いやすいが、玉単価はどうやってコントロールするのか?」
こういう疑問が出てきます。

今回は文字数も多くなってしまったので次週に続きます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社 代表取締役 林秀樹
同社ホームページはこちらをクリック

1972年生まれ、福井県出身。大学卒業後、遊技機販売商社勤務を経てパチンコホール企業へ。エリア統括部長、遊技機調整技術部長などを歴任したのち、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所入社。2012年、40歳となったことを機に起業。細やかな調整技術と正確な計数管理力で、勘や経験に頼らない論理的なホール経営を提唱する。

【日曜】ド底辺ホール復活プロジェクト, パチンコを元気にする会, パチ元会, 林秀樹